エイプリルフールだから煩い煩い心臓の音を振り切って、シンは顔を上げて・・・でも目は見れなくて言い切った。
「俺・・・あんたの事、好きです」
心臓、本当に飛び出しそうに鳴ってて、顔が見れなくて反らしてたら、
「そうか」
とケロリと答えが返って来た。赤い顔で見ると飄々としたアスランの顔に、ビックリした。
「あんた知って・・・?!」
「知ってるさ・・・今日はエイプリルフールだもんな」
そう言って背中を向けて行くアスランにシンが怒鳴り声を上げた。
「あんた本っっ当にどうでも良い事ばっかり気づくのな!!」
パチリと目を覚ましたシンは自己嫌悪に陥った。携帯を確認すると4月1日エイプリルフールで。願望だって言うけど夢の中のアスランも相変わらずの朴念仁ぶりで判りやすい夢だと思った。
だから、エイプリルフールにばったりアスランと遭遇してもなんかもう思し召しみたいな物な気さえした。思わず頬をつねって現実か確かめてしまった。
「あんたなんで居るの?」
「いや、キラが寝込んでるって聞いて来てみたんだが・・・」
「・・・判りやすく騙されてますよ」
「そうなのか?」
ピンピンしてる上官を思い出し。キラらしい、と思ってシンはアスランをじっと見る。夢の中では言えたけど、現実で言えるわけがない。
「今日はエイプリルフールですからね」
「・・・そうか。そうだな・・・」
馬鹿馬鹿しいと思って腕を頭の後ろで組んで去ろうとしたら、急にアスランが自分の肩を掴んで真っ直ぐこちらを見つめて来た。緑色の瞳に射抜かれる。
(何で・・・そんな目で見て来んだよ・・・あああああ煩いんだよ心臓!!!)
ドキドキする音が聞こえないように顔を背けると、耳元に彼の唇が掠める。
「お前の事が、好きだ」
・・・ヤバい、死にそう。
バクバクしてて倒れそうになるのをアスランが支える。何それ?
「それ。本当ですか?!」
「・・・知りたいか?」
「知りたいですね!!俺は・・・俺が!!!」
そのまま草むらに押し倒して、アスランの上に乗りかかっていた。藍色の髪が緑の上に広がる。シンの紅い瞳は今度は真っ直ぐアスランの目を見つめていた。
一瞬の触れ合うようなキスから欲情していくままに深まって行くそれに、アスランの顔がどんどん赤く染まって行く。
口づけから解放された後・・・アスランが赤い顔で震えているのでシンが首を傾げる。
「シン・・・お前は自分で言った事を忘れたのか?」
「え?えええええええ」
「まあ、良いんだけどな」
「嘘だったって言うんですか?!あんた卑怯ですよ!!!って良いってどういう意味で?!」
「・・・嘘じゃない。お前の事、想ってる・・・嘘吐きにさせて欲しかったんだが・・・」
ガーンとなっているシンが半眼でアスランを見る。アスランは真っ赤な顔を隠しながら照れたように笑う。
「あんた・・・自虐的過ぎ」
「・・・シン」
「はい?何ですかぁー?!」
不貞腐れたシンにアスランがクスリと笑いながら「じゃあ、よろしく頼むな」と言った。
シンの身体は真っ赤に染まってこれがエイプリルフール(嘘)じゃないなんて夢みたいだと思った。