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    ukionze1517kara

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    ukionze1517kara

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    第一回 「体温」
    #降志ワンドロワンライ
    降志
    時間:約50分

    大遅刻のしかも一回目ですみません。
    どうしても参加したくて…

    付き合ってるでいいと思う同棲?同居?降志です。

    #降志ワンドロワンライ
    yuzhiWandolowanRai
    #降志
    would-be

    微睡み春なのに少しひんやりとしている。
    寝起きの身体から熱を逃さないために、毛が逆立って温もりを守ろうとする。両腕を擦ると少し温まった。

    床は冷たく爪先立ちで廊下を歩く。
    キッチンから漂う香ばしい香りに釣られてリビングのドアを開けた。そこには目玉焼きとベーコンを焼く降谷の姿があった。

    「おはよう」
    「…おはよう」
    ニッコリと笑う顔が元気すぎて、昨日帰ってきたのは深夜を回っていたはずだ。

    「あんまり寝てないんじゃないの?」
    「ご心配なく。これでも二時間は眠れた」
    「それ、適正な睡眠時間じゃないんだけど…」
    「ショートスリーパーだから大丈夫」
    大丈夫な訳ないじゃない…と思いつつ疲れを感じさせない降谷に志保はため息をついた。

    テーブルの上にはトマトが入ったサラダに空の白いお皿、牛乳が並べられていた。

    高い音が鳴り振り向くと、トースターから食欲をそそるパンの焼けるいい匂いがする。
    降谷はトースターの蓋を開けると空だったお皿にトーストを載せた。

    手伝いが出来る範囲がなくなってしまった志保は席に着いた。
    「牛乳あんまり好きじゃないのよね」
    「何言ってるんだ。最近外にも出ないで一日中部屋に閉じ籠って仕事をしているだろう。カルシウム不足で今にも骨が折れそうじゃないか。カルシウムを取れ、カルシウムを」
    口煩い降谷の小言を聞き流し、身体が縮んでしまっていた頃の給食を思い出していた。
    ミルクとの相性が悪い食材が色々と出てきて頭の中から追い出した。
    しぶしぶであるが、降谷の言う通りにコップに口をつけた。

    降谷が目玉焼きとベーコンを載せた皿を運んできて席に着く。
    二人は手を合わせていただきますをする。

    こんがりと焼けたベーコンに目玉焼きの黄身をつけると卵の美味しさと塩味の効いたベーコンをまろやかにする。
    シャキシャキのレタスと葉物に玉ねぎのドレッシングがかかったサラダは食欲をそそった。
    軽く火が通ったトーストは噛めば、サクッと音を立てた。

    志保は全てを平らげると窓から差す太陽の光を浴びるソファーに寝ころんだ。

    「こら!食器が片付いてないぞ」
    「分かってる。あと五分後に動く」
    「ハァー」
    説教タイムに入ると思いきや志保が寝ころんでいる間に降谷はテーブルの上を片付けてしまう。
    本当に五分後に動く積もりだったのだが片付ける物がないのなら仕方がない。

    光の方に右手を翳して透けるように見つめた。青白い手の甲に血管が浮かび上がってきてただそれを見つめている。すると、右手首をグッと掴まれた。

    「細すぎる」
    「仕方がないじゃない」
    「君が標準体重になるまでは僕の作った料理を食べてもらう」
    「ハァ?!」
    「僕が作れない時は僕が考えたメニューを参考に作ってくれ」
    「何を勝手に決めてるの!」
    「いいね」
    アイスブルーの瞳に見つめられると身動きが取れなくなる。志保は降谷と一番最初に出逢った記憶が脳裏を過る。

    手首から伝わる熱が熱くて火傷しそうで温かい。
    瞳から伝わる熱も…

    言いたい文句も出ずにこくりと頷いた。
    それを見た降谷はニッコリと笑った。
    その笑顔が何だか眩しくて志保には思わず目を瞑った。

    温かい微睡みにまた眠気が襲ってくる。
    志保は静かに寝息を立てた。

    降谷は志保の額にキスをした。
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    黒護にゃちょこ

    MAIKINGかきかけの降志小説から抜粋解毒薬が無事必要在るべきところに渡った後は、私は恐らく然るべき処分を受けるだろう。そうなる前に、母からのテープを最初から最後まで聞かなければと思い、部屋で一人、ベッドに横たわりながらカセットのスイッチを付けた。

    古ぼけた音が途切れ途切れに響き渡る。このテープは、そろそろ限界なのだ。眼を瞑りながら母の音にひたすら集中すると、この世とあの世が繋がる感覚に陥る。途切れる度に現実に押し戻されるので、まるで「こちら側にくるにはまだ早いわよ」と言われているようだ。音の海に流されていると、ふと「れいくん」という単語に意識が覚醒させられた。

    「れいくん」

    その名を自分でも呼んでみる。誰だろう。巻き戻して再度テープの擦る音を聴くと、どうやら母に懐く近所の子どもらしかった。

    「将来は貴女や、日本を護る正義のヒーローになるって言ってたから…もしかしたら、もしかするとかもしれないわね」

    もし、叶っていたら、その「れいくん」とやらは、警察官にでもなっているのかしら。…いえ、きっと、そんな昔の約束なんて…白鳥警部じゃあるまいし。それに、今更だわ。

    「もう決着は着いちゃったわよ…れいくん」

    あまりにも 676

    vi_mikiko

    DOODLE第4回目降志ワンドロワンライ参加作品です。
    お題:「桃の節句」「寿司」「顔だけはいいのよね」
    (気持ち、↓の続きですが単話で読めます)
    https://poipiku.com/3237265/8260579.html
    「桃の節句」「寿司」「顔だけはいいのよね」 春の訪れを感じる季節。ポアロのバイトを終えた降谷が米花町を歩いていると、目の前に小さな背中が見えた。
     背中の正体は、大きなビニール袋を手に提げた茶髪の少女、一人だ。
     今日は桃の節句。雛祭りという呼び名の方が一般的だろう。幼い女子のいる家庭では、健やかな成長を祈り雛人形を飾る日。

    「哀ちゃん」
     背後から声を掛ける。夕飯の買い物だろうか、大きな荷物のせいでいつも以上に彼女の身体が小さく見える気がした。
    「今日は、博士の家でパーティはしないのかな」
    「しないわ。うち、雛人形ないし」
    「……そっか」

     彼女の買い物袋を引き、奪い取るように持った。彼女は「いいのに」と言いつつ、降谷の横を大人しく歩く。
     先月の節分では博士の家で探偵団らと豆まきを楽しんでいたが、今日は一人なのだろうか。幼少期からアメリカに留学していた彼女は、雛人形を見たことがあるのだろうか。遠く離れた国で一人過ごす彼女に思いを馳せ、勝手に寂しい気持ちになる。
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