四分の一の成分で生き残る(Dom/Subパロ?)祖父から送られてきた本と手紙。異国の言葉で書かれたそれに興味を惹かれ、手紙より先に本を手に取る。数ページ読み進めた所でドアがノックされた。
「どうぞ」
「七海ー!」
予想していた通り灰原が教科書を片手に入ってきた。
「七海!明日の課題わかんないよー!」
明るく頼もしい彼だが、苦手な座学の前に困り果てた顔をしている。彼に好意を寄せてる身としてはこうして頼られるのは嬉しいものであった。
「?どうしたの?」
「いや…」
きみの顔を見ていたとは言えなくて視線を逸らす。
「七海、大丈夫?」
「…!」
何を思ったのか距離を詰めて私の顔を覗き込む。驚きと羞恥で思わず先ほどまで読んでいた本に書いてあった単語を叫んでいた。
「kneel(跪け!)」
「!?」
私の言葉で灰原がへたり込む。驚きに目を見開いた後、その恰好のまま歓声を上げた。
「今の何!?新しい術式!?」
「い、いや…」
何が起こっているかわからないまま戸惑い口どもる。これが海の向こうで少数残っている「Dom/Sub」というものだと知るのは、祖父の手紙を読んでからの話。
(中略)
「七海、後は頼んだ」
「come buck(戻れ!)」
彼が振り向いたのをいいことに瞳を見つめて命令を下す。人間ではありえない速さで私の元へ戻ってきた彼の手を引き、帳の外へと駆け出した。