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    りーな

    @daryunaru
    好きなように二次創作物
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    りーな

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    水臼。臼井先輩誕生日おめでとうございます…になってるか怪しい。水←臼なようで水→←臼であれ

    #水臼
    waterMortar

    メロンパンと薔薇 高一の誕生日はおめでとうと言われるのみだった。高二の時はメロンパンを二つ渡された。どうぞ、と言いながらも水樹は盛大にお腹を鳴らしていた。仕方がないので一つを返した。プレゼントなので、と水樹は辞退しようとしていたが、気持ちだけで十分だと半ば押し付けるように返した。当時の自分は水樹のことが嫌いだったのでメロンパン一つでも水樹からの厚意が重荷だった。
     高三の誕生日の時にはすでに自分の水樹への感情に名前を付けていた。それと同時に想いを伝えようとか、成就させようとか、そういう欲は捨てた。チームで全国へ行くことが何より大事だ。しかも現在水樹は怪我をしてる。先輩達の卒業、新入生の加入。副部長としてやるべきことが山積みというのもあるが、水樹にそういう情緒を期待してはいない、ということが一番大きかった。
    「臼井先輩、これ私達からです!」
     朝練後、二年の知らない女子達数人から薔薇の花束をもらった。ありがとう、と笑顔で受け取ると、きゃあきゃあ歓声を上げて彼女達は去っていった。誕生日おめでとうございます! これからも応援しています! と叫びながら。側で見ていた速瀬、国母が中心になって色男だの女泣かせだの騒ぎ立てて煩い。色男はともかく、女性を泣かせるような真似はしていない。後輩は若干引いてるし、他の三年も囃し立てるし。男冥利に尽きるってやつだろと言われてもな。まあ嬉しくない訳ではないけど。灰原が写真を勝手に撮ろうとしたので、そっちを向いて笑顔を作ってやる。イケメン様めと藤友が笑った。
     水樹はというと、何も言わずにじっとこちらを見ていた。どうかしたか、と聞いてみると。
    「綺麗だな、と思っていた」
    「ああ、薔薇だよ。知ってたか?」
    「薔薇という名前は聞いたことがある」
    薔薇見たことねーのかよ、灰原がツッコミを入れる。あるとは思うが名前は知らなかったと水樹は答える。水樹らしいなと思う。
    「十本の赤い薔薇の花束は『あなたは完璧』という意味だそうだ」
    猪原が教えてくれた。彼女から聞いたのか、と聞くと猪原は照れてそっぽを向いてしまった。完璧か。彼女達から見た俺が『完璧』に見えているなら上等だ。たとえ実態が違っていたとしても。
    「おい、お前ら! そろそろ学校行けよ、遅刻だぞ!」
    監督に追い立てられて授業に向かう。花束を教室に持って行く気にはなれず、部室に置いていった。
     その日の昼休み、水樹からメロンパンを十個もらった。他のサッカー部の三年からももらっていたので、合計三十個近くになってしまった。流石に一人では食べられないのでみんなで分けた。水樹からのプレゼントは全部自分で食べておきたかったけど、無理なものは無理だ。
     水樹がくれたメロンパンのうち五個はパン屋で買ったものだが、残りは購買で買い足したものらしい。五個でも多いのに何故買い足したんだ。薔薇に対抗したとか。水樹がそんなことするはずがないな。

    ✴︎✴︎✴︎

    灰原に「なんで薔薇なんだ」と聞かれて「綺麗だと思ったから」と答えた。笠原との最後の宴でも選手権の抽選会でも花束を持っていったのは、ここぞという時は正装で花束も当然持つべきだと考えたからだ。ただ、薔薇にしたのは、あの時臼井が貰っていた薔薇の花束が綺麗だったから。花束というものは薔薇が一番綺麗なのだと思った。それだけのことだ。抽選会の後、部室に戻ると何故かみんなに大笑いされてしまった。生方は会場で、なぜかずっと怒ったり恥ずかしそうにしていたし。臼井が預かるよと言って手を差し出してくれたので花束を渡す。うん、やっぱり綺麗だ。
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