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    ひわ@turoporfali

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    #F蘭ワンドロ お題:花火/fireworks。蘭丸さんに探りを入れる寶さん。とくにカップリング要素はないと思います。

    fireworks, wetworks ドアベルの音がしたので、寶は洗い物の手を止めて振り返った。
    「ただいま」
     蘭丸が帰ってきていた。
    「みんなは? 喧嘩でもしたん?」
    「そういうんじゃないけど、なんか、いづらくなって」
     カウンターに座る蘭丸に、アイスコーヒーを出してやる。
    「おしぼりとお水はセルフサービスや。冷コーはあと30分で廃棄のブツや。心して飲み」
     はい、いただきます、とまじめくさった表情で蘭丸はアイスコーヒーを飲み始めた。
    「花火、見えたん?」
     蘭丸はうなずいた。
    「焔も樹果もすごく喜んでたし、うるうも口では何か言ってたけど、怒ってはいなかった」
    「嫌なことでも言われたん?」
     蘭丸は首を振った。
    「空を見るなら、一人のほうがいい気がして」
     その理由は、誰かと接触をはかっているからか?
    「ワイなら、べっぴんさんとしっぽり暗いところで見たいとこやけどな……ああそうそう思い出した。これからお出かけなんや。蘭丸くん、お留守番してもろてもええ?」
     蘭丸を一人にしておいて、誰かと面会するようなら、後をつけようと考えた。
     だが、蘭丸の表情を見て思い直した。自分で帰ってきたくせに、おいてけぼりをくった子供の顔をしている。
    「一人じゃ寂しいから、近くの神社まで見送ってくれへん?」
    「いいよ」
     蘭丸は笑った。この光輝族様、おそらく打ち上げ花火が苦手なのだろう。昔の傷を思い出す何かが、きっとそこにある。例えば、空にまつわる、昔のおともだちの記憶とか。
     神社に行けば、花火で遊んでいる子供もいるだろう。地の上で光る、またたきほどの、短い、まるで人間の生命のような花火なら、まだ蘭丸が見られるものなのかも知れない。
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