かがり
PAST(2025.9.2)はじ繭を機に出したけど今回のラインナップには全然関係ない話
ダリちゃん、舞台だけだとこんな風に接するかなと懐疑的だったけど、ナーサリーでこれはやるやると確信が持ててよかった
子ども部屋の御伽噺:TRUMP(ダリ+ウル) 陽も月光も同様に遮る、重いカーテンはまるで緞帳のようだ。
明るさの遮られた一室を、更に区切るようなベッドの天蓋の内側で、ウル・デリコは今が昼なのか夜なのかを考えていた。
使用人が水差しを交換に来た折に時刻を尋ねれば良かった。
しかし、軽蔑を隠そうとしない彼らの余所余所しさは、こうして伏せっている間は特に、何倍もこの身を苛むものだ。
時計はベッドの天蓋の影へと隠れていて、身体に燻る熱のせいで、自分にはそれを窺い見る体力もない。意識を手放そうにも、これまでずっと眠っていたからか、目だけが妙に冴えてしまっていた。
こういう瞬間に鎌首をもたげる不安を……不安と呼ぶにはあまりにも衝動的な激情を、ウルはよく知っていた。そして、諦めにも似た心地で、それにまた呑み込まれるのは時間の問題だと思った。おそろしい、おそろしい。いずれ、必ず至るーー。
2349明るさの遮られた一室を、更に区切るようなベッドの天蓋の内側で、ウル・デリコは今が昼なのか夜なのかを考えていた。
使用人が水差しを交換に来た折に時刻を尋ねれば良かった。
しかし、軽蔑を隠そうとしない彼らの余所余所しさは、こうして伏せっている間は特に、何倍もこの身を苛むものだ。
時計はベッドの天蓋の影へと隠れていて、身体に燻る熱のせいで、自分にはそれを窺い見る体力もない。意識を手放そうにも、これまでずっと眠っていたからか、目だけが妙に冴えてしまっていた。
こういう瞬間に鎌首をもたげる不安を……不安と呼ぶにはあまりにも衝動的な激情を、ウルはよく知っていた。そして、諦めにも似た心地で、それにまた呑み込まれるのは時間の問題だと思った。おそろしい、おそろしい。いずれ、必ず至るーー。
かがり
PAST(2025.9.2)本編のあれこれが起こらず勝ち逃げしたソフィのIFをモブ視点から
はじめての繭期2025にはそこまで関係はないんだけど、TRUMPシリーズに触れるとソフィ・アンダーソン……という気持ちになるので……
アコレード:TRUMP(モブ+IFソフィ) ソフィ・アンダーソンが死んだ。
その報せは早朝のクランに染み入るように伝搬し、そうして誰もがあの黒髪を――自分たちを見下して、一線を引くあの瞳を想起した。
クランで彼のことを知らない者はいない。
格式が高く、名家の子息が多く在籍するこのクランには、これまでに彼のようなダンピールが入学して来たことなんてなかった。
ソフィは、そんな中に突如として現れた異物だった。
彼はへりくだったりしなかった。
自己を、その血を卑下しなかったし、先がないはずの日々を悲観したりもしなかった。
繭期を越えられないのに。生まれた瞬間から、他の吸血種とは用意された人生が絶対的に異なっているのに。
それなのに――彼とは根本的に異なるはずの誰もが、彼に剣術試合で勝つことはできなかった。
1314その報せは早朝のクランに染み入るように伝搬し、そうして誰もがあの黒髪を――自分たちを見下して、一線を引くあの瞳を想起した。
クランで彼のことを知らない者はいない。
格式が高く、名家の子息が多く在籍するこのクランには、これまでに彼のようなダンピールが入学して来たことなんてなかった。
ソフィは、そんな中に突如として現れた異物だった。
彼はへりくだったりしなかった。
自己を、その血を卑下しなかったし、先がないはずの日々を悲観したりもしなかった。
繭期を越えられないのに。生まれた瞬間から、他の吸血種とは用意された人生が絶対的に異なっているのに。
それなのに――彼とは根本的に異なるはずの誰もが、彼に剣術試合で勝つことはできなかった。