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    ゆきねこ

    @y_neko_315

    主に鋭百、秀百の小説を書いています。更新頻度やや低め?イラストも絶賛練習中

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    ゆきねこ

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    勢いで書いたS(すこし)F(ふしぎ)な物語。秀百。どうしてこんなネタが思い浮かんだのか、最後まで一気に書けたのか、本当に分からないですがもしよろしければ。
    注意:間違ってもハッピーエンドではないです

    #秀百々
    xubai

    貴方と共に歩めたらそれだけで幸せだったのに「アマミネくんはさ、僕がいなくなったら探してくれる?」
    「…………は?」

    レッスン後の更衣室にて。
    鋭心先輩はこの後仕事がある為先に切り上げており、ここには俺と百々人先輩しかいないがー突然何を言い出すのかと思えば。
    脱いだTシャツを鞄に仕舞い百々人先輩の様子を伺うも、特に思い詰めているような感じではなさそうで。なんで突然そういう事を言い出すのか、全く理解が追いつかなかった。

    「すいません、意味が分からないんですけど」
    「あー……………うん、ごめん。そうだよね。今のは忘れて」

    じゃあね、お疲れ様。そう言って着替えを終わらせた百々人先輩は更衣室から出ていった。

    それから何日か経ったが、百々人先輩は1度も事務所に姿を現さなくなった。
    仕事がある日は必ず時間前には来ていたし、遅刻したことも無かったのに。(生徒会の仕事があり遅れそうになった時は必ず連絡をくれていたが)
    何かがおかしい。そう思ってプロデューサーに頼み込み百々人先輩の自宅まで来たが、チャイムを何度鳴らしても出る気配もなく。
    マンションの管理人さんに話を聞いても、百々人先輩はしばらく帰ってきていないようだった。

    (なんでだよ………俺たちで世界を変えるって言ったじゃん………どうしていなくなっちゃうんだよ……!!)

    焦り、戸惑い、不安ー。
    色んな感情でぐちゃぐちゃになりそうになりながら、俺はひたすら先輩の行きそうなところを探していた。
    結果として、全てハズレ。
    プロデューサーと、途中から鋭心先輩も合流してくれたが3人で探してもヒントすら見つからず。
    暗くなったから、と百々人先輩の捜索は後日に持ち越しになってしまった。

    それから数日経った。
    未だに百々人先輩の手がかりすら見つけられなかったが、少しずつ、僅かにだが周囲に異変が起こり始めた。
    学校の人や315プロダクション以外の人達が、百々人先輩の事を知らないと言い始めたのだ。最初は何かの冗談かと思ったが、そうでも無いらしい。
    それから数日後、ついに315プロダクションの人達からも【花園百々人】という存在が消えてしまったようだ。所属アイドルの名簿を見ても48人しかいないし、百々人先輩のロッカーも名前が消えて中も空っぽになっていた。俺達C.FIRSTは3人で世界を変える、そう誓っていたのに。

    (早く、百々人先輩を探さなきゃ)

    でも、探すってどこを?思い当たるところは全て探したじゃないか。それなのに手がかりはゼロ。
    どうしようかと行く宛てもなく歩いていると、知らない間に俺はとある小さな公園に来ていた。
    ベンチに座って小さく息を吐き顔をあげると、見覚えのある姿が目の前にあった。

    「ももひと……せんぱい」
    「………アマミネくん」

    その人物ー百々人先輩は、俺に話しかけられると驚いたように目を見開いた。

    「ねえアマミネくん、僕の事覚えててくれてるんだね」
    「何を言ってるんですか……?俺はずっと、先輩の事忘れるわけないじゃないですか……」

    百々人先輩がゆっくり首を横に振る。

    「アマミネくんも、僕の事なんて忘れて幸せになって。君みたいな優秀な人が僕の隣にいちゃ、だめだ」

    何でそんな事言うんですか。そう言いたかったのに口を動かしても言葉にはならず、金縛りにあったかのように指1本動かす事も出来なかった。
    背を向けて歩き出す百々人先輩を、俺はただ見つめているしか出来なかった。
    直後、強い風が吹いて思わず俺は目を閉じた。
    風が収まって目を開くと、そこには百々人先輩の姿は無かった。
    立ち去る直前、百々人先輩の口が【ごめんね】と動いていた、そんな気がした。

    それからさらに数ヶ月後。
    俺たちC.FIRSTは初の単独ライブの日を迎えていた。
    俺と鋭心先輩は初のライブに向けて必死にレッスンをこなしてきた。
    が、何かが足りないような、心にぽっかりと穴が空いているかのような感覚がずっと消えなかった。けど、それが何なのかは全く思い出せなかった。

    「秀、行くぞ」

    鋭心先輩の合図で、俺達は拳を合わせた。
    スポットライトの中心で、何度も何度もレッスンして身体に染み込ませた振り付けを踊って、歌って。
    フリートークでは、鋭心先輩が寝癖をつけたまま事務所に来た事(先輩自身も恥ずかしそうにしていたがそれもファンには「珍しい表情が見れた」とウケていたらしい)を話して笑いを取りながらも仕返しをくらったりして。

    そんな中でふと、ステージの袖のところに誰のものか分からない銀色のトロフィーと賞状が見えた、気がした。
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    DOODLE成人済
    お風呂に入る秀百々 百々人先輩が成人して初めて自分で選んできたアパートは、どう考えてもアイドルが一人で暮らしていけるものではなかった。そのアパートは、築年数は少なく見積もっても俺たちの年齢の三倍以上はあるような、風呂トイレも共用のしろものだった。値段と駅からの距離、それから即入居の可否だけで選んだらしい。契約する前にプロデューサーに確認に来てくれたのが幸いして、俺と鋭心先輩とプロデューサーで必死に止めたのだが、百々人先輩はなぜ俺たちが必死なのか全く理解してないような顔で、「じゃあやめるー」とかなんとか言って次の日には全然別の物件を選んで、今度も律儀にプロデューサーに確認しにきた。俺も心配で覗き込んだところ、どうも以前のアパートから家賃をだいぶ上乗せしたらしい、事務所のそばの高そうなマンションだった。あまりの極端さに俺は絶句していたが、鋭心先輩は「コンシェルジュが常駐してるのか。これなら安心だな」とかなんとか平気な顔で言っていた。プロデューサーも下手なことを言ってあまり安すぎるアパートにされても困ると思ったのか、ほにゃほにゃとなにか言おうとして飲み込んだ後、「手続きしておきますね」とだけ口にしていた。俺も、クラスファーストのこのままの勢いが維持できれば別に贅沢ということもないか、と思って、何も言わずにとどめておいた。
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