○○斬りの話やめろ
やめろ
やめてくれ、俺をよぶな
「辻田さん!」
「アシさん!」
二人が俺の両の手をそれぞれ掴んだ
やめてくれ!!!!! ザシュッ
──────100人
気づいたら俺の掌から出た血刃が二人の手に長く突き刺さっていた
「ぅあ、あ、」
咄嗟に手を引っ込めようとした、が、二人は強く俺の手を握り込んだ
「な、なにしてる!離せ!!やめろ!!」
「離しません」
カンタロウが俺を睨む
「俺も、離さないよ、だって君、逃げちゃうでしょ?」
神在月が痛みで歪んだ顔で笑っていた
「に、逃げない、逃げないから、俺を殺してもいいから、離せ、離してくれ」
「…アシさん、ごめんね、俺、君が辻斬りナギリだって、知ってたんだ」
「…は?」
「君、カッターの刃、替えた事、なかったよね。不思議に思った時に君の手元、こっそりみたら指から刃が…」
「…知ってたなら何で黙ってた、俺を嘲笑ってたのか?」
「違うよ。そりゃビックリしたけどさ、君は絶対に俺を斬らない、君はもう人を斬らないって思ったから、だってさ、煮詰まったり狂ったりする俺を、君は一度も見捨てなかったよ、絶対引っ張ってくれてたよ。そんな君が人を斬るようには思えなかったから。」
「本官も!貴方が辻斬りナギリだとわかって、正直辛いであります。でも、貴方が、辻田さんが、辻斬りナギリで良かった。本官が辻斬りナギリを捕まえたかったのは、貴方が言ったような、殺したり復讐したりではありません。逮捕して、罪を償って、新しい道を歩んでもらいたかったからで、」
「あんな武器持ってる癖にか」
「パイルバンカーは不死の辻斬りナギリを足留めする為のものでありますので!!」
「俺はもう不死じゃない、いつでも殺せるぞ」
「辻田さん、いや、ナギリさん。何度も言いますが、貴方を殺しません。俺の夢はもう叶ってたんです。」
「…」
「俺の夢は辻斬りナギリに辻斬りをやめさせる事であります!貴方はもう辻斬りをしていない、オマケに本官や先生の手伝いまでしていた。新しい生き方をすでに選んでいた」
「…ッ俺は!お前の腹を斬ったんだぞ?!今だって、お前らを斬った!!!」
「アシさん、見て、もう刃、出てないよ」
「ぁ…?」
手から血刃が引っ込んでいた
「ナギリさん、本官と一緒に自首しましょう、本官に、貴方が罪を償う手伝いをさせて下さい。」
「俺も…!手伝えることがあるなら手伝うよ!」
「お前ら馬鹿なのか?俺はもう100人も斬ってるんだ!!今ので100回目だ!!そんな奴が許される訳ないだろ!」
「…全ての罪が許されるわけではないです。でも、許されるかどうかではなく、後悔し、反省して、償っていく事が大事だと本官は考えます。ナギリさん、悪いことをしたら、謝ればいいんであります。」
「アシさん、俺もそう思うよ。」
「…」
「アシさんが怖いなら俺もいるよ」
「本官もいるであります!」
「…馬鹿どもが」
こんな感じになりませんか???
ちなみに二人の記憶が奪われないのは、忘れたいと思ってないから。
カンタロウが最初に斬られた時の記憶が少しないのは、忘れたい気持ちと悔しさからくる気持ちが半々だったからではないかと。