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    トニーニョ

    DONE続くかわかりませんが、一応置いておきます
    キスニク タイムスリップ物フォード政権国務長官ヘンリー・キッシンジャーは、今や前政権ほどの多忙ではないにしろ、連日百ページを超える文書を捌いたり、ベトナム戦争の顛末(もうほぼ決まったものではあるが)への準備や、比較的新たに始まったシャトル外交で溜まった疲れが、自身のキャパシティをそろそろ超えようとしていることに薄々気づいていた。

    つい数年前はこの十倍の忙しさであっても数日、あるいは数週寝ずの働きでも全く疲れ知らずであったものが、五十も過ぎたからか、それとも何か別の要因からなのか、あの時よりは少しばかり楽になった日々に反比例し、身体が悲鳴を上げることが多くなってきたのである。

    疲れはまず初めに大量の発汗から始まった。机に座り頬杖をしページを捲りながらハンカチで額や顎、頬を拭いてはその辺に放置を繰り返していたら、持ち前のハンカチはすっかりビショビショになってしまった。今度はキンとした頭痛が始まり、思わず頭を抑えると、次第に視界がうつろになってきた。身体の方が既に限界を迎えたようで、早くも休止状態に猛特急で向かっていく。結局肉体では抑えることはできず、ガンっ!と大きな音を立てて、キッシンジャーはそのまま机に突っ伏し、夜中に響くドブガエルの鳴き声のような大きないびきを立てて眠りに落ちてしまった。
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