シザンケツガ ●
死ぬかと思った。
「はぁッ―― はぁッ――……」
屍山血河とはよく言ったものだ。クソみてえな街のクソみてえな貧乏ガキがこんな小洒落た言葉を知っているのは、オレが単に古本屋で本を読むのが好きだったからだ。
皮を毟られ、火で炙られ、爪を剥がれて。そんな俺の両手には、銀色に輝く日本刀。辺りには、さっきまで俺を『スナッフビデオの主演男優』にしようとしていた大人共が転がっていた。俺の血が、奴らの血が、俺の服のない肌に流れていく。皮を削がれた右額からの流血が特に酷い。ザックリやられた唇も、鏡ないから分かんねーが、なんか、上手く閉じなくて、変な感じだった。
死体しか居ない部屋はとても静かで。自分の息遣いと心音だけが、鼓膜の内側でやかましい。それもゆっくりと冷めていく。
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