うちのクラスの降谷は赤井先輩と同棲してるらしい⑨最後の花火「赤井、今夜も何か話して」
僕がそうせがむと、赤井は少し困ったように笑って僕を見下ろした。
「君の寝物語になるような話があったかな」
「なんでもいいですよ。眠たくなるような話でちょうどいいかも。今夜は僕もあまり眠くないから」
嘘だ。夏休み中のテニス部の練習はかなりキツくて、夏休みの宿題も毎日コツコツやらないと終わらない量が出されている。ベッドに横たった途端に寝てしまいそうだったけど、僕は赤井の話が聞きたくて瞼に力を入れてで眠くないフリをした。
僕が旅行から帰ってきたあと、赤井と僕の間にルールが二つ追加された。
一つは、泊りがけで出掛ける場合は行き先と日程をきちんと伝えること。これは僕から赤井に提案した。赤井に心配をかけてしまったことに対する謝罪と誠意を込めた約束だったが、赤井も僕も泊りがけの用事なんて夏休み中にはもうなくて、まだ一度も守られたことはない。
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