思い出すことは「青い鳥は、大空へとはばたいてゆきました。しあわせは、本当はとても身近なところにあったのです……おしまい」
アミュレットが読み終えると、彼女の両脇で絵本をのぞき込んでいた二人――エステアとフェクタは同時に顔を上げた。
「すてきなお話だったね、フェクタ」
「ああ。それに、うさぎも出てきた」
「あれ? うさぎさんなんていたっけ……」
「確か、『森の国』の場面で――」
読んできた方向とは逆にページを捲りながら話しだした二人の声を、アミュレットはどこか遠くのことのように聞いていた。
︱︱魔女は言いました。これから、あんたたちには青い鳥を探しに行ってもらわねばならんね。あんたたちが、青い鳥を探しに行けば……
彼女の脳裏で、さっき自分で読み上げたばかりの物語の一場面が再生される。
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