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    gerkej1006_cp

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    あずはんにゃの日
    三月お題 遊戯

    お題、お借りしました

    #あずはんにゃ

    おあそび 主に頼まれ、蔵の整理をしていた時の事だった
    コロンと棚から何かが落ちる
    「なんだこれ」
    「どうしたんだい、大般若」
     拾い上げればそれは、馬の頭を模した小さな細工物で
    いつだったか、人の子がこれで遊んでいるの思い出した
    「棚からこいつが落ちてきてな。確か、西洋で言うところの将棋の駒だったか」
    ほい、と小豆に渡せば興味深そうに頭上に掲げくるくると回しながら観察する
    「うまを、もしているのだな」
    「ナイトという駒だな。他にも将棋で言う歩兵のようなものとかもある」
    「なるほど…」
     子供のように目を輝かせながら、やってみたそうにソワソワし始める小豆に可愛さを覚えつつ良いことを思いつく
    「後でこいつで遊んでみないか」
    「いいのかい?るーるはわからないのだけれど」
    「大体は将棋と同じだし、駒の動き方は教えてやるさ」
    「では、はやくかたづけをおわらせないとね」
    「そうだな」
     うっきうきで片づけを再開する小豆の背を見守りながらほくそ笑む
    どうせなら、賭けでもしていつも見られないような小豆が見れるような命令をしてやろう
    小豆よりはルールやコツは分かっている分、勝機はある
    この後が楽しみだと、小豆に続いて片づけを再開した

       *

     コトリ、コトリと駒を動かす音と互いの息遣いだけが部屋の中に響く
    ポーンは殆ど盤上になく、残っているのを放っておいても問題はない
    現状、こちらが優勢であった
    「ふむ…」
    「降参してもいいんだぜ、小豆」
    「まだ、こうさんのときではないよ」
     にっこりと笑みをこちらに向け、ゲームの続行を告げる小豆だが
    その目の奥底には目の前の獲物をどう狩ろうかと虎視眈々と狙う炎が見える
    それは奇しくも、情事の際に小豆が見せる目と同じで、酷く興奮する
    だが、勝負は勝負。さっさとケリをつけてこの興奮の行く末も、いつもは見られないであろう恋刀の姿も全て己の意のままにしてやろうと次の一手を打った

      *

     さて、結論か言うと綺麗に敗北した
    些事と放っておいたポーンにしてやられたのだ
    目の前にはチェックメイト状態の盤上と、勝ち誇った顔の小豆
    反対に俺自身は先ほどの興奮はどこへやら、背に冷や汗をかいていた
    「さて、まけたほうはかったほうのめいれいを、なんでもきくんだったね?」
    「ぐっ…」
    「なにを、たのもうかな」
     過去一レベルで悪い顔をする小豆にそんな顔もできるのかと思いつつもどうにかして逃げ出せないかと画策する
    賭けを言い出した言い出しっぺは自分だが、こういう顔をしたときの小豆を相手にするのは碌なことになった試しがない
    「お、お手柔らかに頼むぜ、小豆ィ」
    「きみしだい、かな」
     じりじりと後退していけばにっこりと笑いながらも逃がさないとばかりに手を掴まれ、壁と小豆の身体に挟まれ逃げ場を失う
    「ねぇ、大般若」
    「な、なんだい?」
    「おねがい、きいてくれるよね?」
     悪い顔を子犬のような顔に変えながら首をかしげて聞いてくる姿に確信犯めと悪態をつくがこの顔にどうにも弱い
    「ほんとにズルい男だなお前は」
    「きみがそだてたんだよ?」
    「ったく…」
    「あまえさせて、くれる?」
    「それぐらい、いつでもしてやるさ」
    「やった」
     首筋に鼻先をぐりぐりと擦り付けてくる大型犬を撫でまわす
    いつの間にこんな甘えん坊に育ったんだか…と自分の手腕に感心する、がそれはそれとして当初の目的をある意味達成したような物か、と感じる
    欲を言えばもっといろいろ見たいところではあったが
    こんな姿、小豆が子供達と呼ぶ短刀らには見せられないし見せることもないだろう
    俺だけが見れるものであるならば我慢するだけの価値はある

     身体の奥底に燻ぶった熱は別に機会にでも発散することにして、今は目の前の大型犬状態の恋刀を目一杯甘やかすことに集中することにした
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    gerkej1006_cp

    DONE八月お題「貝殻」で参加させていただきます。
    夏だ海だ連隊戦だ!夜光貝だ!からの夜光貝と言えば螺鈿細工の材料の一つという連想の元書かせていただきました。調べたら製作キットマジであるらしい。ちょっと欲sゲフンゲフン。
    螺鈿 夏の連隊戦が行われている真っただ中、本丸総出で夜光貝集めに駆り出されていた為に中々二振りで過ごす時間が取れずにいた。だが、本日ようやくお互いの出陣予定がなくゆっくり過ごせる時間が取れた。いつも以上に浮かれた気分で大般若の部屋を訪ねた。
    「大般若、はいっても?」
    「構わないさ。あぁ、でも少し待ってもらえるかな。」
     そう言って部屋に迎え入れてくれた大般若の手にはキラリと光る見慣れぬものがあった。
    「それは?」
    「あぁ、これかい?美しいだろう。万屋街で見つけてね、口説き落として迎え入れたんだ。中々に骨が折れたよ。」
     ほら、と見せてくれたのはフクロウの親子を模した螺鈿細工のブローチであった。キラキラと光を反射して輝くそれは確かに美しいもので大般若が気に入るのも良く分かる。愛おしそうな目で「また後でな。」とブローチを箱に仕舞う姿に何故だか胸がもやもやとしたものに覆われる感覚を覚えた。無意識にしかめっ面をしていたのか大般若に眉間を指で押さえられた。
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