105@海自艦擬人化 @sanpomichi105 置いているものは順次くるっぷへ移動します。Tumblerもあるのでお好みで。 ☆quiet follow Yell with Emoji POIPOI 83
ALL 本編 番外編 3_affection お遊び 紹介 セルフ二次 105@海自艦擬人化DOODLE117+109。中秋の名月(遅刻)つきあかり まだまだ暑い内、とはいえ日中であっても日差しは和らいで来ていて秋らしくなっている。日没後の甲板にひとり佇むなか、肌を撫でていく風は涼しくて心地がいい。ぼんやりできるのもしばらくお預けかと思えば、早々に艦内へ戻るのも名残惜しく夜空に浮かぶ満月をしばらく眺めることにした。ふと、さわさわとした風の音に乗って自分の名を呼ぶ声が聞こえることに気付く。 「なにやってるんですか」 声のする岸壁の側へ、視線を向けるとありあけがちょいちょいと手招きをしている。外出帰りなのかやけに荷物が多い。 「あー。つき見、ってとこか? 覗いてたら顔が見えたからさ、時間あるならこっち来いよ」 団子もあるぞーと提げた袋のひとつをごそごそと探りパッケージを掲げてくる。苦笑ひとつを返事代わりに舷門へ足を向けた。 784 105@海自艦擬人化DONE祝・118進水日!10周年おめでとう~!雨上がりの記憶 不意に目を覚ます。直前まで夢でもみていたのか一瞬、ここはどこだっけと頭をよぎった。薄暗い中で視線を巡らせて、艦の馴染んだベッドであることを確認する。枕元に置いているデジタルの腕時計を手探りで掴み、顔の前でかざすと時刻は〇五二九を示していた。付近のベッドではまだぐっすりと眠っている者が大半のらしく、機械の作動音が低く響いているのを除けばしんと静まっている。 もう一〇年前、か。 寝起きの少しぼんやりした頭で今日だなぁと思い出す。時刻と並んで表示されていた日付は八月二二日。かつて海へと滑り降りた日だ。当日朝は普段と違う様子に緊張していたのか、単に暑くて寝苦しかったか、もしくは夢見でも悪かったのか。起きてしばらくの間ぐずぐずと泣いて、立ち会いのしらゆきさんを困らせたような記憶が朧気に残っている。ただ、さすがのベテランと言うべきか、彼の気性ゆえか、あれこれと世話を焼かれている内にすっかり機嫌が治っていだから不思議なものだ。僕では同じように出来ないだろうと思う。艤装中に〝ふゆづき〟の舞鶴配備を知ってからは生まれ故郷とのことでしばらくご無沙汰だけど、と注を入れながらも馴染みの店をいくつか教えてくれたりもした。就役後に訪れると既に閉めているところも多くあったけれど、続いているところの中には自分も気に入って、通っているところもある。出港中ですぐには叶わないけれど帰ったら久しぶりに買いに行くのを楽しみにしていようと思う。 703 105@海自艦擬人化DOODLE117+⑤。進水おめでとう~!おなまえ「進水おめでとう、やはぎ」 静寂の中で支綱を切断するカンッという音が響き、それを合図に少し遅れて打ち上げられる花火やクラッカーでドックは騒々しくなる。色とりどりの風船や紙吹雪が薄曇りの空と灰色の艦を鮮やかに彩る。海面に落ちた金のテープが陽光を反射してきらりと光った。その様子を傍らでぱちぱちと目を瞬かせながら見ていた当の主役が、いつの間にかこちらの顔をじっと見上げているのに気付く。 「しゅ、」 「しゅじゅ……」 まだ覚束ない言葉の続きを静かに待った。思うように出来ないことが悔しいのか、さきほどまでの高揚感も陰ってきているように見える。ゆっくりで良いから、と安心させたくて背を撫でた。ちゃんと聴いてやれるように腰も落として。 455 105@海自艦擬人化DOODLE①+②+173。双子の考えそうなこと考えることはみな同じ「こんごうさん、ご無沙汰してます!」 横付けした艦から下り、すでに自身の艦から下りて遠ざかる背中に向かって小走りで駆け寄る。呼び声に立ち止まり振り返ったこんごうへと、やや緊張した面持ちで手を差し出した。顔を合わせたまましばし考える様子にあれ? と首を傾げる。 「……もがみ、」 「はい!」 「では無いな。くまのか」 先ほどもがみから小さいときに会ったきりと聞いて入れ替りを画策してみたけれど、あっさり看破されて項垂れる。すぐバレるようなことをするんじゃないと軽く叱責されるおまけ付きだ。 「はぁい。ぼく達そっくりだからいけそうだと思ったんですけど」 「残念だったな。今の姿を知らないから自信は無かったが。なんとなく、としか言いようがないがあいにくと兄弟を見分けるのは慣れている。弟達も似たようなことをやっていたからな」 533 105@海自艦擬人化DOODLE118+4001+102あのころの、「おおすみさん。ご無沙汰してます」 艦を見上げ、声を張った。それぞれがここ佐世保へ入港することはそれなりにあるものの、母港の違うもの同士が顔を合わせる機会は数少ない。作業にキリを付けて艦を降り姿を探す。当たりを付けた喫煙所、その手前で見付け駆け寄った。 「ん、まだ若いな。元気にしてるか」 振り返った顔はすこし疲れているようにも見える。把握しているわけではないが多忙なのは耳に入っている。自分も決して余裕があるわけではないけれど。 「お陰様で。あの、せっかくなので伺いたいんですが。くまの、はどんな子でしたか」 並んで歩きながらそう問えば苦笑が返ってくる。開口一番で聞くにはなんというか、先走ってしまった気もするが仕方がない。後輩が気になるのは正直なところなのだから。 764 105@海自艦擬人化DOODLE①+②。いい感じに凹凸が合致しそうな双子だと思っています。いまのところ。二人三脚の第一歩 横付け作業に混ざりながら、自身の艦から小さく手を振るくまのにぎこちなく振り返してやる。顔を会わせるのは嵐のように過ぎ去っていった初日以来だというのに、やたらと懐っこくてどうにも調子が狂ってしまう。 「もがみ、そっち行ってもいい?」 こそこそと呼ぶ声に視線を向けた。いつの間にか掛けられていたタラップを指差しつつ、期待に満ちた顔がある。少し周りを見渡してからいいよ、と返した。 「お邪魔しまーす」 「うん。いらっしゃい」 訓練終わりのはずだけど疲れなど無いのか、ただ嬉しそうに笑うのを見て元気だなぁと思う。自分なんて視察を受けただけで緊張して疲れてしまっているのに。 「このあいだはゆっくり話が出来なかったけど、そっくりな顔が目の前にあるのって変な感じ。でも、もがみはなんかすまし顔してるねぇ」 627 105@海自艦擬人化DOODLE176+117。距離感が初々しいころ護るもの 入港の挨拶をしに顔を見せたすずつきと出入口で出会し、祝いの言葉を掛けるとともに皆が揃うあたりへと足を進める。近況を尋ねたり雑談を交わす中でそういえば、と軽く問いを投げ掛けた。 「大船に乗ったつもりで、とはもう言ってくれないの?」 いつかの造船所の一角で交わした会話は流れこそ忘れてしまったけれど、淡々と紡がれた言葉は喧しいくらいの蝉の鳴き声に混ざってもなおしっかりと耳に残っている。そういう風に造られた、とわかってはいても自分のために向けられた気持ちは嬉しいものだ。少し年甲斐もなく照れてしまうくらいには。 「よりによってそこ覚えてるんですか……。慣用句だといっても自分より大型の艦相手に〝大船〟なんて言ったの、直後に後悔したんで早く忘れてくださいよ」 580 105@海自艦擬人化DOODLE174+①。初入港おめでとうらくがき。色鮮やかな海の端にて「こんごうさんからお話を伺ってました。よろしくお願いいたします」 緊張した面持ちで挨拶をしにやってきたもがみを前に、つい昨日まで隣にいたくまのもはたかぜから話を聞いたと言っていたなと思い起こす。世話役にはもっと適任がいるだろうに何故揃いも揃って俺なんだと思いながらも、こういう時頼りになるむらさめは不在だ。兄から何を聞かされてきたのかは……聞かずにおこう。幼少期のエピソードなどが出てきた時には居たたまれない。 「よろしく。ところで接岸こっちで良かったのか? 二番艦が首を長くして待っていたが」 「まだ少し。どんな顔して会えばいいのかわからないもので」 そうか、と応えつつ視野の端に全力で駆けてくる人影を捉える。当人が気付くのは時間の問題だ 322 105@海自艦擬人化DOODLE①の就役。おめでとうございます!駆け足で 暦の上ではまだ春、とはいえ朝から眩しいくらいの日差しでじんわりと汗ばむほどだ。黒の制服は熱を吸収して余計に暑い。自分ではどうにもならないことではあるけど、就役が遅れたことを今だけはすこし悔やんだ。 それでもやっとここまで来たのだと、ゆるやかな海風を受けながら感慨に耽る。先輩方に恥じないように。そして弟妹たちの良い手本になれるように。 「この先会ったら容赦なく指導入れるからな。しっかりやれよー」 慌ただしい中で代表してきりさめさんから今朝贈られた激励の言葉を噛み締る。せっかく整えた髪の毛をわしゃわしゃと掻き回して行ったのはいい迷惑だけれど、と思い出すと同時に苦笑が漏れる。子供扱いの期間はここまでだ。 358 105@海自艦擬人化DOODLE②+5003。初めましての話。解像度が怪しいので変わるかも水平線の太陽 太陽みたい。オレンジ色とクリーム色の塗装を施された丸みを帯びた艦体が港の入り口に見えたとき、そんなことを思った。もちろん知識としては頭に入っていたけれど、灰色に染まる視界の中で見るその姿は春の訪れを感じさせる朝の陽光のようでなんだか嬉しくなる。徐々に近付いてくる頃には、自身の艦がすっぽりと影に入るその大きさに目を見張ることになるのだが。 帰港の式典も滞りなく終わり、周囲の面々が自身の仕事に戻っていく中で岸壁の端に少し留まっていた。大方の人が捌けたとことで声を掛ける。 「あの、」 「あー。君がそこの新しい子か。さっき目が合ったからそうかなと。あんましここに居ないけどこれからよろしくな」 「くまのです。よろしくお願いします」 436 105@海自艦擬人化DONE174+116。距離感が手探り状態の頃。護るもの 通常、喫煙所というものは諸々のしがらみから一旦離れてつかの間の休息を得る場所のはずだ。それが何故、じりじりと疲労感が蓄積する時間になっているのだろうか。 「てるづき、お前確か吸わないだろう」 付かず離れずの距離でちらちらとこちらの様子をちらちらと窺っていた、ここ横須賀に配備されてまだ日の浅い新造艦。なにか言伝てでもあるかと待ってみたが違うらしい。手持ち無沙汰な様子からも喫煙が目的でないのは明らかだ。それならそれで缶コーヒーでも買ってきておけば良いのにと思うあたり俺も甘いか。悪意は感じないものの、さすがに落ち着かない。ため息とともに紫煙を吐き出してからようやく声を掛けた。 「吸いませんけど。背中を守るのが俺の役割なので。できたら近くにいさせてください。でも、邪魔だったら追い返してくれて構いません」 652 105@海自艦擬人化DONE177+175。2014年春、いつかの夕方。解釈は好きな方で 今日一緒に訓練をしていたふゆづきがお疲れさまでした。と頭を下げパタパタと自分の艦に戻っていくのを見送る。最近は日が長くなってきたなとオレンジに色付いた景色をつかの間眺める。さてもう少しで今日の仕事も終わりだと程よい疲労を感じつつぐっと伸びをし、自分も艦に戻ろうとしたところで背後から声が掛かった。どうしましたー? と応えつつ振り返り声の主であるみょうこうと対峙する。逆光で表情は窺いづらい。 「しばらく様子を見ていたけど、少し甘やかしすぎじゃないか? 後輩が来て嬉しいのはわかるけどな」 「そうですかね。しらねさんは厳しめだし、みょうこうさんも半々くらいじゃないですか。なら俺が甘やかし担当でちょうどいいくらいですよ。飴と鞭のバランスは貴方から直に教わったもので」 696 105@海自艦擬人化DOODLE②祝・就役。今日のはなし。門出の日に 夜中からからパラパラと降りだした雨は式典が終わる頃になってようやく止んだ。ただ相変わらず空はどんよりとした雲に覆われていて、ようやくスタートラインに立った喜びよりも知らないひとだらけの新天地へ向かう不安感が勝る今日の心情を気取られているかのようだ。 今朝はあんまりにも酷い顔をしていたのか、あき君から途中まで一緒に行こうか? とまで言われたくらいだった。図星を刺されたことについ苛立って、もう子供じゃないんだから放っておいてよ。と当たるように言い返してしまったのは反省している。気持ちは嬉しかったけど素直になれない自分に落ち込んで出港準備が進む艦内でひとり唇を噛む。子供じゃないんだと自らが発した言葉を反芻した。道なき道の先頭を歩き後に続く者達へ道しるべを作るのが自分に課された大事な仕事だ。決意を新たに俯いていた顔を上げてすっと前を見据える。 659 105@海自艦擬人化DOODLEおかえり、118!雪の出迎え 寒い。 甲板へと通じる扉を開け、外気に触れた途端に身震いをして思わず後ずさった。いくら日の出から間もない時間とはいえ、三月も半ばに近いこの時期は例年なら春の訪れを感じるような頃合いじゃなかっただろうか。予め気温は確認した上で出てきたけれど、すっかり暑さに慣れた身体でこの寒波は予想よりも辛い。先輩たちのアドバイスに従って積み込んでおいた防寒具がこれほど心強く感じるとは思わなかった。逡巡ののち、意を決して一歩踏み出した。 艦は見慣れた湾の入り口に差し掛かるところで、朝靄の向こうにうっすらと見える稜線には白く雪が残っている。どうやら間に合ったらしい。ただ寒いだけではない、不思議と心地よく感じる冴え渡る空気に触れて帰ってきたんだなと感じる。ただいま、と一足早く呟いた。おかえりと返ってくるまではもう少しだけ静かに。 360 105@海自艦擬人化DOODLE①と③。生活の細々したことを練習中の新造艦たち。結び目 細長い布を首に掛け、輪っかを作っては潜らせて形作っていく。締めにしゅっと絞って整えたら完成だ。初めて教わった時は一応結べたという程度だったけれど、幾度か繰り返す内に見映えも良くなってきたと思う。シャツ自体も着なれてないからぎこちなさこそあるけれど、鏡に映る姿は昨年の春に見掛けた新卒の人達のようだ。一年が経つのは早い。就役はまだ少し先だけれど春に向けて身仕度の準備も着々と進んでいる。最後に受け取ったばかりの制服に袖を通す。これなら今すぐ艦に乗り込んでも違和感を抱かれないだろう。 「あ、兄ちゃん制服着てる! ネクタイ上手く結べないから教えてもらおうと思って」 のしろがガチャリと開けたドアから顔を覗かせ、ちょうど良かったーと笑いながら隣に陣取る。姿見に入るよう半身ずらしてからふと思い出した。それ(パーカー)じゃやり辛いからと予備のシャツをロッカーから出して渡した。 594 105@海自艦擬人化DOODLE5203+②+4002。去年の話。らくがきですよ。子守り いまはしもきたさんが使っている部屋から子供の声が漏れ聞こえてくる。くまのが遊びに来ているのだろう。随分と騒がしい。強めにノックを鳴らしたら無事に聞こえたようで「どうぞー」と笑い声に混ざって返事が届いた。 お邪魔します、そう言いつつ扉を開け顔を上げた先には所謂お馬さん状態の二人と目が合う。普段は筋トレに使っているのだろう、マットまで敷いて。 「あのね、艦載機ごっこしてる!」 疑問を口にする前にくまのが言う。 「筋トレの負荷にちょうど良くてね」 次いでしもきたも続く。つい先ほどまで仕事の邪魔をしているんじゃないか、と心配したのは杞憂だったみたいだ。これ置いておきますね。と預かってきた書類を棚に置き、部屋を辞する。扉を閉める前あと五分! とねだる声が聞こえた。 335 105@海自艦擬人化DOODLE5203初めての帰省。次兄(5202)と向かい合っててお喋りしているみたいなので。変わるもの、変わらないもの 遅い日の出を沖合いで迎えた。暦の立春こそ過ぎたとはいってもまだ冷え込む日が続く。居住区を出る前にもそもそと着込んでから外へと繋がる扉を開いた。初春のやわらかな日差しのなか、旅立ちの期待と不安を膨らませながら振り返り際に見た、思い出深い景色。今朝はあいにくと雲が多くてしばらく経っても薄暗いままだったけれど。 接岸のため近付くにつれ、見えてきた真新しいロゴマーク。確実に一年前と違う部分に、なんだか初めて呉へ入港したときと同じくらいに緊張してしまっていた。身体が強ばっているのは寒さのせいだけではないだろう。 「……お邪魔、します」 艦から降り立ってぽそ、と発した言葉は少しぎこちない。よく知る、生まれ育った場所だけれど、もう自分の家ではないんだなぁと寂しさを抱く。そんな自分の内心を知ってか知らずか、出迎えてくれた次兄は静かに「お疲れ」と返してきただけだった。あまりにもいつも通りの落ち着いた声と変わらない物静かな様子を前に、ゆるゆると張りつめていた糸が解れていく。顔を上げ他人行儀な間合いから一歩詰めれば、ふっと薄く笑って帽子越しに頭をぽんぽんと叩かれた。子供の頃のようなやり取りに目を見合わせて笑い合う。 557 105@海自艦擬人化DOODLE暑い地域に出張中の118、公式アカウントから"溶けずに頑張っています"と紹介されていたのがかわいかった。お疲れ様です。冬の名をもって 夏が終わりきらないような暑い日に日本を発って以降、ぬるま湯のように温かな海水が常に艦を纏っている。人の身にもじりじりとした日差しが容赦なく照りつけ、半袖から覗く腕はじっとりと汗をかいていた。夏生まれだからか、寒いよりは暑い方が馴染みはある。あるけれど、年中となると話は別でいまはキンと冷えた冬の空気が恋しい。どんよりとした雪雲に覆われた灰色の空さえも。 舞鶴で最初の冬に迎えた初雪は、一晩で降ったとは思えない程の雪の深さに目を疑い、ただ歩くだけのことに四苦八苦したのも今となっては懐かしい思い出となっている。派遣の日程を聞いたときからわかってはいたけれど、雪を見ることなく冬を終えることになるのはやっぱり少し寂しく感じるもので。今年は各地とも冷え込んでいるようだと聞くから今日も銀世界が広がっているだろうか。音の消えた中で白い息を吐きながら夜空を見上げる楽しみは一年お預けだ。月明かりが積雪に反射してほのかに明るい夜。自分の名前に関係するから贔屓目もあるかもしれないけど、特に好きだと思う。 547 105@海自艦擬人化DOODLE404+SS。離れた実家を懐かしむ。レモン 同僚である潜水艦のひとりと廊下で行き交い、ちょうど良かったと歩きつつ仕事の打ち合わせを済ませていく。一通り終わったところで神妙な顔をしつつ目の前の彼が口を開いた。 「ね、ちよだちゃん。今日なにか付けてる?」 「さっき下ろした新しいハンドクリームかな……。もしかして付けすぎちゃってる?」 説明書きに沿って量を調整したものの、改まって問われると不安になる。手の甲を鼻に寄せ開封時と同じように再度すん、と嗅いだ。マスク越しに鼻腔をくすぐるのはさわやかなレモンの匂い。兄や実家を行き来する先輩たちがよく手土産に持ち寄る懐かしく思い出深いものだ。箱には広島県にある農場の名前が記されていた。人工的でない控えめな匂いとはいえ、普段は無香料を使っているだけにこれは休日限定かなと逡巡する。わたしの少し表情が曇ってしまったようで慌てた様子で訂正が入る。 779 105@海自艦擬人化DOODLE174+116。いい大人が雪にはしゃぐのは良いもの。まぶしい世界 大雪の降った翌朝、甲板に上がると手のひらサイズの雪うさぎが鎮座していた。自分の艦ではなく、隣に。夜のうちにでも誰かしら若いのが作ったのだろう。関東南部でこの量の積雪は珍しくちょっとしたイベント騒ぎになるのも無理はない。自分自身も長崎を経ったあとはずっと横須賀だからさほど慣れているわけではないのだが、童心よりも寒さが勝る。目的の様子見は済んだとさっさと艦内に戻ろうと踵を返したところで呼び声が聴こえた。 「おはようございます! こいつね、俺が作ったんですよ。なかなか可愛く出来てるでしょう?」 得意気に指差す仕草に思わず若いな、と呟く。耳ざとく拾った後輩は笑顔から一変し、やや不満そうなむくれ顔になる。 728 105@海自艦擬人化DONE404命名話。403目線。追いかけてきた存在と生まれたての子を同じ名前で呼ぶのを最初のうちは慣れないんじゃないかなと次代への意思 夜からパラパラと降っていた雨は幸い止んだようだ。ただ、空を見上げるとまだ今にも降り出しそうな曇天が広がっている。天気予報を確認してみたところ残念ながら気温が上がる見込みはなさそうだったから、羽織るものを適当に掴んでから部屋を出た。 普段であれば作業車が行き交い、多種多様な騒音が響く構内も、今日ばかりは式典に向け多くの人が段取りの指示を出し合っている声が聞こえるだけの静かな朝だ。まだ式の開始まではまだ少し余裕があると様子見へと足を進めた船台、その上の紅白幕と信号旗に飾られた艦本体の傍らに主役も見受けられた。しばらく様子を見ていたら気配を感じたのかパッと振り返り、そのまま駆け寄ってきたので抱き止めてやる。どうやら式の用意が整うにつれ緊張してきたらしい。ぎゅう、と腰にしがみついたまま離れようとしない。昨日までは楽しみで仕方なさそうな様子で飾り付けられた艦を飽きることなくきらきらとした眼差しで見つめていたものだが。顔を見ようとして触れた頬が冷たく、ひとます持ってきておいた羽織りをマントのようにして被せてやる。子供用の上着を用意してなかったから不格好ではあるのだが、一時凌ぎには十分だろう。落ち着かせようとトントン、と背を叩きながらどうしようかと思案する。そろそろこの場所には一般客が入る頃合いのはずだ。 1311 105@海自艦擬人化DOODLE403+464 年の近いメンズのじゃれ合い好き。ひとつ前のおまけ話とばっちり「ちーはーやーーー?お前の可愛い妹の就役式、事細かに様子を教えてやったのは誰だったかなー?」 「それはそれだろ。ぶんごがいつまでもくまのを子ども扱いするのが悪い」 間に入ったことで受けた苦情は八つ当たりに近いような気もするが、あいにくとこちらの気持ちもよくわかる。本人もわかってはいるのだろう。ひとしきりお前ばっかりずりいと愚痴り、最後にはくまのに嫌われた……と項垂れてしまった。さすがに可哀想になって嫌ってはないと思う、と伝えておく。バッと上げた顔に「ほどほどにしとけよ」とも追加しておいた。 いそいそと交流を試みに行く後ろ姿を見送る。まぁくまのも今は距離感に戸惑っているだけでそのうち慣れるだろう。正直、人の世話はうちの奴らだけで手いっぱいだと静かにため息を吐いた 336 105@海自艦擬人化DONE403+② 年長者から幼少時の様子聞くの恥ずかしいよねという話いつまでたっても 吹き抜ける風に涼しさが感じられ、日差しも柔らかくなってきた8月下旬。真夏に比べれは朝夕は随分と過ごしやすくなったものの、まだ気づけば汗が滴る日が続いている。今日もよく晴れていて昼間は暑くなりそうだ。そんなある日の朝、僚艦が一隻ゆったりと接岸場所へと入っていく。 「ちはやー、今来たのは?」 「ぶんご。掃海母艦」 前を横切っていく艦上の顔見知りに向かって軽く手を上げつつ、隣からの問いかけに答える。いままでであれば真っ先に出迎えへと行くであろうくまのは、珍しいことにじっとしたまま動かない。それどころか若干にじり寄って隠れようとすらしている。残念ながら、ほぼ同じ背格好となった今ではあまり意味を成さないのだが。それでも背中越しに目線だけはちらちらと艦へと向けているから気にならないわけではないんだろう。先ほど名前を耳にした時に、あの人が……とぽつりと呟いたのが気になった。このところ慣れないことで疲れ気味なだけ、ではなさそうだ。 875 105@海自艦擬人化DONE118+177+175夏イベントの裏側。以前書いた話のリメイク新人艦の非日常な一日 いつも通り朝八時、自衛艦旗掲揚のラッパが基地に響く。いつもと違うのは早い時間にも関わらず、カメラや保冷バッグを手に続々と集まってきたお客さん達の姿があることだろう。中には少し眠そうな顔も見えるけれど、毎年恒例の一大イベントだけあって岸壁は朝から賑やかで嬉しそうな笑顔に溢れていた。 わくわくと洋上でのひとときを楽しみにする人々を乗せ、順次出港していく僚艦達をいってらっしゃいと見送ってしまえば、先ほどまで基地にこだましていた喧騒は名残を残すのみとなる。自艦ふゆづきは就役から間もないこともあって不参加だ。そういえば春にこちらへとやって来てからというもの、基地では傍に誰かしら同類達がいた気がする。こうして一人過ごすことは久しぶりだと束の間の静けさを楽しむことにした。 1243 105@海自艦擬人化DONE3番艦進水祝い。173+①前を歩く背中に 梅雨の真っ只中にも関わらず、祝いの日が雨天にならなかったのは幸いだ。本格的な夏の訪れが近いのだろう。薄く差す日差しにじっとりと湿気をはらんだ空気に汗がにじむ。観客を入れない会場に子供の姿は目立つ。それゆえ今回は式典の方をあさひに任せて自分はもがみの付き添いとして裏側からだ。 朝、騒がないことと言いつけた通り静かに様子を見守っている。いや、これは普段と違うしんとした構内に緊張しているのか。快活さは影を潜め、暑さにも関わらずぴたりとくっついている。差し出した手をぎゅっと握り返す手の小ささに改めて思う。しっかりと振る舞うこの子とて、まだ3月に進水したばかりなのだと。 「おれ、兄ちゃんになれるかな」 命名式が滞りなく終わり、幕の向こうでは粛々と進水準備が進む。そんな中ぽつりと呟かれた言葉はよく通った。間を置かず大丈夫だと返す。 720 105@海自艦擬人化DONE5201+3520+②いらっしゃいませ3520!小さな案内人「ひびき!」 子供は朝から元気だなと自身を呼ぶ声に応えてやりながらまだ眠気の残る頭でぼんやりと思う。さすが護衛艦と言うべきか、それなりの距離を息切れひとつせず一気に駆け寄ってきて隣へと並んだ。 「おはよ、くまの。早いね。ちはやはどうしてた?」 「眠いから後でって言ってた」 「うん、わかった。もう少し掛かるだろうからゆっくりしていて良いよ」 ちはやの方が対人応対に向いているからと任せたいとことだけど、陸上げ中で調子が出ないならば仕方ないと諦める。とはいえ、どうしようか。はたかぜとは歳こそ近いもののほぼ接点も無く、呉に来てからですら挨拶くらいしかしていない。間がもたないよなぁと頭を悩ませたところで、この際くまのに任せてみてもいいかとひとつの案が脳裏を過る。本人の希望次第ではあるけど。 974 105@海自艦擬人化DONE3513退役。飛行甲板で穏やかな日差しを受け、ゆるりと長い付き合いの僚艦たちに目を向ける。呉に来た20年と少し前、その頃の新人がすっかり中堅どころなんだから、自分も老けるはずだなとこの地で過ごした日々に思いを馳せる。 護衛艦として生まれ、後の半生を練習艦として過ごした34年のうち幾度となく纏った白い幕。第2の人生の方が長いとは生まれたときに想像も付かなかったが、お陰で海外の美しい景色も数多く目にしてきた。本体共々よく働いて、楽しく生きたと思う。懐かしい記憶を辿っていると、今年も一緒に行きたかったなという思いが募る。こうなることが決まってから気持ちの整理はしてきたつもりだったはずなのに。つい寂しさに苛まれ、少しだけ空を仰いだ。 616 105@海自艦擬人化MOURNING3513+3818。フライングして書いた退役話が都合で没になったので…。(前半になるはずだった部分)もう仕事らしい仕事は無くやることといえば掃除と身辺整理くらいのものだ。昼も済ませ、暇をもて余していたところへ腐れ縁の同僚が顔を覗かせた。基地内ならまだしも、今いる造船所側までわざわざ来るとは珍しい。ちょっとお邪魔するねとだけ言って、返事も待たずにさっさと入り込み、自身が椅子代わりにしていたベッドに迷わず腰を下ろした。 遠慮が無いのはお互い様だし、どこでも構いはしないが隣は流石に少し鬱陶しい。しんとした室内では息づかいすら聞こえそうな距離だ。元々口数が多い奴ではないといえ、自ら足を運んでおいて黙り込むのも妙な話だ。しばらく、何事か考え込んでいる様子をチラリと横目で盗み見る。長い付き合いで機嫌の良し悪しや考えはなんとなく理解が及ぶと思っていたが、今日ばかりはさっぱり話が読めない。用があるならそのうち勝手に話すだろうと放置を決め込み、読みかけだった雑誌をぺらぺらと捲る。「しまゆき」随分と長く感じた静寂を裂いてようやく、ぽつりと呟かれた呼び掛けにんー?と生返事をする。目線は落としたまま続く言葉を待つ。「私は、この30年余りが結構好きだったみたいで。遠航行って、観艦式も出て。佐世保から呉 991 105@海自艦擬人化DONE5203就役。見送りしてきました。タグボートの手を借りてゆっくり、ゆっくりと馴染んだ岸壁から離れていく。もうこの場所に戻ることはない。くまのが寂しがりはしないだろうか。出立間際に抱き抱えたぬくもりに少しだけ後ろ髪を引かれ、あき君と呼ぶおっとりした声がついさっき聞いたばかりなのにもう懐かしくなっている。次に会うときはもう身長抜かされてるかな、でもまだ想像が付かないなと小さく笑った。 公試に出掛けていた時の馴染んだ海路ではなく反対側へと舵をとる。向かう先は春霞のなか薄く掛かった雲を通り越して柔らかな日差しが差している。東からの風が背を推すように緩く吹く。 最後に生まれ育った地を振り返った。 行ってきます。一年後、もっと成長した顔を見せるよと呟いて。 312 105@海自艦擬人化DONE5203就役祝い!5201と過ごす朝のはなし。「兄さん」 日が昇って間もない時間。少しひんやりとした空気の中、静かに掛けられた声に振り向く。少し照れくさそうにしながらも、すっかり一人前の顔をして制服を身にまとう弟の姿に目を細めた。艦としてはまだこれからが本番とはいえ、早いものでもう就役かと思うと感慨深い。弟妹が出来ると聞いた時にははりまと顔を見合わせたものだけど、長い二人兄弟の期間どうしていたか忘れそうなくらい既に三人兄弟で馴染んでいる。 よく似合っているよ、と自身と横並びになった頭を軽く撫でる。少し気恥ずかしそうに笑うその顔は朝日に照らされて眩しい。 就役してしまえばこうして甘やかす機会はほぼ無くなってしまうだろう。離れがたくて寂しがっているのはむしろ自分の方だな、と自嘲する。見送りのときまで近くにいてやりたいのは山々だが、あいにくの人数制限でそれは叶わない。情勢も艦の予定も自分では決められない以上、この場にいられるだけで幸いというものだろう。まぁ、式の様子はくまのに教えてもらう予定だけども。「あき、就役おめでとう。呉まで気を付けて。向こうで会うのを楽しみにしているよ」「うん。早くお仕事分担できるように頑張るからね」 582 105@海自艦擬人化DONE1番艦進水祝い。3513から願いを込めて。いい時代になったな。現地へ赴かなくともこうして様子を見ることが出来るのは有難い。好天にめぐまれた港とたなびく信号旗で飾られた新造艦。いつの時代も心が浮き立つ光景だ。進水日和な長崎の港に汽笛の音が轟き、色とりどりの風船が空を舞う。 見届けてやれて良かった。自身の退役が迫るなかどちらが先か、とやきもきしたものだが。どうやら俺は日頃の行いが良かったらしい。あとのことは後輩達に任せて心残りなく身を引ける。その場にいられないのが残念ではあるが、立派に成長した姿を見せてくれることだろう。 進水おめでとう、もがみ。心配はしたけれどこの日を無事迎えられて嬉しく思う。焦らなくていい。みな、お前が大きくなるのを楽しみに待っている。願わくば、幸多き日々であるように。 遠く呉から祈りを込めた。見上げれば同じ青空が広がっている 358 105@海自艦擬人化DONE5201+5203+②長兄が里帰りしたので!感覚的には子供を構う親戚のおっちゃん。一面雲が覆う寒々しい空模様の中、冷気に身を縮こまらせつつ艦から降り立った。昨日の陽気とのあまりの差に、方々でさみぃと漏らす声が響いている。雑務処理に散る乗員達を横目に一人ドックへと足を運ぶ。記憶の中の小さな弟も、もう就役が近いから随分大きくなっていることだろう。そんなことを考えながらのんびり歩く自身の足音に、徐々に近付く子供の駆ける音が加わる。少し思い返して護衛艦の子か、と合点がいった。ひょっこりと覗かせた背格好からも恐らくそうだろう。くまの、と名前を呼べばにこりと笑う。釣られて寒さで強張っていた表情が自然と緩んでいく。数歩の距離を詰め、子供の相手は慣れないなりに腰を落とし目線を合わせた。「あき君のお兄ちゃん?」「うん。そうだよ。あきは何処に?」向こう、と指差す先には艦本体。その甲板にうっすらと小さな頃の面影が残る姿が見える。ほんの少し見ないだけですっかり大きくなったものだ。いまはちょうど、子供のように甘えるか大人として対等に振る舞うかどっち付かずの時期で、実質初対面の兄に面と向かうには複雑だろうと、距離を保ったままタイミングは任せるつもりで様子を窺っている。「あのね。あき 933 105@海自艦擬人化DONE5203進水一周年おめでとう!4002と。そういえば今日はまだ松の内だった。順々に回収されるのを待つばかりのしめ飾りを見上げながら、ちょうど一年前にも敷地内のあちらこちらで目にしたおぼろげな記憶が甦る。進水当日の朝。はっきり覚えている中でたぶん一番古い記憶。あの時はずいぶんと高い位置に感じたけど、改めて見るとそれほどでもなくて。あの時の目線はどれくらいだったっけ、記憶を頼りにとしゃがんでみたり座り込んだりまた立ち上がったり。不審な動きにやや呆れた調子で声を掛けられるのは仕方ない。「あき?なにやってるの」「ちょうどいいところに。しもきたさん、僕の背って去年はどのくらいでしたっけ」突然の質問に戸惑いながらも、少し考えた彼が確かこの辺。と指し示したのは当人の腰上、自分の背で見ると胸あたりだ。こんなに大きくなってたんだなぁと思わず呟く。うん、と隣で頷いてくれる。「大きくなったな。身も心も」始まりを見守ってくれた人の言葉が嬉しくも少し照れくさい。柔らかな日差しを受けてぐっと伸びをした。さわさわと吹き抜ける風が背中を押す。就役まで、そしてその先もきっと大丈夫なのだと。 472 105@海自艦擬人化DONE5203初めての年越し*** 時々強い風が吹いては木々が揺れるざわざわとした音が耳に届く。今朝は随分と冷え込み、場所によっては積雪もあったらしい。雪景色を見てみたかった気持ちはあるものの、寒いのはまだ慣れそうにない。冬生まれとはいってもぽかぽかとした小春日和に進水したものだから、どうやらそれが基準になってしまったらしい。幸いなことに母港となる呉も同じような気候だし、仕事で向かう先は暖かな地域だからあまり心配することはないかもしれないけど。進水の日をきっかけに、目まぐるしい日々の記憶を手繰る。こうして振り返りたくなる気分になるのは今日が大晦日だからだろうか。この一年、当たり前とはいっても何もかもが初めてで。兄達や人の手を借りる度に出来ることが増えていって。つい先日には自分も兄の仲間入りをすることになり。その新たな末っ子となったくまのは、年越しまでもたずソファで寝入ってしまった。腿を枕にされ動けないのは辛いけど、子供らしい少し高い体温が愛おしい。同じ年頃だったと思う、うたた寝から目覚めた時の兄の顔が脳裏を過る。懐かしさに浸っているうち寝息に誘われて微睡む。「あき」 呼び声にうつらうつらとしていた意識が浮 783 105@海自艦擬人化DONE5203+②同時期建造って一緒に成長してる感じで良いですよね!という話。少し風は冷たいけれど小春日和の穏やかな午後。小波の立つ海を走り、すっかり馴染んだいつもの場所へと帰ってきた。出発したときはがら空きだったそこに、新たな同居人が待っている。艦から降りるなり、おかえり!と透明感のあるよく通る声が迎えてくれた。「ただいま、くまの」名を呼ばれるのは嬉しい。貰いたてなら尚更だ。パッと顔を輝かせ、ぎゅうと腰に抱きついてもう一回とせがむ姿に数ヶ月前の自分が重なる。くしゃりと髪を撫でたらくすぐったそうに笑っている。どうやらぼくも兄ばかの仲間入りらしい。ただ子供らしい力加減の無さ、まして護衛艦だ。そもそもの基礎体力が違う。名残惜しいけどこればかりは仕方ない。一緒に遊ぶには力不足かもしれないけど、その分ゆっくり話をしよう。自分がここを離れるまでの半年にたくさん。まずは、「進水式どうだった?」 361 105@海自艦擬人化DONE2番艦と5202進水おめでとうございます!11月とは思えないぽかぽかとした日差しの中、粛々と準備は進む。本日の主役は華々しく飾られた本体の様子をそわそわと見上げていた。通例であれば一般客を入れ賑やかに執り行われるところ、猛威を振るう感染症が相手では控えるしかないらしい。艦上から誰かが話すえらい人出じゃなーとの声に対岸へと目を向けた。あぁなるほど、随分と待ってる人がいる。ちょいちょいと隣の幼子に知らせてやれば、少し照れながらも嬉しそうに笑う。多くの期待と注目を背負って。果たしてどのようなふねとして生きていくのだろうか。命名の後、轟音とともに本体が海へと滑り降りていく。ようこそ海へ。くまの、君にとっての数十年が良い艦生となるよう願うよ。進水おめでとう。 311 105@海自艦擬人化DONE5203+5202 晩秋の海と触れ合う晩秋の海水浴場は自分と少し後ろを歩く次兄であるはりまの他には数組の親子連れが砂遊びに興じている様子が見える。小さな子供のはしゃぐ声と側を走る車道から聞こえるエンジン音にどこからか軽快な音楽がかすかに耳に届く。そして同じ海でも馴染んだ港とは違う、絶えず波が押し寄せる音にそわそわとして落ち着かない。 遊歩道から砂浜へと降りる際に脱いだ靴を片手に歩く。一歩進むたびにしゃりしゃりと音を立てている。湿り気を帯びた砂は細かな貝の欠片などが混ざりあい、足を踏み入れる度に素足に纏ってくすぐったい。あいにく空は薄曇りだが、この時期まだ昼過ぎであれば薄手の羽織一枚でも事足りる程度で素足でも冷える心配はしなくて良さそうだ。 1071 105@海自艦擬人化DOODLE5203+5202はりまー、起きてる…?遠慮がちに掛かる声に意識だけぼんやりと浮上する。ドックに入っている本体に引っ張られているせいで目蓋が重い。ぼやける視界に姿を認めてなに、とどうにか返す。少しの間服借りていっても大丈夫?ん、好きに持ってって…、と答えてからいつもは事後報告なのに珍しいなと思考が過る。あぁ、違う。無意識にひびきと重なっていたようだ。いつの間にか不安定に揺れていた声も落ち着き、すっかり子供らしさが影を潜めてしまった。成長が喜ばしい半面、少しだけ寂しさを覚える。 あき、そろそろ起きるから。あとで買い物出ような。それと公試の前には作業服も、だな。可愛い弟から仕事仲間になるまではもう少し。 299 105@海自艦擬人化PROGRESS5203+5202+3518下書き。手入れで原型が残るか怪しい 2 105@海自艦擬人化DONE464と2番艦の子。生まれるふねあれば去るふねもあり。 105@海自艦擬人化DOODLE5203+3518同郷の最年長と最年少がすぐ隣にいるんですよ!の勢いで。 2 105@海自艦擬人化DOODLE台風に備えるさなかの成長(5203他) 2 105@海自艦擬人化DOODLE175+118向こうはまだ暑そうだなと思って。 105@海自艦擬人化DONE4001と5203ちょっと繋がってる話↓https://poipiku.com/98416/1336984.html 105@海自艦擬人化DOODLE3520(171)と116。 2 105@海自艦擬人化MAIKING118と177、175将来的には隙間の時間部分を埋めたい… 2 105@海自艦擬人化DONE5202と5203。 2 105@海自艦擬人化DOODLE403と404 12