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    sh14302595

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    『一緒にてるてる坊主を作る』『ルカのび』を描きor書きましょう。
    #shindanmaker#kawaiiCP
    https://shindanmaker.com/62729

    (クラスメイトと)一緒にてるてる坊主を作る(のびを見てる)になった。ルカ視点で2人の絡みはありません

    てるてる坊主を作るルカのび小学校には帰りの会があって、先生と呼ばれるおとなから何かしらの声かけがある。転校2日目にしてルカはその時間を理解していた。けれどその日は、1日目にはなかった生徒たちの不満げな声が上がった。ざわつく教室を抑えるように、先生が教室の端から端まで顔を動かす。
    「えーっ、じゃない! みなさんだって、1年生の時にはお兄さんお姉さんたちからもらったんです。今度はみなさんが贈る番です。ひとりひとつ、作って来るように」
    そう言えばそうだった、ルカの前に座る隣り合わせの生徒が思い出を瞳で交わし合ううち、今日の当番が号令をかける。きりつ、れーい、みなさんさようなら。
    帰りの会が終われば放課後で、飛んで行くように出て行く子もいれば、椅子に座りなおす子もいる。
    「てるてる坊主なんて、幼稚園児じゃないんだから」
    「作ってるのなんか見られたら妹に笑われちまう」
    肩をすくめて出て行く姿を見れば、10歳とはずいぶんおとなびたものだと思う。自身はどうだったか、千年前の記憶が引き摺り出されかけ、ルカは慌てて別ごとを考える。考えれば鮮明に思い出せてしまうというのは不便だ。
    椅子に座りなおした子たちは、みんな同じような材料を机に置いている。ティッシュ、新聞紙、輪ゴム、黒いペン。どれも同品質のものが、この教室にはいくらでも置いてある。ルカも材料を調達するフリをして、作り方を目で盗む。新聞紙をくしゃくしゃに丸め、ティッシュを上から被せ、輪ゴムで留める。最後に顔を書けば完成。たしかに児戯らしいお手軽さだ。けれど眺める机の中に、その児戯にももたつく手があった。
    「あー! もう、またやぶれたぁ〜!」
    更には泣き声まで上げている。顔を見ずとも、彼の声をルカはもう覚えていた。のび太ぁ、うるさいぞ。クラスメイトのうんざりした声。
    のび太。昨日と今日で何度聞いたかわからない名前をまた胸の中で繰り返す。
    のび太は、どうやら新聞にかけたティッシュを輪ゴムで留める段階で引っかかっているらしい。
    ルカも子どもたちの後を追い作ってみるが、たしかに同じところで破れてしまった。このティッシュという紙は、あまりに均一に薄く柔らかい。顔を上げれば、のび太がうるさいと声を上げた子どもに泣きついている姿が見える。
    「たのむ! コツ教えて〜! 何度やっても破けちゃうんだよぉ!」
    「わかった、わかったから鼻水つけんな!」
    新聞紙がでかすぎんの。あたまもう少し小さくして、で、あたまの上からまた新聞紙かけて体も作っとくんだよ。そしたらティッシュかぶせてもやぶれないだろ。
    根負けしたにしてはその子は丁寧に教えていて、作るから見ててよ〜とのび太に縋りつかれても、ならはやくしろ、みたいテレビが始まるんだよ! と言うだけでもたつく手に酷く苛立つこともない。ぼくもはやく帰りたいんだよ〜! 泣くのび太に思わず笑ってすらいた。ちがう、そうそう、のび太の隣そのふたつの言葉が何度か行ったり来たりして、のび太のてるてるぼうずは完成した。
    「できたー!! うわ、生まれてから今までで一番きれいなてるてる坊主!」
    「おおげさだなぁ」
    「そんなことない! これならきっと1年生のみんなも喜んでくれるに決まってる!」
    「昔作ってたやつはちっちゃい子泣かせてたもんな」
    「わすれてよそんなこと〜!」
    飛び上がってニコニコと笑ったと思えばまた泣く。全身で喜び慌てるのび太に呆れたふりをしながら、じゃあな、その子は荷物を持って教室を出て行く。ほんとうにありがとうー! 彼の背にかかるのび太の声はどこまでも響くようで、弾けるような喜びに満ちていた。作り終わったのび太自身も、荷物をまとめていそいそと教室を出て行く。


    ルカの本来の目的からすれば、目的を達せばいなくなる場所だ。工作よりも、のび太の動向を気にかけ後を追う方が大事に決まっていた。
    『きっと喜んでくれる』
    それなのにルカの手は、先程見た通りに動いててるてるぼうずを形作る。
    できてしまえばあっという間で、のび太がどうしてあんなに悩んでいたのかもルカにはわからない。それでも、こんなに簡単に作ってきっと簡単に捨てられてもしまえるものを。下駄箱の前で月のウサギを信じていると声をあげていた姿を。すすき畑で真っ直ぐに声を向けられた時からきっと。
    君なんだと、ルカは決めていたのだった。

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