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    ことにゃ

    @kotonya_0318

    各種サイトで細々と活動中。19歳。
    いろいろ垂れ流してます。うちの子語り多め。
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    ことにゃ

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    クルアくんとアメリアの結婚式当日、式本番直前のはなし

    #バーベナの花が咲く頃に
    whenVervainFlowersBloom.

    いつかのように、彼女の前で泣くのだけは御免だった「幸せになってください」

     美麗なウエディングドレスに身を包んだ彼女がそう言ったのは、結婚式本番直前、控え室での出来事だった。

    「……それは、どういうことだ?」

     少し考えたものの、言葉の意図がいまいち掴めなくて聞き返せば、「すいません、言葉が足りませんでしたね」とすぐに謝罪が返ってきた。

    「私とあなたは、傍から見れば政略結婚だと、そう思われるでしょう。実際、貴方からしたらそうでしょうし」

     彼女から発せられる言葉達が、とても式直前に話す内容ではなくて少し困惑する。思わず首を傾げた俺に、彼女は薄く笑ってからまた口を開いた。

    「けれど、私が望むのは形だけの家族ではありません。私とともに努力し、家を守り育てて行ける婿が望ましかった」

     彼女はいつも通りの調子で続けた。

    「だから、母から婿候補を見せられた時貴方を見つけて……安心した、と言うか。貴方は努力家で、己の不利な点を長年のそれでカバーすることの出来る素晴らしい人だと、知っていたので。……まあ、お互い気心が知れている方が何かと楽かと思った、という打算的な面もありましたが」

     ふう、とひとつ息を吐き、彼女が改めて俺と視線を合わせる。いつもよりもずっと着飾った彼女に見つめられると、なんだか落ち着かない気分になった。

    「つまりですね、私が言いたいのは」

     ごくり、緊張のためか、思わず唾を飲む。

    「私が、あなたを望んだのです」

     その言葉は、まるで弾丸のように俺に刺さり、そして貫通することも無く体内に残った。

    「ですから、私は当主として、そしてあなたの妻として、あなたにも幸せをつかんでほしい」

     半ば呆然としたまま、続きを聞く。

    「ただ義務感から家にいるのではだめなのです。私の家が、あなたの家になります。あの家で、貴方も心地よく過ごして欲しい」

     それでもどうしてか、彼女の口から紡がれる言葉たちはすとんと自分の中へ落ちてきた。

    「だから、貴方にも幸せに……いえ、言い方が、違ったかしら。貴方も、幸せにします」

     いつも通り凛と背を伸ばし座る彼女が、俺を真っ直ぐに見るその鮮やかな青が、あんまりにも綺麗で、目頭が熱くなった。
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