ポッキーの日、とはご存知だろうか。
それはプリッツにチョコレートをかけたお菓子の語呂合わせの日である。
日本人なら誰だって知っている。誰だって好きであろうお菓子。私はそのお菓子のようなものをお皿にのせて恋人の部屋の前で立ち尽くしていた。
細いクッキー生地のプリッツにつやつやのチョコレートがかけられた一品。これは以前ネロに話したのを覚えていてくれて、作ってくれたお菓子だ。名付けてほぼポッキー。限りなくポッキーに近くて私はとても喜んで、ネロに感謝を告げた。
そして意気揚々と恋人のもとへ共有しに部屋の前まで来たのだけれど。
「晶?」
カチャリ、と音を立てて目の前の扉が開かれる。そこにはオリーブブラウンのふわふわの髪の恋人、ファウストが寝巻きを見に纏って顔を出した。
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