変わる想い、変わらない想い月明かりに照らされる窓辺、部屋の中で影が動いた。
袖を通した衣擦れは、何も音がない場所では響く。
「…今日はまた、随分と余裕が無かったようにございますね?」
「……」
「フフ。理由は分かっていますがね」
新たに出来た傷跡を軽く手当てし、ボタンをひとつずつ閉めていく。
少しでも表情が隠れるように、といつからか着けているチェーンの付いた眼鏡は、内ポケットにしまう。
──主は、変わった。
暴君から儚君となり、誇りは野望へ。
全ての引き金は、あの女だった。
見ている限り、どちらにせよ、変わるのはあの女がきっかけだったように思う。
「閣下?どうされたので?」
「……か」
「はい?」
「…お前は、あの言い分が正しいと思うか。アルティナをああしたのは…間違いだったのか。俺が全て…間違っていたのか」
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