自宅に戻るつもりで妻の気を探り、瞬間移動をした先はプールだった。
しかも、今まさに水着を着るために肌をあらわにしている妻が目の前に。
結婚したばかりのような初心な反応はなく、小さくため息をつかれたあと、悟空は顎に見事な掌打を食らった。
「いやー、ウチに帰ぇろうと思ってたから驚いちまった」
「瞬間移動する前に気の方角は確かめるだよ。おらがいっつもウチさいると思ったら大間違いだべ」
まだ少しご機嫌ナナメなチチに悟空は悪かったってと詫びを口にし、チチの隣を歩く。彼もまた胴着姿ではなく水着を着用している。この施設内にある店で間に合わせに購入したものだが、胴着と同じ系統のそれは彼の好みのものであったようだ。
「ウチには悟天ちゃんがいるし、あっためるだけの飯も用意してあるから戻っててもいいだよ」
「いや、チチ泳ぐんだろ。じゃあオラも泳いでく」
「あんまよくわかんねぇ理由だべな」
「んー、まぁ一緒になんかするっていいじゃねぇか。オラ達夫婦だし」
「まぁ、そうだけんど」
最近運動不足ではあるが、悲しいかな少し年齢的なものもあって身体に負担の少なめなものにしたいとチチは考えており、ちょうど夏の季節ということから水泳を選択した。
水遊びを目的にしたプールや海とは違い、身体を動かすことを目的としたところで、水着も華やかなものではなく身体にフィットしたものなのがチチには嬉しい。そう悟空に言ったところ、彼は少し眉間に皺を寄せたあと困ったように笑い、チチに早く泳ごうと入水を一刻も早く促すのであった。