あなたのふれたところから「ペ………………ラ……!…………ラ…………!」
遠く、遠く。誰かが呼ぶ声が聴こえる。そんなに必死に誰を呼んでいるのだろう。誰が、呼んでいるのだろう。こんなに健気に呼んでもらえるなんて、呼ばれている人はきっと幸せだろうな。
そういえば、聴こえてくるこの声は何処かしら聞き覚えがあるような気がする。呼ばれている名前も、なんだか聞き覚えが。やけに耳に馴染むというか、あぁ、そういえば、私そんな名前だったかもしれない。
「ペトラ!」
そう、ペトラ。私だ。私の名前。じゃあ、呼ばれてたのは私だったんだ。
重い重い目蓋を上げて、辺りを見渡そうとして失敗に終わった。首は硬いもので固定されているし、そもそもマトモに目が開けられない。視界の片側はどうやっても暗いまんまだ、なにか眼帯のようなものがつけられているのだろうか。
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