「やだー! ライブないの寂しいー!」
「ノイジーだな。仕方ないでしょ、ステージ改装するんだから……」
クースカは、同じ言葉を繰り返しながら騒ぐ男を雑に宥める。いい歳をして覆らない事をずっと喚いているのはナンセンスで、壊れたラジオのようだと思っているが、大人なので正直すぎる言葉は胸中に仕舞い込んでいる。
「申し訳ございません。まさかドラムを叩いた衝撃で床に穴が空いてしまうとは……」
申し訳なさそうに萎れているマスター兼、此度の改装騒ぎの原因となったドラム担当のウララギである。エレドラのチューニングをしていた際に、脆くなっていた部分を踏み抜いてしまったのだという。色々な意味でウララギでしか有り得ない事象である。
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