ハナキン「今日は花金やで〜」
朝日が窓から差し込むBAR Fの店内では、朝食にいつものカレーが振る舞われていた。
「花金ってなに? 草花と関係あんの」
スプーンを手に取りながら樹果がカウンター内の寶に話しかける。
「関係あらへんあらへん。仕事人はな、金曜の夜が一番リラックスできるって相場が決まっとるもんなんや」
「あ、そっか、今日少年ダンプの日じゃん、マンガ見せてもらおっと」
「僕は学校で絵を描いていきたいから、帰りが遅くなる」
カレーを上品に口へ運びながら、うるうが言った。
「最近、規律だ何だって、仲良し下校ごっこしないんだな」
ツボスコをカレーにかけながら、焔がいらぬちょっかいを出す。
「いらぬ口を叩くなら、嫌がらせにおまえにつきまとってやろうか?」
嘲るような口ぶりでうるうが返すと、焔は頬を赤くして黙り込む。
「蘭丸は? 花金になんかするの?」
「僕は……」
蘭丸の口元が緩む。
「あ〜はいはい、ごゆっくり。てか寶はどうせおでかけなんだろ」
「せやせや。晩飯のカレーはよそったるから。夜もおとなしゅうしといてや〜」
寶は四人に笑いかける。そう、執事のようなかわいこちゃん、人間に落ちた悪徳弁護士のかわいこちゃんを手玉に取るので精一杯で、最近、赤いドレスの似合うかわいこちゃんたちとご無沙汰で困っとるんや。どの子も、ええとこもあかんとこもあるのは、君たちと一緒やけどな。