二十四節気「春分」電子音は仕事の日も休みの日も変わらず同じ時間に奏でられる。七海はピリピリと可愛らしい音に誘われ、瞼を閉じた状態で腕を伸ばし、電子音を止めようと
「うん?」
身体が異様に重怠かった。ぬくぬくと暖かい布団のなかにおさまっていたいのは当たり前、それよりもっと物理的な意味で重さを感じ、動くのがとても億劫、といった感触。
なぜだろう。
不鮮明な頭でぼんやりと理由を考える。
そもそも昨日はどれだけ身体を動かしただろう。早い時間にベッドに入ったのだから、疲弊が残っている可能性は低いはず。一番の心当たりがなくなると、いつもと違った眠り方をしただろうかとも考え。とにもかくにも。カーテンの隙間から差し込む朝日を味方に自身を見下ろすと、掛け布団はみるからに膨らんでいるのが分かって納得した。
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