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    Yukkirai_pk

    @Yukkirai_pk

    SSの一時置き場。
    ウォロシマ中心
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    Yukkirai_pk

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    ウォロシマ
    ・現パロ
    ・糖度高い

    一番の注意事項
    ・ショウ(主人公)が両片思いの二人の成就を後押ししている

    #ウォロシマ
    wolosima

    好敵手 携帯電話を握りしめたまま、小一時間が経過していた。メッセージアプリの、文面の打ち込まれていないトーク画面を開いたまま、ウォロはずっと考え込んでいた。
     目的は一つ。冬のうちに、ある人をデートに誘うことだ。多忙な時期が無事に過ぎ、今しかないとリサーチを重ねておすすめのスポットを調べ上げ、誘おうと画面を開いた。そこまでは良かった。
     どうしても勇気が出なかった。引かれたらどうしようかと少し立ち止まってしまったのがまずかったに違いない。こういうものは思い切りが大事だというのに。
     諦めて携帯電話を机に置こうと伏せた時、ぽん、と軽快な通知音が鳴る。慌てて携帯電話を覗き込むが、そこに来ていたのは期待していた人からの連絡ではなかった。
     期待が裏切られたことにため息をつきつつ、さっさと返信をしてしまおうとメッセージアプリを開く。送られてきた写真を見て、固まった。
    『例の有名なイルミネーション、シマボシさんと見にいってきました!』
     送られてきた数枚の写真。そして、最後の一枚にシマボシと共に映る、黒髪の少女。送り主は彼女だ。
    『有名なデートスポットらしいですよ。貴方もシマボシさんと行ったらどうですか?。あ、誘えないから無理か』
    『当てつけみたいなことしないでください』
    『えっ? 何のことですか?』
     首を傾げるミジュマルのスタンプが送られてきた辺りで、携帯電話をベッドの上に投げつける。

     家庭教師を探しているようなんだが、キミは中高時代は歴史が得意科目だったと言っていたと思って、と言うシマボシの紹介によって知り合った女子中学生……ショウは、彼女の幼馴染だった。ショウが生まれた時からずっと、家族ぐるみで交流のあったらしい二人は、姉妹のように仲が良い。そして、そのせいではあるだろうが、最近シマボシと知り合ったウォロに対してやたらとマウントを取るような彼女の言動が鼻につく。大切な存在を取られるかもしれないと焦っている少女は大人から見れば微笑ましいのかもしれないが、生憎現在進行形でシマボシに好意を寄せているウォロにとっては邪魔でしかない。きっと、向こうも同じことを思っているはずだ。
    「そっちがその気ならこっちだって」
     苛立ちを抑えつつ、もう一度携帯電話を拾い上げてメッセージアプリを開く。大丈夫、これくらいのことを送っても大丈夫な程度の関係性は築けている、はずだ。
     シマボシとのトーク画面を開き、急いで打ち込んでいった。
    『近くの公園のイルミネーション、綺麗らしいですよ。今度ジブンとも行きませんか?』


    「友達への連絡、終わったか?」
    「はい」
     勉強の息抜きに、お茶でも飲みに行かないか。シマボシが誘い出してくれた喫茶店でココアを啜りつつ、ショウは携帯電話を鞄にしまう。見立てが正しければ、すぐにシマボシに連絡が来るはずだ。
     シマボシが注文していたケーキが席に届いた直後、彼女の携帯電話が小さく鳴った。シマボシがふと首を傾げて携帯電話の入った、机の下に入れられた鞄を見やる。
    「あ、確認して大丈夫ですよ」
    「ありがとう」
    「誰からでした?」
    「ウォロからなんだが、突然何を……」
     メッセージを開いて、ぴたりとシマボシは言葉を続けるのを止めた。
    「見ても良いですか?」
     シマボシに問いかけると、彼女が頷いて、スマートフォンの画面を見せてくれた。
    (いやどうなの……同じところに誘うとか。事前の会話もなしにいきなり誘うとか)
     デートの経験などそう多くない中学生の自分の目線から見てもそれはどうなのだ、と呆れてしまう。あの人はどうやら、なりふり構わなくなると冷静さを失いがちなのかもしれない。
     まあ、色々と不満はあるものの。
    「えっ、シマボシさんってウォロさんと付き合ってたんですか?」
     白々しくそんなことを尋ねてみれば、彼女の顔が明らかにさっと紅潮した。
    「い、いや、まだそんなことは……」
    「『まだ』ってことはそのうち付き合いたい……ってことですよね」
    「それは……すまない、キミにこんな話を」
    「いえいえ! 恋バナ大好きなのでたくさん聞かせてください」
     動揺して視線を彷徨わせるシマボシの可愛らしい反応を眺めてにやにやと笑いつつ、彼女のこんな表情ははまだお前は見たことがないだろう、と心の中でウォロに向かって勝ち誇る。
     幼い時から一緒に遊んでくれた、姉のように慕ってきた優しい人。世話にはなっているもののあの家庭教師ことは今後も好きになれる気はしない。だが、シマボシが彼に並々ならぬ想いを抱いていることも、また、あの人がピュアで不器用な反応を示し彼女を誘っていることもまた事実なのだ。ウォロに対する若干の嫉妬心と羨ましさ、そして私のシマボシさんに何をしてくれるんだという怒りも僅かながら覚えている。でも、今はシマボシさんに幸せになってほしいという気持ちの方が大きい。
    「この前行った場所と同じところですが、楽しんできてくださいね!」
     休憩場所としておすすめのおしゃれなカフェ、帰り道の道中にあるレストラン。私たちが訪れられなかったそんな場所の情報を、後であの人にこっそり教えてあげようか。マウントと、二人の今後がうまく行きますようにという激励も込めて。
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