スターチスを求めて②「どうしよう……」
僕は現在、寮の談話室で頭を抱えていた。元気に「はい!」と返事をしたはいいけど、そんな、本を持ち出した犯人捜しだなんて。探偵の真似事のようなこと、冷静に考えて僕にできるんだろうか。考えれば考えるほど、僕がやってないことを証明するなんて無理な気がしてしまう。本当に、どうすればいいんだろう。はぁ、と一つため息を吐いた、その時だった。
「どうかしたの?俺で良ければ、話を聞こうか?」
話しかけれて、顔を上げる。けれど、声だけでそれが誰かは分かっていた。我が黄寮監督生の一人の、フェデリーコ先輩だ。彼は、心配そうな顔でこちらを見ていた。
「実は……」
僕は、さっき寮長会議に呼び出されたこと、そこで、図書室の持ち出し禁止の本を持ち出したという疑いが僕に掛けられたこと、それを否定したら、自分で真犯人を探して来いと言われたことを説明した。
フェデリーコ先輩は、うんうんと頷きながら、親身に話を聞いてくれた。僕が話し終えれば「なるほど……」と深刻そうに頷く。
「実はね、俺もその話は監督生として寮長から聞いていたんだ。その上で、できれば君に、協力してやってほしいとも言われていたんだよ」
「えっ、ハピネス寮長がですか?」
「うん、俺らとしても、自分たちの寮からそういう生徒が出たなんて、信じたくないからね。もし君が罪を否定するならば、真犯人捜しを手伝ってあげてって、言われていたんだ」
ハピネス寮長……!僕は心の中で彼を拝んだ。
「それで、早速なんだけど」
「はい」
「まずは、どうして君が犯人だなんて言われてしまっているのか、調べてみるのが良いと思うんだ。もしかしたら、誰かと勘違いされてしまっているだけかもしれないもんね」
「なるほど」
「だから、まずは寮長の誰かに話を聞きに行こう」
思わずえっと声を上げる。すると、フェデリーコ先輩は眉を下げて言った。
「寮長のところに行くのはハードルが高いかもしれないけど、でもまずはそこを明らかにしないと話が進まないと思うんだ。もし、そのあとどうすればいいか分からなくなったら、また俺に話を聞きに来て構わないから。まずは、行ってらっしゃい」
そうして、僕は寮の談話室から送り出されたのだった。
まずは……
*①ラディム寮長のところに行く
*②アメリア寮長のところに行く
*③ハピネス寮長のところに行く
*④ローレンス寮長のところに行く
*⑤ユリウス寮長のところに行く
/*正解はアメリア。彼女は図書館に良く行くため、司書の先生とも仲がいい。また、今回の事件に一番憤っており、事情に一番詳しい。*/
①ラディム寮長のところに行く
「……なんだ、お前は。ああ、例の持ち出し犯か」
*自分は犯人ではないと主張する
「うるさい、喚くな」
*どうして自分が犯人だと疑われているのか聞く
「どうしてお前が犯人だと疑われているのか、だと?知らないな。興味もない。俺は忙しいんだ。さっさと失せろ」
*部屋を追い出されてしまった
②アメリア寮長のところに行く
「貴方は先程の……?私に何か?」
*どうして自分が犯人だと疑われているのか聞く
「なぜ、貴方が犯人だと疑われているのか、ですか?それはまぁ色々と理由は有りますが、一番は目撃証言があったからです。貴方が、持ち出し禁止の本を持って図書館を出るところを見た生徒が居たのですよ」
*それは誰なのか聞く
「それは、誰かって?……まぁ、一応貴方は自分が犯人では無いと主張していますものね。我が寮の4年生の、クルール・ドレイパーです」
*それ以外の理由について聞く
「それ以外の理由ですか?それ以外としては、貴方のものと思われるネクタイピンが図書館に落ちていたことと、貴方が普段使っている席からメモが出てきたことですね。メモに関してですか?メモに関しては、古代ルーン文字で書かれていたのですが……それに、図書館の情報について詳細に書いてあったのですよ。例えば、図書館の先生が不在になる時間や、禁書棚にかけられている魔法を解く方法など、まぁ細かくは他にもありますが、目立ったのはこの二点ですかね。
申し訳ありませんが、詳しくはうちの監督生のリア……エミリア・ロンサールに話を聞きに行ってもらえますでしょうか?証拠品の管理は、彼女に任せていますので」
③ハピネス寮長のところに行く
「ああ、来てくれたんだね!さっきは怖かったでしょ?ごめんねえ。ここだけの話だけど、寮長の皆って怖くない?あっこれ、寮長の皆には内緒ね!」
*どうして自分が犯人だと疑われているのか聞く
「……って、え?どうして君が、犯人だと疑われているのかって?……ごめんね、実は僕も詳しくは知らないんだ。先生から情報が来て、そのまま君を呼び出した形なんだよね。だから、僕ら寮長も詳しいことは知らないんだ。……ああでも、アメリアは知ってるかも。彼女、先生方と仲が良いし、今回の事件に一番熱心だったから」
④ローレンス寮長のところに行く
「君は……?さっき寮長会議に呼び出されていた生徒だよね。どうかしたのかい?」
*どうして自分が犯人だと疑われているのか聞く
「どうして、犯人だと疑われているのか、かい?残念ながら、俺は詳しいことは知らないんだ。ああでも、Lady……ルプス・カエルレウム寮寮長の、アメリアなら、知っているかもしれないね。彼女の元を訪れてみるといいよ」
⑤ユリウス寮長のところに行く
「ああ、きみはさっき寮長会議に呼び出されて居た生徒だよね。どうしたんだい?」
*どうして自分が犯人だと疑われているのか聞く
「どうして、きみが犯人だと疑われているのか、について?申し訳ないけど、僕は詳しく知らないんだ。図書館の先生、いるだろう?あの先生が、君が犯人だから本を返すように言えって僕たち寮長に伝えてきてね。それで、きみを呼び出したんだよ。だから、そのどうして、に対しては答えられないかな。ごめんね。……ああでも、青寮寮長のアメリアなら、詳しいことを知っているかもしれないな。彼女、図書館の先生とも、仲が良いから。僕から渡せる情報はこれくらいかな。まあ、頑張ってね」
*①クルール・ドレイパーのところに行く
*②エミリア・ロンサールのところに行く
*③一度フェデリーコ先輩の元へ戻る