【現パロ】待ち合わせは学校で『本日はお迎えに上がります』
そんな雅からのメッセージに僕は情けないことに椅子から転げ落ちるのだった。
***
「本当に悪い!今日ばかりは寄り道していられないんだ!」
そう言って校則だとか気にしている暇もなく廊下も走って急いで外靴に履き替え校門へと向かう。予想通り、雅は好奇の目に晒されていた。女子校の制服を着た可憐な美女なんてそりゃもう気になってしまうというものだったが雅が僕のものだと示すためにも雅の元へと駆け出す。
「雅!」
「晋ちゃん遅い!」
そう僕に言うのはおうのだ。雅の腕に自身の腕を組ませていてそれに雅は困ったように笑っている。どうやらおうのが側についていたからこそみんなは見ているだけに努めているように見えた。
「誰かに声を掛けられたりはしなかった?」
「おうのさん以外は別に」
「ふふん、私がきちんと雅さんのナイトしてたんだからね!」
「それはどうもありがとう」
「別にただ待っているだけですよ?そんな危険なことなど何も……」
「「雅/雅さんは何もわかっていない!!」」
思わず僕とおうのの言葉が重なった。
「分かっていないって何を…、」
「君、うちの生徒に見られてたの気づいてる?」
「…女子校の制服が珍しいということでしょうか?」
「そうじゃな…いや、それもあるかもしれないけど…みんな君に見惚れていてそうなってるんだよ!」
「…何かの冗談では?」
「んなことあるか!?冗談で僕は言わないぞ?」
ああ、これだから心配で放って置けないと息を吐いた。
「もしかして、お嫌でしたか?」
「嫌というか…君が美人なのは知っているし人に好かれる性格をしているのも知っている。そういう君が好きだし愛らしいとも思っている…けど、僕以外の目に映るのはどうしても…」
面白くない、と溢せばおかしそうに雅は笑った。
「馬鹿な人」
「なっ!?」
「ふふ、本当に馬鹿ですね」
そう言いつつもなんだか雅は満足そうで僕は首を傾げながら雅を抱きしめる。すると聞き覚えのある声が後方からして顔を顰めた。
「坂本くんに岡田くんにお竜くんに阿国くん…」
「やあ、高杉さんバタバタしていたから驚いちゃったよ」
「なんやこの女は」
「僕の婚約者だよ」
「井上雅子と申します。いつも晋作様がお世話になって…」
「いやいや…坂本くんはともかく岡田くんは僕の方がお世話してばかりだけどなぁ!?」
「なんやと!?」
まあまあ、と宥める坂本くん。お竜くんと阿国くんは困ったように肩をすくめていた。
「世話なんてとんでもない。いつも高杉さんには助けられてばかりだよ」
「なんとそれは…」
ふふ、と嬉しそうに雅は笑った。
「雅、そろそろデートに行かないか?彼らと話してる時間が勿体無い」
抱きしめたまま言えば近くの岡田くんは唾を吐いた。
「…晋作様、離してください。歩こうにも歩けません」
「ええ〜」
言われて離れれば手を握られる。
「これでいいでしょう?」
僕の雅はなんと最高な女なのだろうと惚れ直し手を握り返した。
「わはは!やっぱり雅は最高だな!」
そう笑ってくるりと皆の方を振り返る。
「というわけで僕たちはこれからアツアツデートだからまたね!」
そう言って背を向け歩く。後ろからは「雅さん!今度は私とデートしましょうね〜!!」というおうのの声が聞こえる。それに律儀に手を振りかえす雅。少しでもこっちを向いて欲しくて僕は雅の額にキスを。顔を真っ赤にさせ怒る雅。怒ってもやっぱり可愛くて、僕は頬をにやけさせてしまうのだった。
-了-