日常崩壊寸前携帯端末のアラーム音で目覚める。
それが、少年にとっての《日常》であった。
「少年、起床の時間だ」
だが、今は違う。
優しく少年の肩に触れる大きな冷たい手。薄らと開いた彼の目に映るのは、鮮やかな青色
「あおがみ」
呂律が回りきらない状態で名を呼び、少年は再び目を瞑る。
それは彼らの間の合図でもあり、ベッドに片手をついたアオガミの体重により、ベッドが軋む音を立てた。
「……少年、朝だ」
「ん」
ふれ合った唇がそっと離れ、彼らの朝が始まる。
少年の平凡であった《日常》は、幸福を更新し続けていくのである。