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    azusa_n

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    チェズルクのすれ違いネタ。
    途中なので今のところすれ違ってる状態で終わるの注意。
    勘の良い読者の皆様はもうチェズ側の事情もお分かりだと思います。多分正解です。

    アナザーエンドの一年後くらい。

    完成版こっち↓
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16849331

    #チェズルク
    chesluk

    なあ、アーロン。僕の愚痴、聞いてくれよ。
    …はは、ひどい顔、だろ。この顔についての話だ。


    久々にチェズレイが遊びに来てくれたんだ。3日、予定が空いたんだって言ってたかな。
    一人で? ああ、モクマさんは休暇中にショーに出るから別行動なんだって言ってたな。
    …少し寂しかったけど、二人きりって、ちょっとドキドキしたりもしてさ。
    …まあ、そんなの、僕が勝手に思ってただけなんだけど。

    一緒に料理を作って、一緒に食べてさ。
    その後、チェズレイが用意してくれたケーキを食べていたんだ。
    そこで、聞かれた。

    「ボスは好きな方はいらっしゃらないので?」
    思わずフォークを落としたんだったかな。
    だって、好きな人にそんなこと言われたら当然じゃないか。
    食べたことないくらいおいしいケーキに当たって崩れたのに、気にしてる余裕もなかった。心臓がバクバク言ってたな。

    「likeじゃなく、loveについて、ってこと?」
    チェズレイがこんなことを訊くんだ。僕の考えてること、なんでも当ててくるあのチェズレイが。
    だから、もう僕の気持ちなんてバレているんだろう。僕が好きなのはチェズレイだって。

    「ええ。あなたの恋する方を教えてくださいませんか?」
    「…どうして」
    もし応援するためだなんて言われたら、僕はきっと平静でいられないと思った。
    想うだけで幸せだったのに。あの日までみたいに、たまに一緒に過ごすことが出来ればそれだけ充分だったんのに。
    漫画みたいに『目の前にいる』と答えたら報われたのかな、なんてさ。ほんの少しだけ期待をしたけど、チェズレイの顔色はその前となにも変わっていなくて、ただの世間話の一環だったんだって分かった。

    流石に僕でも分かったよ。ああ、脈はないんだなって。

    …まだ続くのかって?ごめん。もう少し付き合ってくれよ。ひとりで受け止められそうにないんだ。

    「一度だけで構いません。ボスとセックスがしたくて」
    「セ…っ…、って、なんで?」
    話が飛びすぎてなに言ってるのか理解出来なかった。僕の頭で話が繋がる前にチェズレイはまた口を開いた。

    「あなたの好きな方に変装しますからその方の代わりとして扱っていただければ。スイ嬢でも怪盗殿でも。お望みならあなたの父親の姿でも、私が合ったことのない方でも。もちろん、トップでもボトムでも、ボスのご随意に」

    ひどいだろ。僕は、チェズレイが好きなのに。
    誰かの代わりにしろなんて言うんだ。
    父さん…チェズレイに取ってのカタキの姿を演じてもいいとまで言って。
    そこまでして、誰かと結ばれてほしいって。
    え、君の名前が出たのは僕と親しい人の代表みたいなものなんだから仕方ないだろ。チェズレイが君に化けて僕とセックスするなんて怖気が走るって…、いやまあそれは言葉のアヤだから…。
    もちろん、君だけじゃなく変装される側にも失礼だと思うし断ったよ。

    「……なあ、チェズレイ。君は僕がそれを了承すると思ったのか?」
    「…あなたにもメリットはあるでしょう?」

    メリットなんて、あるわけないじゃないか。他の人の代わりにするなんて、チェズレイとの関係を壊してしまうだけ。一度擬似的に関係を持てば変装した相手とスムーズに付き合えるだろうってことなのか?

    多分、それがメリットだと言いたかったんだろうな。
    僕の気持ちが他の人に向かうように仕向けたかったんだ。僕がチェズレイに告白するとか、面倒なことをする前に。

    僕はもう、頭を殴られたみたいな衝撃で泣きそうでさ。……え、ただの比喩だよ。頭は平気だ。家の中だしチェズレイが僕を殴る理由はなかっただろ?
    …ああ、断ったから?いや、それはチェズレイが変なことを言い出したからで。

    僕、いっぱいいっぱいでさ。
    チェズレイに見られないようになんとか涙をこらえて帰ってもらったんだ。玄関まで見送りするとかも出来ずにしばらくダイニングで泣いてた。
    はは、君の言うとおりだよ。情けないなって思う。

    「そう、か。 ……ごめん、今は君と冷静に話せそうにない。ひとりにしてくれないか。」
    「いえ、悪いのは私ですから謝らないで。今日はお暇しますね。 …どうかお元気で、ボス。」

    最後、なんて言ってたかな。

    ひとしきり泣いた後に食べたケーキは、ただボソボソした固まりとしか思えなかった。
    …とてもおいしいケーキだったはずなんだけどな。はは…。


    ……っ、ごめんな。こんな話に付き合ってもらって。僕、どうしたらいいのかわからなくて。
    君と話せて良かった。張り切って休みなんてとったもんだから暇でさ。行くとこもなくて、一人で、どうしたらいいのかわからなくなって。
    …っ、う…。

    無理、しなくていいって言われたって。
    僕だって、どうしたらいいのか。

    ……カメラ切るなって、仕方ないだろ。また涙が溢れて、みっともない顔してるんだ。
    ドギーはなくものだろって?それは意味が違うと思うけど。間抜けな顔が見たい?全く…悪趣味だな、君は。わかったよ。映しとく。他のひとに見せないでくれよ?


    …これからどうしたいのかって。……どうしようもないだろ。恋愛は両者の合意がないと。僕はもう振られたんだから。

    え、何飲んでるのかって。見ての通り水だけど。
    食事? 別に今腹なんて減ってないよ。

    アーロン、もう切るのか…?
    …、……。
    そっか。予定があるのか。なら、仕方ないな。うん、ありがとう。
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    PROGRESS第9回お題「野菜」お借りしました。
    #チェズルク版ワンドロワンライ
     分厚い紙の束を取り出すと、つやつやとした様々な色合いが目に飛び込んでくる。
     グリーン、ホワイト、パープル、レッド、イエロー……派手な色が多い割に、目に優しいと思えるのは、きっとそれらが自然と調和していた色だから、なんだろうな。
     大ぶりの葉野菜に手をのばして、またよくわからない植物が入っているな、と首を傾げる。
     世界中をひっちゃかめっちゃかにかき回し続けている「ピアノの先生」から送られてくる荷物は、半分が彼の綴るうつくしい筆致の手紙で、もう半分は野菜で埋め尽くされていることがほとんどだ。時折、隙間には僕の仕事に役立ちそうなので、等と書いたメモや資料が入っていることもある。惜しげもなく呈されたそれらに目を通すと、何故か自分が追っている真っ最中、外部に漏らしているはずのない隠匿された事件にかかわりのある証拠や証言が記載されていたりする。助かる……と手放しで喜べるような状況じゃないよな、と思いながらも、見なかったフリをするには整いすぎたそれらの内容を無視するわけにもいかず、結局善意の第三者からの情報提供として処理をすることにしている。とてもありがたい反面、ちょっと困るんだよなあ。
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