娘のパンを寝かしつけてから、ビーデルはキッチンに戻った。
シンクに下げた食器を洗おうと水を出してスポンジに洗剤を含ませたが、リビングのほうにまだ気配があることに気付く。
夫の悟飯は数日間、遠くの街まで学会にでかけている。ピッコロが夕食後もリビングに留まっているのだろう。
「ピッコロさん、何かご用ですか?」
ビーデルはきっと自分に話でもあるのだろうと察して、そう声をかけた。
「ああ…大したことじゃない。皿を洗ったらここに来てくれると助かる」
ビーデルは自分の手に泡だらけのスポンジを握っていることを思い出した。
「大したことじゃないなら、今聞いちゃおうかな。コレ、置いてきますね」
リビングに戻ると、ピッコロはやや神妙な顔で言った。
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