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    第13試合『告白〜Confession〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi

    パオズ山、孫家。
     長男、悟飯が家庭を持ち家を出たことにより、息子達の部屋は次男悟天の自室となった。
     最初は広くなった部屋に落ち着かない様子だったが、成長と共にそこは彼のテリトリーとなり自室で過ごす時間も多くなった。

     家族仲が悪くなったわけではないが、悟空からしてみればやはり以前のように家族三人でリビングで過ごす時間が少なくなったと感じるし、それとなくチチにそれを話してみたところ、それが子供の成長だと微笑まれた。

    「悟空さは意外と子離れが寂しい性質なのかもしれねぇな」
    「そうなんかなぁ」

     風呂上り、チチがリンゴを用意してくれるというので悟天にも声をかけたのだが、彼は机に向かって今はいいと返してきたことを妻に話して、彼女が置いてくれた皿からリンゴをつまんで食べる。
     子離れというと悟飯の結婚式の前夜に涙をこぼしていたチチを思いだすのだが、そこまでではないと思う。でも確かにチチの言う通り、なんとも言えない感覚は「親」としての何かしらの感情だろうともあり、……なんとも表現し難い。

    「まぁ、おらと悟空さは子育ての差に七年ほどあるだ。そのうち追いついてくるだよ」
    「なんかチチ、センセイ見たいだな。むかーし亀仙人のじっちゃんに勉強教わってたときにちょっと似てっぞ」
    「あんれまぁ、武天老師さまにけ。そりゃあ喜んだ方がいいんだべかな」

     自身もリンゴをつまみ、しゃくりと食べるチチは笑っている。その表情が好きだなと思いつつまた新しいリンゴに手を伸ばして、そういえば、と悟空さ先ほど覗いた悟天の部屋で見たものをチチに話すことにした。

    「悟天が勉強? 宿題はやったって言ってたから自習だべかな。いいことだべ」
    「言葉の勉強ってやつやってたぞ。共通語じゃねぇ他の言葉って言ってたかな」
    「昔のふるーい映画とか、本とかに使われてたりするだべな。でもまぁ…、ふふ、おらなんとなく理由が分かっちまっただよ」
    「 ? 」
    「悟天には言わねぇでけれよ。多分、他の言葉が話せたりすると、『カッコイイ』んだべ」
    「カッコイイ??」
    「んだ。耳慣れないものができたりすると羨望の的になるだよ。女の子にもてたりもするだな。悟飯は生き物の方に興味があったけんど、悟天の場合は興味の方向がどうも違うみてぇだ」
    「ふーん…?」
    「親友がトランクスくんってのも影響はあると思うだ。あの子もそろそろブルマさの後継者としていろんなお勉強始めてるっていうしな。悟天ももう子供っていうには微妙なお年頃だべ。あの子もあの子なりでいろんなことをやり始めるだよ」
    「オラとの修行もあんまノリ気じゃなくなってきてっのも、そういうことか?」
    「多分な」
    「…………」
    「寂しいけ?」
    「…………ちっとな」
    「じゃあ今度悟天にお父さんのこともちょっとかまってやれって言っておくだよ」
    「…そんだけ?」
    「 ? 」
    「嫁さんがオラのことかまってくれてもいいんだけどな」
    「…しゃあねぇだなぁ」

     子供成長と共に、父と母の関係もまた、密になるのが孫家であったりする。



     そして、後日。

    「別の国の言葉でさ、好きな人に好きだよって言えたらカッコいいと思うんだよね」
    「…そうかぁ??」
    「お父さんとお母さんはさ、もう子供のボクからしてみてもナカムツマジクていいことなんだけどさ。女の子ってギャップとかにどきっとするみたいなんだよね。だからいつもは飄々としててもさ、決めるときにびしっと他国言語で好きとか言えたりすると、いつもとは違う感じで心に刺さるかなぁとか思ってさ。」

     修行ではなく、釣りを一緒にしながら話す次男坊の言葉は理解できるような、できないような…。
     素直にそれを言うと、悟天が苦笑する。

    「お父さんはさ、お母さんに好きって言われ慣れてるからあんまわかんないんじゃないかなぁ。でも多分、お母さんって母親って色が強いけど、でも恋してる少女みたいなところもあるからさ、なんかここぞってところで別の言葉で「好き」って言ってみたら? いつもとは違うお母さんが見られるかもしんないよ」

     愛してやまない妻の、また違う様子。それには大変好奇心を刺激され、釣り糸を垂らしながら次男から他国言語で「好き」を悟空は学んだ。

     そして次男坊が親友の家に泊まりに行った日にそれを実践したらしく、帰宅した悟天はどこかきれいさを増した母親の姿を見て自分の考えが間違っていないことを知った。

     好きという気持ちは真実で、その思いを伝える告白は大切なものだけど、ときにそれの色を変えることは大きな武器であり、時にスパイスとなるのだ。
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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第7試合 お題『ピアス』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「ピアスを開けたい? いいんでねぇか」
    「…………」
    「悟天、何か言いたいなら言うだよ」
    「あ、えっとさ。あっさりOKされるとは思わなかったから」
    「ファッションのひとつだし、おめぇも年頃だからな。親のおらがしてるものを頭ごなしにダメっていうほど気も張ってねぇだよ」

     ソファに座ってのんびりと茶を飲んでいる母に話しかけるタイミングと彼女の期限をかなり慎重に窺って挑んだだけに、悟天の方が拍子抜けしてしまった。
     桃色が主体の旗袍に髪を短くした母親の耳元には確かにピアスがされていて、小さく球が揺れている。

     ピアスといえばやはり女性ものというイメージがあるし、実際母に話すより前に隣に住む兄に相談してみると「彼女へのプレゼントじゃなくて?」と首を傾げられたこともあった。まぁ悟天とて女の子がつけて可愛い装飾が多いものは興味はないが、小さな銀や金のスタイリッシュなものには憧れる。
     耳といういつも露出している部位に身に着けるものだから、やはり一緒に住んでいる家族に黙ってやるのはいかがなものかということと、素行には厳しい母親であるということで話すタイミングを数日前から考えて見計らって挑んだ結果 1737

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第9試合 お題『夢』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    思えばずっと、自分は彼女に待たせているばかりだった。

     幼い約束を信じて、少女から乙女となるまで待ち続けた彼女。
     天下一武道会の武舞台で夫婦となりパオズ山で生活はし始めたけど、修行のために家を出れば一人きりの朝と夜を迎えさせたのは片手どころか両手、両足の指を使っても数えきれないほど。それで泣かせてしまったのも数として口にすると後ろめたさでいたたまれなくなるのだが、そこに死別が割り込んでくるとなると、もうなんともさすがの悟空とて申し訳ないどころでは済まされないと反省したくなる。
     二度の死別から現世の人となり、そこから先で、また彼女の元から離れた。

     背中にかけられた声にまともに返せなかったのはともすれば彼女を道連れにしてしまいかねなかったからだ。
     今の孫悟空という存在はこの世、あの世、どちらの存在とも言い難く、地球という星と共に在るが、個として明確であることは短い時間でしか今は保てない。

     そうなることは悟空自身の意思であるし、悔やんではいない。
     自慢の息子達が家庭を持ち、仲間達のそれぞれの人生、可愛い孫娘が孫の世話をする時の流れを穏やかに、なつかしさと羨望のまなざしで見守 1238

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    TRAINING【第12試合】『ベンチ〜bench〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「お義父さんってお義母さんのこと、本当に大好きよね」
    「? いきなりどうしたの、ビーデルさん」
    「ごめんなさい、特になにかあったとかじゃあないんだけど、なんていうのかな、しみじみ分かっちゃって。お二人の子供である悟飯くんにはそんなの当たり前じゃないかってなるかもだけどね」
    「いや、息子だからこそ気付けていないところって多分あるんじゃないかな。ちなみに…ビーデルさんが思ったのってどういうの?」
    「えっとね。ほら、今日みんなでお出かけしてて、ちょっと喉が渇いたからって今このお店飲み物買おうとしてるでしょ」
    「悟天のやつはジュースもアイスもってなってて悩んでるのに付き合ってる僕たちだよね」
    「そう。で、お義母さんはちょっと疲れたからってあそこのベンチで座って待ってるってなったでしょ。それに、お義父さんが一緒に座って待ってるっておっしゃったときに思ったの」
    「父さんが母さんのことを好きだなって?」
    「うん。だって、ちょっと怒られそうだけど、お義父さんこそ悟天くんと一緒に何食べよう、何を飲もうって悩みそうなものじゃない」
    「確かに。飲み物は適当でいいっていうのは父さんっぽいけど、『疲れたから座っ 767

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    TRAINING第14試合『猿〜MONKEYサル〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    ある日突然、出会ったころのような少年の姿になって自分の元に戻ってきた夫は元の姿に戻るを通り越して、スーパーサイヤ人の別の形態を得た。
     それまで髪に宿していた金色は瞳の色へと変わり、スーパーサイヤの三つ目のときほどではないが髪は背後に流れるほどの量がある。
     朱の隈取に同じ色の体毛。同色の尻尾を持つ夫は素直にかっこいいとチチは称し、その姿で近づかれても金色のスーパーサイヤ人を初めて見たときのような拒否反応は起こさない。
     それが嬉しいような、どことなく複雑なような、とは悟空の心境だ。

    「スーパーサイヤ人3んときもそんなおら嫌がらなかったべ? 髪もふもふさせてもらったもん」
    「ありゃあいい加減普通のスーパーサイヤ人とかである程度慣れてたってのもあんだろ。いっちゃん最初になって見せたときとかはまぁ不良だなんだ言われたし、悟飯のときもそうだったじゃねぇか」
    「悟空さ結構根に持つタイプだべよな。普段は黒い髪の悟空さや悟飯ちゃん、悟天ちゃんが金色の髪になっちまうと髪を染めて不良になってるってイメージになっちまってたからなぁ。我が子が非行に走るのを嘆くのは親の本能だべ」
    「オレはチチの子供じゃね 1730