隔絶エスケイプ2「ある日の疑似親子」「うん、げんき」
風呂掃除をして戻ってきたら最近やっと落ち着いてきた生活に慣れ始めたところ、という微妙な時期である幼児が何やら独り言を言っている。
「だいじょーぶ、げんき。えっと、おとうさんの、しん…… しんえ、き? のひと。こーちってとこからきたんだって」
おや、と引っかかったのはその口振りがどう受け取っても「会話」だったからだ。鍵は閉めた(最近これを気にする回数が段違いに増えた)、知らない人を招いてはいけないというのは教えるまでもなく知っていたし、何より子供本人が他人を非常に警戒するトラウマを発症中だ。万が一にも顔見知り以外が勝手に上がろう物なら比喩でもなんでもなく噛み付くか、泣き叫ぶか何かして追い払っている。
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