甘い夢を夜、薄暗い部屋を彩るBGMは大抵スポーツ番組だった。エキサイティングな試合をつまみに冷えた瓶ビールを渇いた体に流し込むと内臓が息を吹き返すように潤っていく。
試合終了を知らせるホイッスルが鳴り選手たちの明暗が分かれると1日も終わり自身もベッドへ向かう。
「クリス、おつまみ作ったよ」
以前までは。
「あ、負けたんだ」
「うん、残念…て、それDが作ったの?」
「そう。オバツダってやつ。ネット記事の見様見真似だから味合ってるかわかんないけど」
数日前にクリスは近所のバーで声をかけた青年を家に招き入れた。警戒されて当然のシチュエーションの中、青年がそんなそぶりを見せていたのはほんの数時間で、艶やかな黒髪のJapanerはこの通りすぐに人懐っこい笑顔を見せるようになった。
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