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    下町小劇場・芳流

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    2023.3.18ダイ&ヒュンケルオンリーイベント「一秒、一瞬」合わせ
    「おれの先生」サンプル

    #ダイの大冒険
    daiNoDaiboken
    #ヒュンケル
    hewlett-packard
    #ダイ
    die

    「おれの先生」サンプル 鬼岩城を撃退したものの、深手を負ったヒュンケルと、氷の海で一時期行方不明になっていたダイは、ベッドの中に押し込められ、休養を余儀なくされていた。
     部屋から出ようものなら、寄ってたかって説教され、また病室に戻されるとあっては、さしものヒュンケルも観念して、おとなしくベッドの住人となっていた。
     手持ち無沙汰だろうから、とクロコダインが、ヒュンケルに差し入れてくれたのは、もう何度も読んだ「アバンの書」だった。
     だが、ヒュンケルは、何度通読したかわからないその書を、ベッドの上で、飽きることなくまた開き、読みふけっていた。
     そして、時折、その面には穏やかな笑みが上っていた。
     隣のベッドで、やはり手持ち無沙汰にしていたダイは、そんな長兄の様子を興味深げに眺めていた。
     ダイは、仰向けに寝っ転がったまま、隣のベッドで半身を起こしていたヒュンケルを、上目遣いに見上げていた。ダイは、しばらくじーっと視線を注いでいたが、寝返りを打って、うつぶせになり、寝具に顔を埋めた。
     そして、ダイは、布団に頭から潜りこむと、小山を作った。毛布の中でもぞもぞとしていたが、またひょっこりと顔を出す。
     ダイは、今度は、腹ばいになって、ヒュンケルに視線を注いでいた。その横で、ヒュンケルは、半身を起こしたまま、相変わらず、アバンの書のページをめくっていた。
     ダイは、何度も兄弟子に声を掛けようとし、だが、邪魔をしては悪いと思ったのか、なかなかダイは声が出なかった。
     そうしてもぞもぞとしているうちに、ダイの方に声が降ってきた。
    「どうしたんだ、ダイ。」
     読書の邪魔をしちゃいけないと思っていたはずの当の本人から声を掛けられ、ダイは恐縮した。
    「ごめん、邪魔だった?」
     申し訳なさそうに小さくなって詫びるダイに、ヒュンケルは、本から顔を上げると、笑みを浮かべて答えた。
    「そんなことないさ。
     だが、退屈そうだなと思ってな。」
    「そうなんだよ~体を休めろって言われてもさあ。おれ、こんなふうにおとなしくするのって苦手なんだよ。」
    「エネルギーが余っているんだな。」
     そう言って、ヒュンケルは苦笑した。
     ダイは、ヒュンケルのベッドに近寄ってくると、猫のように布団の上に上がり込み、ヒュンケルの手元をのぞき込んだ。
    「先生の本・・・だよね。面白い?」
    「ああ。」
    「おれも、レオナに読んでもらってさ、先生らしいなあ、いいこと書いてあるなあって思ったんだけど。」
    「だけど?」
    「・・・字が、難しくて。」
     そう言うと、ヒュンケルは、くくっと笑みを漏らした。
     途端にダイが膨れる。
    「もう、笑わなくてもいいじゃないか!」
    「すまん、すまん。」
     ヒュンケルは直ちに謝ったが、ダイは、口を尖らせたままだった。
    「ヒュンケルはいいよな~。強いだけじゃなくて、頭もいい。」
    「そんなことないさ。
     俺も、先生に出会った頃は、簡単な文字しか読めなかった。」
     ダイは、意外そうに目を丸くした。ダイから見るヒュンケルは、大人の男性で、その戦士としての力量にも、学力にも全く隙がないように見えていた。
     ダイは、ヒュンケルに聞き返した。
    「そうなの?」
    「ああ。難しい文字は、先生に教わったんだ。」
    「へ~。
     あ、でも、ヒュンケルって、先生に会ったときって小さかったんだよね。」
    「そうだな。」
     ヒュンケルはうなずいたが、今度は彼がダイに尋ねた。
    「字は、アバンは教えてくれなかったのか?」
    「教えるって言ってくれてたんだ。スペシャルハードコースが終わったらって。
     でもさ、ほら、おれ、先生の修行、3日しか受けられなかったから。」
    「ああ、そうだったな。」
     ダイが残念そうに声を落とすと、ヒュンケルも、低い声で相槌を打った。
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