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    あらむらとみずいこが好き

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    🥽さんの「ダメ」が癖になってしまったみずいこ

    #みずいこ
    waterLake

    「先輩、イコさん以外にダメって言いませんよね」
    「んなことあらへんやろ」
    「あくまで'ダメ'って言い方の話ですって。あかんとか無理とかは俺らにもばんばん使わはるけど、ダメって実はあんま使わはりませんよね」
    「別にばんばんは使うてへんわ。その言い方やと俺めっちゃケチつける奴みたいやん」
    「贔屓ですか!?」
    「海、その言い方はあかん。誤解深まる」
    「イコさんとマリオからも水上先輩になんか言うてくださいよ〜」

    誰が持ち込んだかわからない雑誌に掲載されたこじつけのようなクイズに目を通していた。
    さっきまで隣で海とその回答について話していた穏岐が、暇を持て余したと言わんばかりに水上へ話し掛ける。所謂うざ絡みにも似た後輩達からの攻撃にも動じず、水上は雑誌の頁を捲る。

    「贔屓はあかんでー」
    「もう一声」

    穏岐おまえ面白がっとるやろ、と言いかけたところで生駒が顔を向ける。水上もつられてそちらを見た。隊長との相談事優先か、オペレーターは資料に視線を落としたまま談笑に加わる気はないようだ。

    「ダメダメダメやで」

    それ俺がわりと真面目な時に使うたヤツでしょ。という台詞もまた、思い浮かんだにもかかわらず口から出ることはなかった。代わりに飛び出したのは、そんな指摘よりよほど無意味で馬鹿げた感想だ。

    「そのダメは俺に効く」










    水上が横目でスマートフォンの画面を眺め、肘を着きながら茶を飲んでいた時のことである。

    「ダメやで、水上」

    目が泳いでしまった。どうしてか目ではなく口を隠してから、そっと瞼を伏せる。そうして覗き込んでくる相手に抵抗したのだ。同時に顔に触れた手で顔に熱が集まっていないことを確認した。

    「ほんまに効くんやなぁ」
    「意地悪いっすよ」
    「ごめんやで」

    興味津々の大きな目玉から逃れ、息を吐き出す。呆れたわけではなく好意が増したので気を落ち着けたのだ。生駒の素直さは皮肉屋と自負する水上にとって美徳でしかない。
    大人しく引き下がった生駒は立ち上がりコップに飲み物を注ぐ。

    「お前も飲むか?」
    「…お願いします」

    互いの存在にすっかり慣れた水上の私室。これもまた慣れたコップの受け渡しを行ないつつ、生駒が途切れた会話を続けた。

    「せやけど何でもちょっと共感してもらえたと思うと嬉しいっちゅうか楽しいやん。せやろせやろーみたいな」

    貰った飲み物に口をつけたところで、水上は空気ごとそれを喉に通してしまう。咳き込んだあと、慌てる生駒を見上げながら低い疑問符を発した。わざとではない。

    「は?」

    その低音と表情の抜けた顔に戦いたように肩を跳ねさせた生駒はしかし、頬ではなく水上の耳が赤くなっていることに気付く。反応が宜しくない。不意打ちで言ってはいけなかった。つまりダメということらしい、と察したのだ。生駒の口元がゆるむ。察された側も、そうとわかって首にも赤みがさしていく。

    「俺もお前にダメ言われんの癖になってるとこあるわ」

    口が動いたにも関わらず今度の「は?」は声にならない。

    「あれ、言うてへんかった?」

    言わずもがな、その新事実は水上には効果覿面だった。



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    oz3011347532190

    REHABILI一緒にカーテンを買いに行く荒と村
    「こういうの見るのわりと楽しいよな」
    「そうなのか」

    肩にかけた鞄を正し、家具を眺めながら荒船が発した一言に、村上は少しばかり驚いていた。その反応を受けて辺りを見渡していた荒船が質問を投げかける。

    「お前はあんまり興味ないのか」
    「楽しいとは思うけど…拘りはないかな」
    「成程な」

    村上は家具を見ることに対してではなく、荒船がこういった場所を楽しんでいることを意外に思ったのだが、伝わらなかったようだ。

    「じゃあ…今日付き合わせて悪いなと思ってたんだけど、良かった」
    「おう。わりと乗り気だぞ」

    しかし、自身の用事に付き合わせてやって来た場所でそう言われれば少なからずありがたかった。
    支部のカーテンが汚れたのは今朝のことだ。明るい布地に本物の悪こと別所太一が珈琲をかけてしまった。洗う為にと外したところ足で踏んだまま持ち上げ更に裂けてしまったのだ。流石に新しいものを買おうと判断が下されされ、村上が出掛けるついでにと購入に名乗りをあげた。近くに大型インテリア用品店があることは知っていたが、入ったことはない。もとから会う約束をしていた荒船が土地勘のある人物だったため頼ることしにしたのだ。申し訳なさそうな後輩の姿が蘇る。荒船の台詞も添えて新しいものを持ち帰ろうと決めた。
    2070

    oz3011347532190

    REHABILI荒の寝顔が気になる村の小話。
    村上はそのSEの性質上、よく眠る。意識がないので断言はできないが寝姿を誰かに見られることなどざらにあるはずだ。勿論、時と場合は選ぶが必要ならば本来は寝床に適さない場所で眠ることだってあった。部隊に配属後、早くに任務に出られたのはその成果といえる。だが、もとより何処でも眠れる性分だったかといえばそれは違う。本部内で眠ることに抵抗がなくなったのは自身のSEを把握し稽古をつけてくれた師匠の意向によるところが大きい。どういったSEでどの程度の再現が可能でどれくらいで反映されるのか。それを見極めながら実地で弧月の扱いを教わったのだ。疲れのせいではなく学習の為に、皆が目に見える努力を重ねる新天地で一人眠ってしまうことに恐れに似た感情があったことは誰にも言っていない。目覚める度に誰かが迎えてくれたことで寝入ることへの抵抗が薄れていった。得られた成果を褒められることで、もはや自然に行えるようになったのだ。支部で自室を与えられていることを思えば、家族を除き村上の寝姿を見た回数が最も多いのは荒船という師匠だろう。だからこそとでも言おうか。目覚めの際に真面目な顔で声を掛けられ、時には笑いながら促された。そんな相手の寝顔は、村上にとってとても貴重なものに感じられたのだ。
    1903

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