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    かがり

    @aiirokagari の絵文置き場
    司レオがメイン

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    かがり

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    ぷらいべったー引っ越し(2020.8.23)
    ズ!! 夏くらいの時間軸(付き合ってない)〜未来(付き合ってる)の話
    GFKのハラスメントちゃんと裁かれてくれないかな……(その辺りの描写を少しだけ捏造してます)

    (2023.6.25再録集発行に伴い微修正)

    #司レオ
    ministerOfJustice,Leo.
    #小説
    novel

    咀嚼:司レオ「レオさん、どうかしたのですか?」

     Knightsの五人が集まって、久方ぶりに全員そろって対面での打ち合わせを行った後のこと。直後に予定があるメンバーは、各々が呼んだタクシーで忙しなく移動していき、残ったのは結局のところ、司とレオの二人だけだった。

     そういった経緯で、折角だからと二人で食事に繰り出したものの、レオの様子が何処となくおかしい。運ばれてきたサラダの皿を前にして、野菜にドレッシングを絡めるように弄び、そうしてコースランチの皿を空けていく司の方をチラチラと見てくるのだ。
    サラダにスープ、メインの料理まで、とうに卓上に並んでいるのに、あまり食が進んでいないようである。

    「体調がよろしくないのですか?」

     それともいつもの『霊感』だろうか。それならば楽譜を準備しなければと鞄に手を伸ばすも、それにしては普段と比べてあまりにも静かであることに気付く。

    「あーー違うんだ、ごめんごめんっ」

     自身が大丈夫であることを示すように、レオは小気味良い音と共に、フォークで刺したレタスを口にする。

    「……いやさ、ちょっと前、例のプロデューサーと食事に行った時に、『人の食事の仕方はセックスの仕方と類似する〜』みたいな話を、その、されて」

     ふいに。本当に唐突に、トーンを落とした声色でそんな話をされて、司は喉の奥で咀嚼している食材が暴れ出すのを、どうにか抑えなければならなかった。

    「だから、……何というか、人前でものを食べるのがちょっと恥ずかしいような気がしちゃって……?」
    「――っ、はぁ⁈」

     絞り出したそれは、どうにか口の中のものを嚥下し終えての第一声だった。
     確かに、時にそう例えられる論調は見たことがある。何やら色々と書き立てられているというユニットの評判を知るために、そういった「俗的な」雑誌だって、司は買って読んだことがあるのだ。
     そういう論調があることは知っている。知っているけれども。

    「あなたという人は‼ じゃあ私の食事姿をチラチラ見てくるのはやめて下さいよ‼ ……というか本当に例のProducerは低俗極まってますね⁈」

     よりによってこの人にそんな話をするなんて。「Producer」だなんて、敬愛する「お姉さま」と同じ呼び方をせざるを得ないことすらも腹立たしい。怒りの矛先は元凶の人物へと向かい、どうにか法的に裁くことはできないか、という方向に思考が飛んでしまう。人脈の当てとその方法を思案しようとしたところで、レオが弁解するようにわたわたと言葉を続けた。

    「いや、まあ、確かにどう反応して良いか分からなかったし、そんな話されてもな〜〜って思ったけど! でも、今このタイミングでうっかり思い出しちゃったから、ちょっとだけ妄想しちゃったというか!」

     妄想。
    (自分の食事の所作から、そういう行為を……?)

     じわじわと頬に熱が集まるのを感じる。そんな視線をどことなく感じ取ったのか、レオの頬も赤く染まっていく。

    「ち、違うぞ⁈ っていうか、スオ〜はそういう話題とはあんまり結びつかないな〜って思って見てたの!」
    「そ、そうですか……」

     それはそれでどうなのだろうか。「そういう妄想をしていた」だなんて言われた方が困ってしまっただろうに、何とも形容しがたい反発心のようなものが疼く。自分でも、近頃少しは大人びてきていると思うのだけれど。

    「……レオさんから見た私の食事姿って、どんな感じなのですか」
    「えっ、それを言わせようとするのはどういう意図なの」
    「……観察されていたようなので、ただ興味が湧いただけですよ」

     他意はない、はずだ。そもそもレオは、「司と性的な事柄を結んで考えにくい」と言っているのだから。それでも何となくそわそわとしてしまい、そのまま彼の言葉を待つ。

    「……綺麗だと思うよ。食べ方の動作も、食べた後の食器とかも。なんかお上品って感じ」

     レオはフォークを皿の淵に引っ掛けながら、照れたような素振りでそんなことを言う。
     その表情に、胸の内を撫ぜられたような不思議な感覚を覚えて。加えて、所作を褒められたことが手放しで嬉しくて、会話の文脈も忘れて少しだけ得意気な気持ちに浸っていた。
     ――それも束の間。

    「でも、スオ〜って普段は澄ましてるくせに、ちょっとメンタル崩れると好きなものばっか食べるところあるしな……もしかしたら、そっちの方が本性なのかも?」
    「っ失礼ですね‼ 私は常に紳士的に食べます‼」


    ♪♪♪


     ふと、そんな会話を思い出した。
     少しは互いを意識していたのだろうが、その後にお付き合いを始めるなんて想像だにしていなかった頃。そんな頃合いの、少しだけ下世話な会話。

    「そういえば、どうでした……?」
    「……なにが? あっ『気持ちよかったよ♡』みたいなやつ⁇」

     普段と大して変わらない言動に少しばかり苛ついてしまうが、汗で髪が張り付いて紅潮の残る頬を見れば、そんなことはどうでも良くなってしまった。

    「そうではなく。いつぞやの、食事と行為を重ねた妄想のお話ですよ。私の食事姿と、行為の在り方は似通っていましたか?」

     あーそんな話したっけなぁ、とすぐ横で枕に頭を埋めるレオは、遠くを見るように目を細めている。目にかかる前髪を優しくはらえば、彼はくすぐったそうに声を漏らした。

    「うーーーん、初めて行った食べ物屋さんって、ちょっとした作法とか、暗黙の了解とか分かりにくいから、あんまりのびのびとは出来ないよな」

     個人経営だと特にそうかも? と彼は考え込むように視線を落としていたけれど、次の瞬間、ニカッと愛らしい八重歯を見せる。

    「だから、答え合わせはこの先かな!」


    ♪♪♪


    「お米一粒も絶対に残さないという強い意志、みたいな……、骨つきフライドチキンをめちゃくちゃ丁寧に食べるタイプ……?」
    「……食い意地が張っている、と……?」
    「そうは言ってないだろ〜! 綺麗に丁寧に、全部ぜんぶ貪る……お上品なのに欲張り……うーーーん、確かにお前の食べ方そのものって感じかも⁉」



    【終】











    発端 →→→ 初めて →→→ XX回目みたいな

    ケーキバースネタものろのろと書きつつ、食にちょっとだけ性をこじつけるのが性癖なのかもしれないと最近気付きました。
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    かがり

    DONE(2025.6.23)
    ラブコレクター・ミニトーク「射止める心」より
    弓道部モブ後輩視点(モブ→司くんは心を寄せているけど恋愛感情ではない)
    司くんが弓道部部長だと捏造しています
    弓道関連用語については薄目で見てください
    正射必中!:司レオ「……朱桜先輩! お疲れ様です!」

     一礼して敷居を跨いだ弓道場で、真っ赤な髪色の人影を見つけた瞬間、反射的に弾んだ声が出た。
     私立夢ノ咲学院の中でも独特の雰囲気を持つ弓道場は、校舎の端に位置しているせいか、その場に相応しい静けさが支配している。思いのほか反響してしまった声を咎めることもなく、その人物は鷹揚に振り返った。スローモーションのように癖のない髪が揺れる。
     ぴしりと背筋を伸ばし、いつも保たれている綺麗な姿勢は弓道着姿がこの上なく似合う。そうして、夢ノ咲学院弓道部の部長たる朱桜司先輩は、悠然と微笑んでこちらに視線を向けた。

    「はい、精が出ますね」

     部で指定している活動日ながら、朱桜先輩以外の人影は見えない。校内ライブが近いから、きっとレッスンを優先している人が多いのだろう。元よりアイドル活動以外にはそれほど力を入れていない校風だし、弓道部も例外でなくそういった雰囲気を持つ部活だ。
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    DONEなんとなく続いている主福のお話で、単品でも読めます。七夕を楽しむ二人と、夏の風物詩たちを詰め込んだお話です。神頼みができない人にも人事を超えた願いがあるのは良いですね。
    >前作:昔の話
    https://poipiku.com/271957/11735878.html
    まとめ
    https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
    星渡 折からの長雨は梅雨を経て、尚も止まぬようであった。蒸し暑さが冷えて一安心、と思ったが、いよいよ寒いと慌てて質屋に冬布団を取り戻そうと人が押しかけたほどである。さては今年は凶作になりはすまいか、と一部が心配したのも無理からぬことだろう。てるてる坊主をいくつも吊るして、さながら大獄後のようだと背筋が凍るような狂歌が高札に掲げられたのは人心の荒廃を憂えずにはいられない。
     しかし夏至を越え、流石に日が伸びた後はいくらか空も笑顔を見せるようになった。夜が必ず明けるように、悩み苦しみというのはいつしか晴れるものだ。人の心はうつろいやすく、お役御免となったてるてる坊主を片付け、軒先に笹飾りを並べるなどする。揺らめく色とりどりの短冊に目を引かれ、福沢諭吉はついこの前までは同じ場所に菖蒲を飾っていたことを思い出した。つくづく時間が経つ早さは増水時の川の流れとは比べるまでもなく早い。寧ろ、歳を重ねるごとに勢いを増しているかのように感じられる。
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