七風リレー小説(2) 天気予報はその後も大きく崩れることはなく、デート当日も穏やかな春の日差しが降り注いでいた。春の香りがするはばたき市を移動しながら、七ツ森は「どくろクマの新作が出てるらしい」「今期限定のスイーツも食べよう」とショップの情報収集も欠かさない。スマホ片手に楽しそうに話す恋人とバスに揺られながら、風真はゆっくりと目を閉じた。
「カザマ?」
「ん、ちょっとな」
「ナニ。昨日眠れなかった?」
「遊園地が楽しみすぎて?」
軽口に笑って返すと、七ツ森は他の乗客に見えないようそっと風真の肩を抱き寄せた。
楽しみすぎて寝られなかったわけではないが、ずっと考えていることがあった。
「……なぁ、七ツ森。最初、どのアトラクションに行きたい?」
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