vi_mikiko
DOODLE第20回降志ワンドロワンライ企画参加作品です。CP:降哀?
お題:いい◯◯の日
電話
「弱点、みっけ」
微ホラーなのでご注意ください!
いい怪談の日Part.A
「メリーさんの電話、って知ってる?」
怪談にふさわしい、真夏の日。
ポアロの店内で、とある大人びた少女がこう切り出した。
明るい茶色の髪を帽子にしまいこんだ彼女。周りにいた子供達は一同顔を見合わせ、「知らなーい!」と身を乗り出す。ポアロに潜入中の降谷も、カウンターで店員業をそつなくこなしながら少女の話に耳を傾ける。
「都市伝説の一つなんだけど。ある女の子がね、引っ越しの時に、自分の古くなった西洋人形の「メリー」をゴミ捨て場に捨てていくの。
その夜、少女のもとに電話がかかってきてね。受話器をとったら、こう言われるのよ。
『わたし、メリーさん。今、ゴミ捨て場にいるの……』」
「やだ、こわぁあい」
2266「メリーさんの電話、って知ってる?」
怪談にふさわしい、真夏の日。
ポアロの店内で、とある大人びた少女がこう切り出した。
明るい茶色の髪を帽子にしまいこんだ彼女。周りにいた子供達は一同顔を見合わせ、「知らなーい!」と身を乗り出す。ポアロに潜入中の降谷も、カウンターで店員業をそつなくこなしながら少女の話に耳を傾ける。
「都市伝説の一つなんだけど。ある女の子がね、引っ越しの時に、自分の古くなった西洋人形の「メリー」をゴミ捨て場に捨てていくの。
その夜、少女のもとに電話がかかってきてね。受話器をとったら、こう言われるのよ。
『わたし、メリーさん。今、ゴミ捨て場にいるの……』」
「やだ、こわぁあい」
lin_co10ri
DOODLE #降志ワンドロワンライ 第16回参加作品です。CP「降志」
所要時間 約2時間
お題『台風』『手』『待ってた』
嵐の後「…ねえ知ってる? 台風も、ど真ん中にいるとね。強い風も雨も何も感じないのよ」
それは常識として把握されていることだ。台風の目に入るとどんな嵐の中でも、瞬間穏やかな青空が広がることもある。だが彼女が言っていることは、そういうことではなかった。
「黒い渦のような殺伐とした環境もそれが当たり前だとね。異常や異変に気づかずのうのうと過ごせるのよ」
それが、私よ。そうして出来た、異端者だわ。
そう言って。彼女は、姿を消した。
台風一過の朝。昨晩までの荒れ模様が嘘のように、空は青く澄み渡り眩しい日差しが降り注いでいる。
降谷も連勤明けの朝を、迎えていた。台風接近の前から任務で詰めていたのだが、引き続き非常時対応の体制に入っていたわけだ。大きな被害が出なくて良かったと、一息つく心地で水たまりが光を浴びて輝く、路面を歩く。
1820それは常識として把握されていることだ。台風の目に入るとどんな嵐の中でも、瞬間穏やかな青空が広がることもある。だが彼女が言っていることは、そういうことではなかった。
「黒い渦のような殺伐とした環境もそれが当たり前だとね。異常や異変に気づかずのうのうと過ごせるのよ」
それが、私よ。そうして出来た、異端者だわ。
そう言って。彼女は、姿を消した。
台風一過の朝。昨晩までの荒れ模様が嘘のように、空は青く澄み渡り眩しい日差しが降り注いでいる。
降谷も連勤明けの朝を、迎えていた。台風接近の前から任務で詰めていたのだが、引き続き非常時対応の体制に入っていたわけだ。大きな被害が出なくて良かったと、一息つく心地で水たまりが光を浴びて輝く、路面を歩く。
晴田🍺
DONE降志ワンドロワンライ特別企画『パンツにまつわるエトセトラ』参加作品。「パンツがなかっただけなのに」(降志)
使用お題:パンツないんだけど
作業時間:150分
挿入未満ですが内容が明らかにアレなのでR-18とさせていただきます。
あなたは18歳以上ですか?(高校生不可)→Yes or No 5
バルサミコ
DONE第12回 #降志ワンドロワンライ 開催ありがとうございますお題 「夏風邪」「噂話」
所要時間 1時間
付き合ってる降志。
事後です。具体的な描写はないですが、ちょっと下ネタ気味なので自衛してください。
安室さんのかわいい彼女「くしゅん」
自分のくしゃみで志保が目を覚ますと、薄暗いベッドの上で、恋人の腕枕で布団もかけずに寝ていたようだ、全裸で。
体温の高い降谷も表面は汗を冷房で飛ばされて冷えてしまっている。
事の最中は暑くて冷房をガンガンに効かせていたが、終わると一気に冷えてしまったようだ。
志保はこういうことをする時、限界まで絶頂し続けた後に気を失うように眠ってしまうことが多いのだが、今までは降谷が責任をとって志保の体を清めて服を着せるところまでやってくれていた(志保の限界を超えて嬲って楽しんでいるのだから当然だ)。
しかし今日は、降谷もかなり疲労が溜まっていたようだったから、寝落ちしてしまったのだろう。
(だから、大人しく休みましょうって言ったのに…)
1598自分のくしゃみで志保が目を覚ますと、薄暗いベッドの上で、恋人の腕枕で布団もかけずに寝ていたようだ、全裸で。
体温の高い降谷も表面は汗を冷房で飛ばされて冷えてしまっている。
事の最中は暑くて冷房をガンガンに効かせていたが、終わると一気に冷えてしまったようだ。
志保はこういうことをする時、限界まで絶頂し続けた後に気を失うように眠ってしまうことが多いのだが、今までは降谷が責任をとって志保の体を清めて服を着せるところまでやってくれていた(志保の限界を超えて嬲って楽しんでいるのだから当然だ)。
しかし今日は、降谷もかなり疲労が溜まっていたようだったから、寝落ちしてしまったのだろう。
(だから、大人しく休みましょうって言ったのに…)
lin_co10ri
DOODLE #降志ワンドロワンライ 第12回参加作品です。CP「安哀」
所要時間 2時間45分
お題『夏風邪』『噂』
少し、絵コンテの付箋の要素、入ってます。
探るのは… 探り屋とは。対象やその周りの人々の気持ちを推し量り、うまく懐に入って様子や事情をつかんでいくこと。捜し人なども、得意とする。
…彼女は。かくれんぼが上手なようだけど。
そんな彼女は今小さな身体を自宅である、阿笠博士邸のベッドに横たわらせていて。何故かそこにいるのは自分一人。どうしてこんな状況になったのか、バーボン、いや今はその隠れ蓑である安室透の姿である彼は、優秀な探り屋と謳われる、その頭脳を巡らせた。
調査対象ともなったその少女のことを。探るために、この辺りにいたのは間違いない。その子のことを探れとは。潜入先の組織からも、本来の所属先からも、別に命じられているわけではないのに。そう、その子、のことは。
3836…彼女は。かくれんぼが上手なようだけど。
そんな彼女は今小さな身体を自宅である、阿笠博士邸のベッドに横たわらせていて。何故かそこにいるのは自分一人。どうしてこんな状況になったのか、バーボン、いや今はその隠れ蓑である安室透の姿である彼は、優秀な探り屋と謳われる、その頭脳を巡らせた。
調査対象ともなったその少女のことを。探るために、この辺りにいたのは間違いない。その子のことを探れとは。潜入先の組織からも、本来の所属先からも、別に命じられているわけではないのに。そう、その子、のことは。
vi_mikiko
MOURNING第11回降志ワンドロワンライに参加させていただきますお題:寝言・アイスクリーム・「私はパス」
寝言・アイスクリーム・「私はパス」「私はパス」
彼女の怜悧な声が、広いリビングに響いた。
――
よく晴れた休日。ポアロのバイトを切り上げた僕は、阿笠邸にやってきた。コンビニで購入した棒付きバニラアイスの箱を手に下げて。
「あー! おやつ買ってきてくれたのかよ!」
「わーい! ちょうどお腹すいてたの!」
「安室お兄さん、ありがとうございます!」
計算通り、子ども達がわらわらと群がり、喜んで唐突な訪問者である僕の居場所をつくってくれた。アイスの箱は六本セットで、ちょうどこの家にいる人数と同じ数だ。子ども達三人、博士、僕、そして――
「私はパス」
灰原哀。最後の一本を渡そうと思っていた彼女は、そう言って地下室に降りてしまった。
*
アイスを食べ終えた子ども達は、いつのまにかTVゲームに夢中になっていた。
1987彼女の怜悧な声が、広いリビングに響いた。
――
よく晴れた休日。ポアロのバイトを切り上げた僕は、阿笠邸にやってきた。コンビニで購入した棒付きバニラアイスの箱を手に下げて。
「あー! おやつ買ってきてくれたのかよ!」
「わーい! ちょうどお腹すいてたの!」
「安室お兄さん、ありがとうございます!」
計算通り、子ども達がわらわらと群がり、喜んで唐突な訪問者である僕の居場所をつくってくれた。アイスの箱は六本セットで、ちょうどこの家にいる人数と同じ数だ。子ども達三人、博士、僕、そして――
「私はパス」
灰原哀。最後の一本を渡そうと思っていた彼女は、そう言って地下室に降りてしまった。
*
アイスを食べ終えた子ども達は、いつのまにかTVゲームに夢中になっていた。
serisawa
MAIKING降志ワンドロワンライ第9回参加しました。CP:降志
お題:「ワンショルダー」
無自覚な降⇒志。
※絶対時間厳守マイルールにより未完結です。
降志ワンライ「オフショルダー」 五月の半ば。
梅雨の季節もまだ訪れる兆しは見せないというのに、気まぐれな太陽の熱視線が日本列島を直撃した。
観測史上最も早い真夏日の到来となるでしょう、と朝のお天気キャスターが告げた通り、アスファルトの照り返しを受けた街は、都心特有の蒸し暑さに支配されている。
蒸籠で蒸される焼売はこんな気分だろうか、と色気の欠片もないことを思いながら、降谷は待ち合わせ場所へと歩を進めていた。
気まぐれな夏を届けに来た太陽が最も高くなる正午過ぎ。
週末のアウトレットモールの客入りは上々のようだ。
屋外に設置された噴水広場は憩いの場として開放されており、照り付ける太陽の日差しの下、跳ねる水しぶきがキラキラと輝いていた。
1744梅雨の季節もまだ訪れる兆しは見せないというのに、気まぐれな太陽の熱視線が日本列島を直撃した。
観測史上最も早い真夏日の到来となるでしょう、と朝のお天気キャスターが告げた通り、アスファルトの照り返しを受けた街は、都心特有の蒸し暑さに支配されている。
蒸籠で蒸される焼売はこんな気分だろうか、と色気の欠片もないことを思いながら、降谷は待ち合わせ場所へと歩を進めていた。
気まぐれな夏を届けに来た太陽が最も高くなる正午過ぎ。
週末のアウトレットモールの客入りは上々のようだ。
屋外に設置された噴水広場は憩いの場として開放されており、照り付ける太陽の日差しの下、跳ねる水しぶきがキラキラと輝いていた。
lin_co10ri
DOODLE #降志ワンドロワンライ 第8回参加作品です。所要時間 +40分
お題『微熱』
志保さんを病ませてばかりですみません…
天使の梯子 薄曇りの中に漂う、とりとめのない存在。
本来の姿に、戻ったはずなのに。その実体を一番自分が、掴めていない。
「志保くん」
慣れ親しんだあったかい声が。自分の本名なのに親しんでない名を、呼んでくれる。
ぼんやりと。志保は声がした方を見た。
「起きてきて大丈夫なのかの? ホットミルクでも淹れようかのお」
「…ありがとう、博士。私が淹れるわ。ミルクティーにする」
笑顔を見せて、言うと。困ったように、でも安心したように、大切な家族でいてくれる人は、笑ってくれた。
元の姿に戻ったら。罪を償うつもりだったし、犯罪者にふさわしい、孤独の罰を受けるつもりだった。
なのに志保の体は。それを受けられるまでの状態にならなかった。常に微熱を帯び。倦怠感と悪寒を伴っている。
2354本来の姿に、戻ったはずなのに。その実体を一番自分が、掴めていない。
「志保くん」
慣れ親しんだあったかい声が。自分の本名なのに親しんでない名を、呼んでくれる。
ぼんやりと。志保は声がした方を見た。
「起きてきて大丈夫なのかの? ホットミルクでも淹れようかのお」
「…ありがとう、博士。私が淹れるわ。ミルクティーにする」
笑顔を見せて、言うと。困ったように、でも安心したように、大切な家族でいてくれる人は、笑ってくれた。
元の姿に戻ったら。罪を償うつもりだったし、犯罪者にふさわしい、孤独の罰を受けるつもりだった。
なのに志保の体は。それを受けられるまでの状態にならなかった。常に微熱を帯び。倦怠感と悪寒を伴っている。
serisawa
DONE降志ワンドロワンライ第八回参加しました。CP:降志
所要時間:1時間22分
お題:「微熱」「デートしよう」
工藤視点の二人、ラブコメ波動
降志ワンライ「微熱」「デートしよう」 どうしようどうしよう、と目の前でアタフタする女性――かつての相棒――宮野志保を目の前にして、工藤はどこか感慨深い気持ちを抱いていた。
ボブカットに切りそろえられた紅茶色の髪も、猫のような瞳も、かつて自分と同じ小学生の姿になっていた頃と変わらない。ただ、あの頃と違うことと言えばその表情だ。
否、冷静沈着で理論的、どこかシニカルな物言いをする姿はあの頃とやはり変わらない――普段、ならば。
今目の前にしている宮野志保は、頬を紅色に染めて、眉を困り果てたようにハの字に歪ませているが、そこに拒絶の意思はなく、ただただ予想外の展開に普段は鋭利な脳裏が働かないだけだというのは一目瞭然だった。
まあ、彼女がこんな状態になる理由は推理などするまでもなくわかっている。
2393ボブカットに切りそろえられた紅茶色の髪も、猫のような瞳も、かつて自分と同じ小学生の姿になっていた頃と変わらない。ただ、あの頃と違うことと言えばその表情だ。
否、冷静沈着で理論的、どこかシニカルな物言いをする姿はあの頃とやはり変わらない――普段、ならば。
今目の前にしている宮野志保は、頬を紅色に染めて、眉を困り果てたようにハの字に歪ませているが、そこに拒絶の意思はなく、ただただ予想外の展開に普段は鋭利な脳裏が働かないだけだというのは一目瞭然だった。
まあ、彼女がこんな状態になる理由は推理などするまでもなくわかっている。
ukionze1517kara
DONE第一回 「体温」#降志ワンドロワンライ
降志
時間:約50分
大遅刻のしかも一回目ですみません。
どうしても参加したくて…
付き合ってるでいいと思う同棲?同居?降志です。
微睡み春なのに少しひんやりとしている。
寝起きの身体から熱を逃さないために、毛が逆立って温もりを守ろうとする。両腕を擦ると少し温まった。
床は冷たく爪先立ちで廊下を歩く。
キッチンから漂う香ばしい香りに釣られてリビングのドアを開けた。そこには目玉焼きとベーコンを焼く降谷の姿があった。
「おはよう」
「…おはよう」
ニッコリと笑う顔が元気すぎて、昨日帰ってきたのは深夜を回っていたはずだ。
「あんまり寝てないんじゃないの?」
「ご心配なく。これでも二時間は眠れた」
「それ、適正な睡眠時間じゃないんだけど…」
「ショートスリーパーだから大丈夫」
大丈夫な訳ないじゃない…と思いつつ疲れを感じさせない降谷に志保はため息をついた。
テーブルの上にはトマトが入ったサラダに空の白いお皿、牛乳が並べられていた。
1357寝起きの身体から熱を逃さないために、毛が逆立って温もりを守ろうとする。両腕を擦ると少し温まった。
床は冷たく爪先立ちで廊下を歩く。
キッチンから漂う香ばしい香りに釣られてリビングのドアを開けた。そこには目玉焼きとベーコンを焼く降谷の姿があった。
「おはよう」
「…おはよう」
ニッコリと笑う顔が元気すぎて、昨日帰ってきたのは深夜を回っていたはずだ。
「あんまり寝てないんじゃないの?」
「ご心配なく。これでも二時間は眠れた」
「それ、適正な睡眠時間じゃないんだけど…」
「ショートスリーパーだから大丈夫」
大丈夫な訳ないじゃない…と思いつつ疲れを感じさせない降谷に志保はため息をついた。
テーブルの上にはトマトが入ったサラダに空の白いお皿、牛乳が並べられていた。
lin_co10ri
DOODLE #降志ワンドロワンライ 第7回参加作品です。所要時間 +10分
お題『爆発』『ヒロイン』『頑張ったね』
なんちゃってバボシェリです。
映画に関係はしてませんが。
ちょっと人魚姫イメージ。
助けたのは 大きな爆発音が聞こえる。激しい炎の熱気が。ここまで伝わってくる。
シェリーはビルの一角で、外を見つめて佇んでいた。寂れた風景で、夜の帳にも包まれて、ここがどこかも分からない。
……ああ、ここで私の命は尽きるのね、と思う。
…そして。それはそれでいいのかもしれない、なんて思う。
17まで生きてきて。心残りがあるとすれば。
そうね、中途半端で終わらせることになる研究は。口惜しいかもしれない。特に。両親の意思を継いだと思っている、研究は。
でも。脅され恐怖の支配下に置かれ、何に利用されているかも分からない研究を続けることに、本当に意義を見出だせているかというと。強く頷けなんて、しない。
──私の命なんて。ここで潰えても、いいようなもの。
1825シェリーはビルの一角で、外を見つめて佇んでいた。寂れた風景で、夜の帳にも包まれて、ここがどこかも分からない。
……ああ、ここで私の命は尽きるのね、と思う。
…そして。それはそれでいいのかもしれない、なんて思う。
17まで生きてきて。心残りがあるとすれば。
そうね、中途半端で終わらせることになる研究は。口惜しいかもしれない。特に。両親の意思を継いだと思っている、研究は。
でも。脅され恐怖の支配下に置かれ、何に利用されているかも分からない研究を続けることに、本当に意義を見出だせているかというと。強く頷けなんて、しない。
──私の命なんて。ここで潰えても、いいようなもの。
vi_mikiko
DOODLE第6回降志ワンドロワンライ参加作品です。お題:嘘・プレゼント・今度こそ逃がさない
嘘・プレゼント・今度こそ逃がさない 私の恋人は、プレゼントを欠かさない。
例えば待ち合わせに遅刻してきた時。事前に連絡もなく一晩帰ってこなかった時、予約していたレストランに現れなかった時。
つまり、私はよく約束を反故にされるのだ。でもその度彼は、駅で買えるスイーツから私が好きなブランドのバッグまで、あらゆるプレゼントで機嫌を取ってくるから、結局許すことになってしまう。
なぜこんなにも時間を守れないのか。彼がルーズだからではない。
彼の職業が、私立探偵だからだ。
依頼人からの連絡、対象者の動きに合わせて行動しているから、彼は常日頃オフの時間が読めない。
私もたまに手伝うため、彼の仕事事情には明るいつもりだ。今回の依頼人は若い女性。夫の浮気調査を依頼してきている。
2336例えば待ち合わせに遅刻してきた時。事前に連絡もなく一晩帰ってこなかった時、予約していたレストランに現れなかった時。
つまり、私はよく約束を反故にされるのだ。でもその度彼は、駅で買えるスイーツから私が好きなブランドのバッグまで、あらゆるプレゼントで機嫌を取ってくるから、結局許すことになってしまう。
なぜこんなにも時間を守れないのか。彼がルーズだからではない。
彼の職業が、私立探偵だからだ。
依頼人からの連絡、対象者の動きに合わせて行動しているから、彼は常日頃オフの時間が読めない。
私もたまに手伝うため、彼の仕事事情には明るいつもりだ。今回の依頼人は若い女性。夫の浮気調査を依頼してきている。
vi_mikiko
DOODLE降志ワンドロワンライ5回目投稿作品です。お題:木蓮、夜明け、なんでそんなこと言うの
SS二作です。繋がりはありません。
二作目は少しメタっぽいかもです。
木蓮、夜明け、なんでそんなこと言うの1.マグノリアの君
薬品棚に並ぶコーヒーとミルク。僕はそれを眺めるのが嫌いだった。
君が当たり前のようにとるその習慣は、僕が小さな頃通っていた病院で見かけていたものだから。
君が僕に伸ばす手、頬を滑る指から、薬品の香りがするのが嫌で。君の全てがエレーナ先生を想起させて、僕は君に木蓮――マグノリアの香りのハンドクリームを贈った。真っ白な香りをするそれが全てを塗りつぶすように、エレーナ先生の残り香を塗り替えるようにと祈って。
今では、木蓮が香る季節になると、君のことを思い出すようになりました。
今更、なんでそんなこと言うのって、君は言うね。
こちらはもう、夜明け前です。
*
薬品棚に並ぶコーヒーとミルク。エレーナ先生もそうしてたんだ、と寂しそうに笑うあなたのことが嫌いでした。
1522薬品棚に並ぶコーヒーとミルク。僕はそれを眺めるのが嫌いだった。
君が当たり前のようにとるその習慣は、僕が小さな頃通っていた病院で見かけていたものだから。
君が僕に伸ばす手、頬を滑る指から、薬品の香りがするのが嫌で。君の全てがエレーナ先生を想起させて、僕は君に木蓮――マグノリアの香りのハンドクリームを贈った。真っ白な香りをするそれが全てを塗りつぶすように、エレーナ先生の残り香を塗り替えるようにと祈って。
今では、木蓮が香る季節になると、君のことを思い出すようになりました。
今更、なんでそんなこと言うのって、君は言うね。
こちらはもう、夜明け前です。
*
薬品棚に並ぶコーヒーとミルク。エレーナ先生もそうしてたんだ、と寂しそうに笑うあなたのことが嫌いでした。
バルサミコ
DONE第4回 #降志ワンドロワンライ 開催ありがとうございます。「桃の節句」「寿司」
所要時間 2時間くらい?
同棲中の降志。例によってどこかの研究所勤務の志保はなんか捜査協力もしている設定です。
一応「夕陽に染まった雛人形」を踏まえたお話です。
ワンドロクオリティですがご容赦ください。
やっぱりオチ考えずに書き始めるのは苦手だ。
朝ごはんに食べたセロリも滋養強壮効果があるらしい本日は祝日で業務は休みだが、学会の準備が間に合っていないとのことで同棲中の恋人・志保が勤め先の研究所に出かけて行った。
珍しく祝日に休みが取れたのに恋人と過ごすことができず落胆してはいるのだがお互い様である。
余裕を持って準備したはずなのに…とブツブツと文句を言いながら家を出て行った志保のスケジュールを大幅に遅延させてしまったのは、降谷からの依頼も責任の大部分を占めているという自覚もあるので、降谷も志保に頭が上がらない。
午前中に軽い家事とトレーニングを終えた降谷は、スーツに着替え、お昼のお弁当と差し入れを持って志保の勤める研究所を訪ねた。
お詫びと激励をかねて、差し入れには春分にちなんだ牡丹餅や軽食を差し入れに行くことにする。
2177珍しく祝日に休みが取れたのに恋人と過ごすことができず落胆してはいるのだがお互い様である。
余裕を持って準備したはずなのに…とブツブツと文句を言いながら家を出て行った志保のスケジュールを大幅に遅延させてしまったのは、降谷からの依頼も責任の大部分を占めているという自覚もあるので、降谷も志保に頭が上がらない。
午前中に軽い家事とトレーニングを終えた降谷は、スーツに着替え、お昼のお弁当と差し入れを持って志保の勤める研究所を訪ねた。
お詫びと激励をかねて、差し入れには春分にちなんだ牡丹餅や軽食を差し入れに行くことにする。
vi_mikiko
DOODLE第4回目降志ワンドロワンライ参加作品です。お題:「桃の節句」「寿司」「顔だけはいいのよね」
(気持ち、↓の続きですが単話で読めます)
https://poipiku.com/3237265/8260579.html
「桃の節句」「寿司」「顔だけはいいのよね」 春の訪れを感じる季節。ポアロのバイトを終えた降谷が米花町を歩いていると、目の前に小さな背中が見えた。
背中の正体は、大きなビニール袋を手に提げた茶髪の少女、一人だ。
今日は桃の節句。雛祭りという呼び名の方が一般的だろう。幼い女子のいる家庭では、健やかな成長を祈り雛人形を飾る日。
「哀ちゃん」
背後から声を掛ける。夕飯の買い物だろうか、大きな荷物のせいでいつも以上に彼女の身体が小さく見える気がした。
「今日は、博士の家でパーティはしないのかな」
「しないわ。うち、雛人形ないし」
「……そっか」
彼女の買い物袋を引き、奪い取るように持った。彼女は「いいのに」と言いつつ、降谷の横を大人しく歩く。
先月の節分では博士の家で探偵団らと豆まきを楽しんでいたが、今日は一人なのだろうか。幼少期からアメリカに留学していた彼女は、雛人形を見たことがあるのだろうか。遠く離れた国で一人過ごす彼女に思いを馳せ、勝手に寂しい気持ちになる。
2227背中の正体は、大きなビニール袋を手に提げた茶髪の少女、一人だ。
今日は桃の節句。雛祭りという呼び名の方が一般的だろう。幼い女子のいる家庭では、健やかな成長を祈り雛人形を飾る日。
「哀ちゃん」
背後から声を掛ける。夕飯の買い物だろうか、大きな荷物のせいでいつも以上に彼女の身体が小さく見える気がした。
「今日は、博士の家でパーティはしないのかな」
「しないわ。うち、雛人形ないし」
「……そっか」
彼女の買い物袋を引き、奪い取るように持った。彼女は「いいのに」と言いつつ、降谷の横を大人しく歩く。
先月の節分では博士の家で探偵団らと豆まきを楽しんでいたが、今日は一人なのだろうか。幼少期からアメリカに留学していた彼女は、雛人形を見たことがあるのだろうか。遠く離れた国で一人過ごす彼女に思いを馳せ、勝手に寂しい気持ちになる。
vi_mikiko
DOODLE第3回降志ワンドロワンライ投稿作品です。「匂わせ」
「ハート」
「本当に、○○されると思った?」
『ごめん。今日、帰れそうにない」
彼からのメッセージに、私はスマホを投げそうになった。
*
今日は二月十四日。世間がバレンタインと言って浮かれている日。
先日、彼と一緒に食べようと言って、大きな箱のチョコを買ったのに。彼はポアロから帰れなくなったらしい。
一年で数少ないイベントの日、チョコケーキを売るポアロも繁忙だということはわかっている。
それでも、今日は夕飯前に帰るって約束したくせに、反故にした彼に腹が立つ。先に一人で食べていようと。チョコの包装紙をビリビリに破った。
私が購入したのは、某有名ショコラブランドのバレンタイン限定セット。人気店員である彼とは外で二人になるわけにはいかないから、一人寂しく並んで手に入れたもの。
2425彼からのメッセージに、私はスマホを投げそうになった。
*
今日は二月十四日。世間がバレンタインと言って浮かれている日。
先日、彼と一緒に食べようと言って、大きな箱のチョコを買ったのに。彼はポアロから帰れなくなったらしい。
一年で数少ないイベントの日、チョコケーキを売るポアロも繁忙だということはわかっている。
それでも、今日は夕飯前に帰るって約束したくせに、反故にした彼に腹が立つ。先に一人で食べていようと。チョコの包装紙をビリビリに破った。
私が購入したのは、某有名ショコラブランドのバレンタイン限定セット。人気店員である彼とは外で二人になるわけにはいかないから、一人寂しく並んで手に入れたもの。
serisawa
DONE降志ワンドロワンライ第三回参加しました。CP:降志
所要時間:1時間12分
お題:ハート
付き合ってる二人、ちょっぴり大人の雰囲気。
降志ワンライ「Subtitle」 人間は二つに分類される、と思う。
昼に生きる者と、夜に生きる者だ。
勿論、約78億人が生きる地球上の人間をたった二つに分類するなんてことはバカげているとわかっている。
千差万別、多種多様、十人十色、と多様性を促す言葉は多々あるけれど、生まれた時から闇と供に生きてきた志保にとって、世界は闇と光に分かたれていた。
一般的な20代前半成人女性には稀有な人生経験を積み重ねて、今はごく普通の社会人として生きる彼女は、それでもやはり今もなお、自身は夜に生きる側だと思っている。
決して悲観的な意味ではなく。かつて『目つきの悪いアクビ娘』などと失礼な呼称で呼ばれた由来通り、単純に朝に弱い夜型人間であるからだ。
1902昼に生きる者と、夜に生きる者だ。
勿論、約78億人が生きる地球上の人間をたった二つに分類するなんてことはバカげているとわかっている。
千差万別、多種多様、十人十色、と多様性を促す言葉は多々あるけれど、生まれた時から闇と供に生きてきた志保にとって、世界は闇と光に分かたれていた。
一般的な20代前半成人女性には稀有な人生経験を積み重ねて、今はごく普通の社会人として生きる彼女は、それでもやはり今もなお、自身は夜に生きる側だと思っている。
決して悲観的な意味ではなく。かつて『目つきの悪いアクビ娘』などと失礼な呼称で呼ばれた由来通り、単純に朝に弱い夜型人間であるからだ。
vi_mikiko
DOODLEお許しください……降志ワンドロワンライ参加作品
お題:
「節分」
「眼鏡」
「お気に召した?」
節分。
それは立春の前日に行われる、日本古来から親しまれている行事。
外は未だ冷たく透明な空気だが、暦上はもう春がくるのだ。
日本を愛し日本に愛された男、降谷零は、本日招かれた会場のチャイムを意気揚々と鳴らした。
「安室さん。いらっしゃい」
玄関に出てきたのは、この家に住む小さな少女。仮の名で呼ばれた降谷――安室は、自分と同じ異国の血が混じる彼女を見て目を細める。遠い国に出自を持つ二人が、何の因果かこの日本で出会い、共に日本の文化を楽しめるのだ。
少女――灰原哀との関係は、以前は目も合わせてもらえないほど殺伐としていた。しかし、徐々に関係を詰めていき、今ではポアロの配達を頼まれるくらい仲を深めている。
2481それは立春の前日に行われる、日本古来から親しまれている行事。
外は未だ冷たく透明な空気だが、暦上はもう春がくるのだ。
日本を愛し日本に愛された男、降谷零は、本日招かれた会場のチャイムを意気揚々と鳴らした。
「安室さん。いらっしゃい」
玄関に出てきたのは、この家に住む小さな少女。仮の名で呼ばれた降谷――安室は、自分と同じ異国の血が混じる彼女を見て目を細める。遠い国に出自を持つ二人が、何の因果かこの日本で出会い、共に日本の文化を楽しめるのだ。
少女――灰原哀との関係は、以前は目も合わせてもらえないほど殺伐としていた。しかし、徐々に関係を詰めていき、今ではポアロの配達を頼まれるくらい仲を深めている。
serisawa
DONE降志ワンドロワンライ第一回参加しました。CP:降志
所要時間:1時間11分
お題:手袋・体温
付き合ってる二人、冬のワンシーンです。
降志ワンライ「きみはポラリス」「手袋、」
「ん?」
「忘れたわ」
「……ではお手をどうぞ、お姫さま」
素直じゃないなぁ、なんてカラカラと笑う降谷は、志保の回りくどいおねだりに従順に応えてその手を握った。
志保のそれよりずっと大きな手にすっぽりと包まれると、じわじわと温かい体温が移ってくる。同時に彼の体温を奪っていることになるのではないかと懸念した頃もあったが、自身への過小評価癖こそが彼を悲しませる一番の要因なのだと気付いてからは、純粋な厚意に甘えることも身についてきた。
冬の夜。
新年も明けて三週間あまり。お正月ムードは完全に立ち消えて、社会は皆、変わり無いようで日々異なる日常を、当たり前のように繰り返している。
住宅街を並んで歩く二人の周囲は、吐き出す吐息で白く染まる。一月の空気はシンと冷え切っていた。
1686「ん?」
「忘れたわ」
「……ではお手をどうぞ、お姫さま」
素直じゃないなぁ、なんてカラカラと笑う降谷は、志保の回りくどいおねだりに従順に応えてその手を握った。
志保のそれよりずっと大きな手にすっぽりと包まれると、じわじわと温かい体温が移ってくる。同時に彼の体温を奪っていることになるのではないかと懸念した頃もあったが、自身への過小評価癖こそが彼を悲しませる一番の要因なのだと気付いてからは、純粋な厚意に甘えることも身についてきた。
冬の夜。
新年も明けて三週間あまり。お正月ムードは完全に立ち消えて、社会は皆、変わり無いようで日々異なる日常を、当たり前のように繰り返している。
住宅街を並んで歩く二人の周囲は、吐き出す吐息で白く染まる。一月の空気はシンと冷え切っていた。