Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    住めば都

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 40

    住めば都

    ☆quiet follow

    あくねこ、ベリアン夢
    ある休日の朝、ベリアンが主様におまじないをかけてもらう話

    仕事終わりにアニメイトに飛び込んで、サンリオコラボのグッズを買ってきました! コラボフェアの期間に買いに行けてよかった!
    ぱしゃこれを1袋だけ買ったんですが、ベリアンが来てくれました!やっぱり書くと出ますね( ˇωˇ )

    #aknkプラス
    aknkPlus
    #ベリアン
    berean.
    #あくねこ夢
    cats-eyeDream
    #aknk夢

    とっておきの魔法をかけてよ ベリアン・クライアンの一日は、主人の起床時間に彼女の寝室を訪うことから始まる。
    「主様、おはようございます。起きていらっしゃいますか?」
    「起きてるよ。どうぞ、入って」
    「失礼いたします」
     ドア越しのやりとりを経て入室する。このときには大抵、主人は身支度を終えているので、ベリアンが主人のためにできるのはアーリーモーニングティーを淹れることくらいだ。
     こことは異なる世界でも生活を営む主人は、身の回りのことはほとんど自分でこなしてしまう。よっぽど疲れているときくらいしか寝過ごすこともないので、朝の手伝いはそれほど必要ではないのだろうなと、実のところベリアンは思っている。
     優しい主人は、ただ執事たちの仕事を奪わないでくれているだけなのだ。それでも、主人が毎朝ベリアンの用意する紅茶を美味しそうに飲んで、笑顔で礼を言ってくれるのが幸せで。だからベリアンは主人が拒否しないかぎり、毎朝主人の部屋を訪ね、朝の紅茶を淹れるのをやめるつもりはない。
    「今朝は少し暑いので、ペパーミントとレモングラスのハーブティーにいたしました。清涼感のある香りをお楽しみください」
    「いつもありがとう、いただきます」
     猫舌ぎみの主人が熱いお茶をのんびりと飲んでいる間、ベリアンは不躾にならないように気をつけながら、主人の様子をつぶさに観察する。疲れた顔をしていないか。体調を崩しているような様子はないか。肌や髪の調子はどうか。目の下に隈はできていないか。
     土曜日の今日は、一週間の労働による疲労のあとが濃い。カフェインの含まれないお茶を選んで正解だったと独り言ちながら、ベリアンは主人の疲労を回復させるための方法をあれこれ思案し始めた。
    「ベリアン」
    「……っ、はい」
     考え事をしていたせいで、主人の呼びかけに反応するのが一拍遅れた。反省と同時に応答すると、主人は下ろしたままの黒髪を揺らして首を傾げた。
    「大丈夫? もしかして疲れてる? 体調が悪いなら無理はしちゃだめだよ」
     心配そうな顔の主人がかけてくれる言葉に、ベリアンの胸はろうそくの明かりを灯したように熱を帯びた。本当に優しい人だ。ベリアンにとって、彼女が仕えるべき主人でいてくれることは、他にはなにもいらないと思えるほどの僥倖だった。
    「いえ、問題ありませんよ。申し訳ありません、少し考え事をしておりました」
    「そう? だったら、いいんだけど……ベリアンは頑張りすぎちゃうから、心配だな。昨夜はちゃんと寝た?」
    「ええ。主様が心配してくださるので、これでも以前よりは体調管理に気を配るようになったのですよ」
    「……そっか」
     相槌までの短い沈黙は、ベリアンの答えに納得がいっていないことを告げるようだ。主人はティーカップを静かにソーサーへと戻した。
    「ねえ、ベリアン。手を貸してくれる?」
    「え? ええ、どうぞ」
     主人が伸ばした手に、ベリアンは手袋をはめたままの手を預ける。彼女はベリアンの手を両手で包むように握った。カップを持っていたほうの手から、じわりと熱が伝わってくる。主人はベリアンの手を引くと、そこに額を寄せた。
    「いつか……いつかベリアンが、自分のために自分を大切にできる日がやってきますように」
    「主様…………」
     ベリアンはそれきり言葉を詰まらせた。握られていた手はパッと離され、顔を上げた主人は照れたようにはにかんでみせる。
    「おまじない。ちょっと子どもっぽかったかな?」
    「いいえ……いいえ。ありがとうございます、主様。とても嬉しかったです」
    「それならよかった。あなたが私を大切に思ってくれているように、私もあなたを大切に思っているんだってこと、忘れないでくれたら嬉しい」
    「はい……お言葉、胸に刻みました」
     胸に手を当て、ベリアンは恭しく頭を垂れた。伏せた顔が熱い。主人の前であるので、鏡で確かめることはできないが、耳まで朱に染まっているに違いなかった。
     主人はベリアンを喜ばせるのがあまりにも上手すぎて、だから彼はときどき困ってしまう。その困惑さえ甘やかな幸福をもたらすのだから、もはや手の施しようがない。
     ベリアンは、主人に握られたほうの手を緩く握りしめた。おまじないの効果だろうか。触れあったときに伝わった温もりが、まだそこに残っているような気がする。
     執事として、幸福を与えられるばかりではいられない。ベリアンは決意も新たに、気を引きしめ直した。主人の休日はまだ始まったばかりだ。溜まった疲れを癒してもらうために、できることはきっとたくさんある。
     世界でいっとう大切な主人のために、できることを。彼女が喜んでくれたなら、それがそのままベリアンの喜びだ。
     彼女と出会ってからというもの、ベリアンの幸福は、彼の仕える主人のかたちをしている。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    住めば都

    DONEあくねこ、ルカス夢。
    いつもドキドキさせられて悔しい主様が、意趣返しのつもりで「ルカスは冗談ばっかり」と返したら、実は全部本気の本心だったと暴露される話。

    交渉係を務めて長い男が、自分の思いに振り回されて本音を隠せず、苦し紛れに冗談だよって見え見えの誤魔化し方しかできないのめちゃくちゃ萌えるなと思うなどしました
    いっそ全部、冗談にしてしまえたら 目の覚めるような美人ではない。愛嬌があるわけでも、聴衆を沸かせる話術を持つわけでもない。
     至って普通。どこにでもいそうな、地味で目立たないタイプ。――それが私だ。
     おおよそ三十年かけて築き上げた自己認識は、異世界で出会ったイケメン執事たちに「主様」と呼ばれ大切にされたところで、簡単に揺らぐようなものではない。
    「フフ、主様といられる時間は、本当に幸せです♪ この時間が、永遠に続けばいいのになあ……」
    「はいはい。全く……ルカスったら、冗談ばっかり言うんだから」
     上機嫌に微笑む担当執事を、私は半眼で睨みつけた。
     ルカスとアモンは、口説くようなセリフをよく言ってくる。恋愛経験の少ない私はそのたび顔を赤くしてドギマギしてしまうのだが、彼らの思惑どおりに翻弄されるのを、最近は悔しいと感じるようになっていた。
    1884

    住めば都

    DOODLEあくねこ。ナックとハンバーグの話。友情出演、ロノとテディ。
    執事たちの話題に上がるだけですが、美味しいもの大好き自称食いしん坊の女性主様がいます。
    後日、お礼を伝えられた主様は「私が食べたかっただけだから」と苦笑したそうです。

    お肉が苦手なナックに豆腐ハンバーグとか大根ステーキとか食べさせてあげたい気持ちで書きました。
    美味しいは正義 今日に夕食のメニューは、ハンバーグだ。
     食堂に向かう道すがらで会ったテディが、鼻歌混じりで嬉しそうに言うのを聞いて、ナックは落胆の気持ちを曖昧な笑顔で濁した。
     ナックは肉全般が苦手だ。メインが肉料理の日は食べられるものが少なく、空腹のまま夜を過ごすことも多い。
     だが、ハンバーグを心から楽しみにしているらしい同僚に、それを伝えることは憚られた。食事は日々の楽しみだ。テディには心置きなく、好物を味わってほしい。
     食事の時間は一応決まっているが、執事たちは全員揃って食事を取るわけではない。一階や地下の執事たちはそろって食べることが多いようだが。
     決められた時間内に厨房へ顔を出し、調理担当に、食事に来たことを告げる。そうして、温かい料理を配膳してもらうのだ。
    2130

    住めば都

    MEMO2023クリスマスの思い出を見た感想。
    とりあえずロノ、フェネス、アモン、ミヤジ、ユーハン、ハナマルの話をしている
    執事たちが抱く主様への思いについて現時点で、あるじさまへの感情が一番純粋なのはロノかなという気がした。
    クリスマスツリーの天辺の星に主様をたとえて、でもそこにいるのは自分だけじゃなくて、屋敷のみんなも一緒でさ。
    主様と執事のみんながいるデビルズパレスを愛してるんだなあということがとてもよく伝わってきて、メインストのあれこれを考えると心が痛い。ロノの感情と愛情が純粋でつらい(つらい)

    なぜロノの贈り物にこんなに純粋さを感じているかというと。
    手元に残るものを贈っている面々は、そもそも根底に「自分の贈ったものを大切に持っていてほしい」という思いがあるはずで、贈った時点である意味主様からの見返りを求めているのと同じだと思うんですよね。
    ただ、消え物にするか否かは思いの重さだけでなくて、執事たちの自分への自信のなさとか、相手に求めることへの拒否感とか、なにに重きを置くかの価値観とか、いろいろあると思うので、消え物を選んだ執事がみんなロノほど純粋な気持ちではいないんだろうなと思っている。
    1511

    related works

    住めば都

    DONE #aknk版深夜の創作一本勝負 よりお題をお借りしました
    「逃げてもいいんだよ」バスティン夢
    ※秋のホーム会話のネタバレを一部含みます
    向こうでいろいろあった主様が、バスティンと馬に乗っているうちに元気を取り戻す話

    主様といるときか、動物を相手しているときだけ、柔らかい空気を纏うバスティンに夢を見ています。彼は穏やかな表情の奥に激重感情を隠してるのがずるいですよね……
    安息の地を探して 天高く、馬肥ゆる秋。
     近頃の馬たちは元気いっぱいで、よく食べ、よく走り、よく眠る。前後の話の流れは忘れたが、先日バスティンは主人にそんな話をした。
     彼女がいたく興味を引かれた様子だったので、ならばとバスティンは提案したのだ。次の休日に、馬たちの様子を見に来るか、と。
     それを聞いて、元より動物好きの主人は目を輝かせた。馬たちのストレスにならないのなら、触ったり乗ったりしてみたい。そう話す彼女はすでに楽しそうで、無表情が常のバスティンまで、つられて笑みを浮かべてしまうくらいだった。
     だというのに――これは一体、どうしたことだろう。
    「……主様」
    「あ……うん。ごめん、ちょっとボーっとしてた。せっかく時間を取ってくれてるのに、ごめんね。今度はちゃんと聞いてるから、もう一回説明してもらえる?」
    2707

    住めば都

    DONE #aknk版深夜の創作一本勝負 よりお題をお借りしています。
    「おかえり」ユーハン夢。
    予定の時間を過ぎても帰ってこない主様を待ち続けるユーハンの話。

    翌朝、ほかの執事からもユーハンがずっと待ってたと話を聞いて、主様は某ワンちゃんを思い浮かべたとかいないとか。
    待てと言うならいつまでも 主人の帰宅時刻五分前になったのを確認し、ユーハンは出迎えのため本邸の玄関へ向かった。
     今朝、主人は「帰宅はいつもどおりだと思う」と告げ出掛けていった。彼女が「いつもどおり」というときは、十分から二十分くらいの誤差はあるものの、だいたいこのくらいの時間に帰ってくる。
     ユーハンは姿勢よく立ったまま、主人の帰宅を待った。だが、十分経っても、二十分経っても、彼女が戻ってくる気配はない。尤も、不思議な指環の力で二つの世界を行き来する彼女の帰還は、予兆も気配もなく、突然であるのが常なのだけれど。
     そのうち帰ってくるだろうと思っていたユーハンだったが、予定の時間から一時間が経って、さすがに不安を感じた。
     事件や事故に巻き込まれたのではないか。突然の病気や怪我で、身動きが取れなくなっているのかもしれない。彼女を狙う不届きな輩に襲われて、恐ろしい目に遭っていたとしたら。
    3615

    recommended works

    住めば都

    DONEあくねこ、ハウレス夢
    本編2章の直後くらいに、セラフィムの騙った主様の処刑を夢に見るハウレスの話。

    始めたばっかりですが、生きてるだけで褒めてくれるあくねこくんにズブズブです。
    本編は3章1部まで、イベストは全て読了、未所持カードばっかりだし執事たちのレベルもまだまだなので解釈が甘いところも多いかと思いますが、薄目でご覧いただければと思います( ˇωˇ )
    悪夢のしりぞけ方 ハウレスはエスポワールの街中に佇んで、呆然と雑踏を眺めていた。
     多くの商店が軒を列ねる大通りは、日頃から多くの人で賑わっている。幅広の通りはいつものように人でごった返していたが、いつもと違い、皆が同じほうを目指して歩いているのが奇妙だった。
     なにかあるのだろうか。興味を引かれたハウレスは、足を踏み出して雑踏の中へ入った。途端に、周囲の興奮したような囁き声に取り囲まれる。
    「火あぶりだってさ」
    「当然の方法だよ。なにしろ奴は人類の敵なんだから」
    「天使と通じてたなんて、とんでもない悪女だな」
    「許せないよ。死んで当然だ」
     虫の羽音のような、不快なさざめきが寄せては返す。悪意と恐怖、それから独善的な正義。それらを煮つめて凝らせたような感情が、人々の声や表情に塗りたくられていた。
    4518

    住めば都

    DONEあくねこ、ハウレス夢。
    過労で熱を出したハウレスが主様に看病される話。
    なおハウレスは回復したあと、ボスキやアモンから主様に甲斐甲斐しく世話されたことをさんざんからかわれたそうな。

    担当執事をつついてると、いやそのセリフそっくりそのまま返すよ!?って思うことが多くて、この話もそういうアレから生まれました( ˇωˇ )
    きみに捧げる特効薬 今になって思い返して見ると、朝起きたとき、いつもより体が重いような気はしたのだ。けれど、頭が痛いとか咳や鼻汁が出るとか喉が痛むとか、ほかの症状がなかったものだから。少し疲れが溜まっているのだろうと、ハウレスは軽く考えてしまった。
    「おそらくは、過労だね」
     診察していたルカスが真剣な表情で告げるのを聞いて、ハウレスの主人はひどくショックを受けた表情になった。主様がそのように悲しそうなお顔をされる必要はないのにと、ハウレスは思ったけれど、熱があることを自覚してしまった体はやたらと重だるくて、口を開くこともままならなかった。
     ハウレスの異変に気づいてルカスの元へと連れてきたのは、他ならぬ主人だった。
     この日――。ハウレスは寝起きに体のだるさを覚えたものの、大したことではないと断じて普段どおりに仕事に取りかかった。屋敷中の窓を開けて空気を入れ替え、トレーニングをこなし、主人に起床時間を知らせにいった。身支度を済ませた彼女を食堂までエスコートするために手をとって、そこで眉間に皺を寄せ険しい顔になった主人に手首や首筋、額などを触られた。そうして、有無を言わさずここへ連れてこられたのだ。
    2523