仕返し「串刺しにして火で炙るとかいってたから、どんな怖いやつかと思ったよ」
余ったマシュマロを頬張りながら樹果が言った。
「ラッピングの手伝いに来てくれて助かったよ」
生徒会室の机上に、おそらく返礼用の大量のラッピングされたマシュマロが整然と並んでいる。
「ところでさー、なんで蘭丸呼ばなかったの? ああいう細かい仕事好きそうじゃん、あいつ」
「奴は、マシュマロをバックンに横流ししそうで怖い」
自分のぶんの紅茶を席に持ってきながら、うるうは答えた。
「焔は?」
「そのことについて、相談したい」
「えっ、なになにー? なんでも聞くよ!」
樹果は好奇心に瞳を輝かせている。
「僕は傷ついた。だから復讐したい」
樹果の肩が強張って、笑顔がそのまま凍った。
「先刻のカレーの件で、僕の味覚はたいへん傷ついている。それというのも、焔の頓狂な味覚のせいだ。水を飲めばいいってものではない。だから」
紅茶をひとくち飲んでから、うるうは話を続けた。
「奴のカレーのライス部分をマシュマロに変えることで復讐を果たしたい」
「乗った」
即答だった。
「あんなの好き好んで食べる奴の気が知れない。うるう、俺が寶にも連絡して協力をとりつけるよ」
「助かる」
別にマシュマロでなくても、何でもよさそうなものなのに。樹果は思った。ひょっとしてイベント的なやつだよなー、これ。俺の知らないところで何か焔にもらったから、何とかお返ししようと考えてて、上手くできなかっただけ?
焔に聞いても、どうせ怒られるだけだから、知らないふりしてよう。ツボスコ激辛カレーの犠牲になったのはうるうだけじゃなく、俺も犠牲になったんだし。