うちのクラスの降谷は赤井先輩と同棲してるらしい⑧鬼が来る 本に囲まれた小さな部屋。窓のないそこは夏でもひんやりしていた。
それなのに、赤井は本のためだとか、中央に置かれているピアノのためだからとか言って、罪悪感を覚えるほどに冷房を入れている。実際は、その部屋で寝起きしている赤井が一番、暑さと湿気が苦手なんだろうと僕は推察している。
そんな赤井は今、僕の前でピアノを弾いている。
今日はテストの返却日。ある理由でテスト勉強に全集中した僕は学年一位の座をキープすることができた。それを報告すると赤井は「よく頑張ったな」と純粋に褒めてくれた。何かご褒美になることをしようと提案してくれたので、僕は赤井のピアノが聞いてみたいと頼んだ。
赤井がピアノを弾けることはなんとなく知っていたが、実際に弾いているところは見たことがなかった。幽霊と連弾したことはあったが、あれは赤井が弾いているというよりも赤井が幽霊に右腕を貸しているみたいだった。
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