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    満ツ雪

    @32_yu_u

    相出しか書けません

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    満ツ雪

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    相出(未満)ワンドロお題お借りしました

    #相出
    phaseOut

    体温その日は少しだけ、欲が出てしまった。

    小脇にプリントを抱えポケットに手を突っ込んで歩く猫背、それを目指して駆ける軽快な足音が廊下に響く。
    冬の太陽はとっくに地平線の向こう。外を歩く生徒の息は白い。校舎の中にも冷気は忍び込んでいて、少年の喉をツキリと痛ませた。

    だから、と言う訳でも無い。
    ただ何となく、触れたいと思ってしまった。
    先生、と呼ぼうと開いた口を一旦噤んで、少年はその黒い背中へと手を伸ばした。
    触れたら温かい気がして、先生の体温を感じられる気がして、心臓がトクトクと指先まで血液を送る。自分の手のほうが熱を持っていることになんて気付かないまま、その手の平が背中に近付く。

    あと30センチ。

    あと20センチ。

    あと、10センチ。

    息が弾む。

    「相澤せん、」

    冷気で掠れた声が彼を呼び終える直前、届くはずだった手の平はその場から動かなくなってしまった。自分の手首を強く掴む大人の手に、心臓まで掴まれた気がした。

    「何だ、緑谷か。人の背後を取ろうとするなんて良い度胸だな」
    「は、ひ?すすすすみませんそんなつもりじゃ……っ」

    掴んだ手首を持ち上げた彼は底の見えない眼差しのまま口角を上げてみせた。
    さっきまで気怠そうに歩いていた彼からは想像もつかない速さで掴まれた腕、避けることすら出来なかった。いや、その動作を予知することすら難しかった。
    それより思いの外その手が温かいことに気を取られて頭が上手く回らない。服越しに感じることが出来たら良いと思っていた体温を直に感じることが出来て、余計に喉がカラカラになってしまった。
    ポケットの中の温度はいかばかりか、確かめる術は無いけれど。

    「何か用か?」
    「あ、えっと、はい、用事、ありますっ、お聞きしたいことがっ、あったんですが、えっと、あれ?何だっけ、え?あれ?」

    彼の低い声にすら温度を感じる。
    焦って目を回しそうな少年に彼はやれやれと言わんばかりにその手を引いた。

    「ここだと言いづらいようだから指導室来い」
    そこでじっくり聞いてやるよ。

    なんて言われたら益々頭の中は混乱するばかりで。
    彼と話すために用意した質問を思い出すまでの15分、手首が解放されることは無かった。
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    満ツ雪

    DONE♀️装♂子な🥦くんは👀先生のことが大好き。今日も元気に猛烈アタック!
    普通のコーコーの普通のきょーしとせーとな👀🥦の話。👀の担当きょーかとか決めてません。自由に想像してほしい🙆
    がんばれ女装男子🥦くんあいざわせんせい。


    僕の担任の先生。

    僕の大切なひと。


    僕の大好きなひと。



    「失礼します!一年A組緑谷出久です!相澤先生!来ましたっ!」

    昼休み。
    職員室の入口でそう僕が声を上げると、先生方の視線が一斉に相澤先生に注がれた。呆れや羨望の入り交じったその視線を面倒そうな顔で受け止めながら、相澤先生が立ち上がる。

    「良いなあ愛妻弁当」
    「山田そういうこと言うとコイツが調子に乗る」
    「ふふ、相澤先生の愛妻でーす」

    そう言って先生の腕に絡み付くと、こらって軽く頭を叩かれる。優しいからちっとも痛くない。むしろ撫でられてるみたいで嬉しい。

    「良いわねえ相澤くん、かわい~い幼妻がいて」
    「やめてくださいよ香山先生」

    心底辟易した様子で相澤先生が睨みを効かせても、香山先生にはちっとも通用しない。「アオハルいいわ~頑張りなさい」って僕の背中をぐいぐい押してくれる。相澤先生とぴったりくっつく形になって、ぎゅうってその腰に抱き着こうとしたらさすがに相澤先生に本気で押し返された。
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    満ツ雪

    DONE俳優澤×ドル出勝手に書きました。すみません。え、ドル出が鈍すぎて俳優澤はいつまでも出くんとくっつくことができないんですか?ごめんなさい、もうくっつけちゃいました…ごめんなさい。
    俳優澤とドル出のお話『テレビ局の地下駐車場にいるよ』

    そんなメッセージをもらって僕は私物のパーカーを引っ掴んで慌てて走り出した。派手なステージ衣装のままだし、髪も瞼もキラキラしたままだけど、とにかく時間が惜しくて全力で走った。でもテレビ局は騒々しいから誰も僕のことなんか気にも留めない。おはようございます、お疲れ様ですって笑って挨拶しながら人の波をくぐり抜ける。もう1ヶ月も会っていないあの人の元へ急ぐため。

    ハア、ハアって息が上がる。
    さすがに駐車場だと真っ青な衣装の僕は悪目立ちする。荷物を搬入しようとしているスタッフさんたちがチラチラとこっちを見てくるから、パーカーの前を掻き合わせながら足早にその場を後にした。
    相澤さんの車は、柱の影になって一段と暗い一角に停まっていた。黒い二人乗りの、車種に詳しくない僕でも名前を聞いたことがある車。壁に向かって前向きに駐車されているから車内が見えなくて、何度もナンバープレートを確認してから助手席の窓をそっと覗き込んだ。
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