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    付き合ってるプロヒ同棲相出。恋愛関係にある二人を書く感覚を思い出すために書いた短文なので初めてポイピクを使ってみようと思います。相互さんとツイッターで話してたやつです。

    #相出
    phaseOut

    昼下がりのエセ結婚式⚠️プロヒ同棲設定相出
    ⚠️花言葉、贈り物の意味などは一部を抜粋しています




    唐突に、景色がカラフルな色たちに支配された。犯人は差し出された花束。昼下がりの陽光が差し込む大きな窓のそば、洗濯物を畳んでいた出久は混乱に極めた脳内をそのまま映し出すように目をぱちぱちと数回瞬かせた。

    「…驚きすぎだろ」

    花束を持つ相澤、なんて初めて見る光景だ。いつもよりぶっきらぼうな口調は、照れ隠しなことなんてわかりきってる。正座した出久の視線に合わせるように、相澤がどっかりと目の前に座った。

    「え、ふふ、どうしたんですか。いきなり」

    久しぶりに洗濯して、さっぱりとした純白のレースカーテンをいったん押しやり、出久は鼻先をくすぐる色を受け取る。ふわ、と香る生花の甘い香り。

    「わ、チューリップって僕久しぶりに見ました」

    誰もが幼いころに聞いたことのある童謡を彷彿とさせる。赤、白、あと、

    「あれ、」

    もう一つ、ポピュラーな色がない。代わりのように場所を埋める紫のチューリップの違和感に思わず出久は小さく声をもらした。
    訝し気に、ほんの少し不安そうに。こちらを見てくる送り主に、なんでもないです、と咄嗟にごまかす。何となく。本当にほんの少し引っかかって。あとで調べてみよう、と小さく脳内にメモした。

    「…きれいですね。こうして束になるとなんか、今までと印象がちょっとだけ違います。…ありがとうございます」

    色は違えど、同じ種類の花々で構成された大きな花束に出久は鼻を埋める。花の間で思わず笑いをこぼせば、目の前で相澤が唾を呑んだ気がした。

    「、出久」

    「?はい」

    呼びかけに顔をあげた出久の視界が今度は白一色に染まった。ぶわ、とドーム状になった、お日様を吸い込んだようなレースカーテンは、重力に従ってゆっくりと出久の頭上に降りてきた。相澤の大きく武骨な手がウエディングベールのように純白をかぶる出久の左手をとる。なぜだか畏まったように膝をついて、真剣な瞳でこちらを覗き込む。

    「未来の約束を、してもいいか」

    突拍子もない発言。出久はほんのり目を大きくした。理解した途端、へにゃり、と笑って心底嬉しそうに、世界中の幸せをかき集めて煮詰めた様な顔で小さく、しっかりと頷く。

    「私、相澤消太は、緑谷出久を夫とし、生涯この危なっかしいやつを見守って、―――愛し続けることを誓います」

    「……消太さんらしいですね」

    中盤まではけらけら笑って見せれた余裕が、真面目に、愛しい、って思ってることを前面に出されたから、なくなってしまった。顔を赤くして花に顔を埋めてしまった出久を相澤が無言で催促する。がさり、と包装の紙を鳴らして花束を抱えなおす。言いたいことはたくさんあるのに、出てこなくて。少し口を開閉した出久は腹をくくったように思い切って言葉を繋いだ。

    「…私、緑谷出久は、相澤消太を夫として、生涯隣に寄り添って、ふふ、見守ってもらって。―――愛し続けることを誓います」

    手の小さな震えは、左手をとる彼に伝わってしまっただろうか。職業柄、未来に確固たる約束なんてできない。でも、目の前の人となら。生涯愛し合う、なんてあまりにも甘美な約束をしてみたくなった。

    指に、冷たい感触。

    「、え」

    ばっとそちらを見れば、薬指にまばゆいほどに輝くシルバーリング。一見簡素な丸型に見えるそれは微妙なカッティングが施してあって、カーテンを取り払った窓の陽光を受けて複雑にきらめく。

    「せ、せんせぇっ」

    「出久、名前」

    「もぉぉっ…!消太さんっ!これ、」

    「ん。サプライズ」

    「サプライズが過ぎます…!!」

    予想外のことに動揺を露わにする出久の左手に、相澤が自分の指をからめる。

    「…嫌だったか?」

    「…そんなことないです、あるわけ、…ないじゃないですか」

    返事のように握られた手に力を込める。幸せが出久の心の枠をあふれるように、目の淵からまろびでた涙は、朝露のようにピンクのチューリップの花弁に落ちた。

    「消太さん、僕、たぶん世界一幸せです。今」

    「じゃあ、世界一の幸せ者がここに二人いることになるな」

    翡翠の目じりに今にも落ちそうに揺れる水滴を相澤の左手が拭う。その薬指にもまた、真新しい銀色が輝いていた。



    「消太さん、消太さんっ」

    「なに」

    「花。ふふ、ちゃんと花言葉まで、調べて選んでくれたんですね」

    「…お前ね。皆まで言うんじゃないよ。小っ恥ずかしいだろうが」

    「えー、えへへ。すみません。…ダイヤモンドリリーの季節には、僕から花束をあげますね」

    ふにゃふにゃ笑っていた出久が決意を表すように小さくつぶやいた。

    「ダイヤモンドリリー?」

    「先生の誕生月の花ですよ。花言葉は、ほら」

    携帯を指し示した出久の指に従って、相澤も小さな画面をのぞき込む。

    「これから、作っていきましょう?」

    「…そうだな」

    春の日の午後、目を見合わせて小さく笑った二人の顔が自然に重なった。



    指輪 「相手を独占したい・束縛・大切な存在・他者への牽制」

    チューリップ 赤  「愛の告白/真実の愛」

         ピンク 「愛の芽生え/誠実な愛」

           紫 「永遠の愛」
          
          黄色 「希望のない恋/嫌なこと」

    ダイヤモンドリリー 「幸せな思い出」


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