ふしぎなのかかん おしまい!「そろそろ起きろよ、エレイン♪」
優しく揺すられたエレインは、うっすら瞼を持ち上げた。が、適度な揺れが心地よくてまた瞼が落っこちそうになる。
「ランスと一緒にパンケーキ焼いたんだぜ。冷めないうちに食えよ♪」
ぱんけーき!
エレインはしっかり瞼を開き、起き上がる。それからうーんと伸びをして、「うん、起きたわ!」と自らに気合を入れた。
「ずいぶんよく寝てたな」
「それがねぇ、おかしな夢をみていたのよ。ちょっと懐かしいんだけど、色々へんてこで」
「ふーん」
バンはエレインを抱き上げながら頷いて興味を示す。二人で部屋を出るとランスロットが「早くあったかいうちに食おうぜ」と、両親を待ち構えていた。
「エレインが変な夢を見たんだってよ」
「へぇ、どんな?」
「食べながら話すわね。でも起きたらところどころがおぼろげになっちゃって……」
三人は食卓を囲む。その真中にはベリーが山盛り添えられた、見た目も楽しいほかほかのパンケーキ。
エレインはそれを夢でも見た気がして、少しだけ首を捻った。
「あっ、思い出した」
「どうしたエレイン」
「何を、おふくろ?」
二人は息ぴったり、同時に尋ねる。エレインは切り分けて貰ったパンケーキをつついてにっこり笑った。
「てれびっていう魔法の箱があってね……」
おしまい!