家族四人で初めて迎えることになったクリスマスは、それはもう幸せで賑やかなものになった。
悟天が張り切りリビングは飾り付けられ、これまたちょっとばかり張り切った悟空により立派なもみの木も運び込まれた。そのもみの木は父と息子達によりクリスマスツリーとなり、それらの準備の間にチチが大量の料理を作り大きなケーキも焼いたので、笑顔と楽し気な会話が続く幸せな空間だった。
はしゃぎ疲れた悟天が目元を何度も擦るようになったころパーティーは終わりとなり、悟天を連れて悟飯は子供部屋へ。悟空は風呂へ。
「幸せだべなぁ」
洗っていた皿の泡を流水で流しながら、チチは胸の内を言の葉にした。
夫がいないこれまでの七年もクリスマスは室内を飾り付けごちそうを作ってきたけれど、悟空がいるクリスマスは悟天も悟飯も笑顔が弾けている。もちろんチチ自身も、例年より料理を作る最中は上機嫌だったと思う。
「チチ、皿洗うんなら湯使えよ。手、真っ赤じゃねぇか」
「ああ、悟空さ。お風呂あがっただか。洗い物はもう終わるし、今日はもうこのままでいいだよ。おらもすぐお風呂入るつもりだしな」
「そっか。んじゃ、オラは悟天と悟飯へのクリスマスプレゼント、あのツリーの下に置いといたらいいんだよな」
「んだ。朝に悟空さに言った場所に隠してあっから、お願いするだよ」
「OK、おまかせとけ。…で、チチはほしいもの決まったか?」
「 ? 」
「ほら、オラで用意できるもんでチチが欲しいもの、クリスマスにプレゼントするって言ったじゃねぇか」
洗い物を終えて水を止めたチチは手をエプロンで拭き、微笑みながら風呂上りの夫を見る。
子供達へのクリスマスプレゼントはチチが悟空に言い、ふたりで買い物に行き用意をした。その際に、彼からチチに贈り物をしたいというとてもうれしい言葉があり、正直チチはもうそれだけで十分だと思った。実際、それを彼に伝えたのだが、どうやら彼は納得していなかったようで……。
「じゃあ、悟空さ、ちいっとだけ、こう…両手を開いてけれ?」
「 ? …こうか?」
「んだ。……!」
「 !! 」
チチが悟空に勢いよく抱き着き、両手を軽く開いていた悟空は反射的に抱き留めた。
「悟空さがいてくれることが、おらにとっては最高のプレゼントだべ。だから、あの世からこっちさの人になってくれた日から、おらは毎日毎日ずーっと贈り物をもらってるようなもんだべよ」
心正直に、少しだけ悪戯心で冷たい手で風呂上りの夫のタンクトップだけの背中に触れていたら、逞しい腕にぎゅっと閉じ込められる。
「………確かに。それだとオラも毎日チチからプレゼントもらってるってことだなぁ………」
にっかりと、でもとてもやさしい笑みを浮かべた悟空の顔が近づいてきて、チチは静かに目を閉じる。
七年振りのクリスマスは、とてもやさしい夜だった。