なかた
TIRED綴至/ゴミ捨て場で見知らぬ男を拾うリーマン出不精な至にとって部屋から一歩も出ずに買い物ができるネット通販は渡に船、日照りに雨といえるようなサービスだった。しかし、困ったことが一つだけある。頻繁に注文すれば、その分だけ梱包用の段ボールが溜まっていく。そしてそれらの存在は、物が多く散らかった部屋をさらに無秩序にするのだ。ピザソースがついた口を拭くのに使ったティシュや飲み終わったコーラのボトルのように簡単には捨てられない分、面倒だが流石にいつまでも見て見ぬ振りはできない。同じ大手通販サイトのロゴが入った段ボールを解体し、紐でまとめるとそれを脇に抱えて至はマンションのエレベーターに乗り込んだ。ゴミ出しの曜日は確認した。あとは手にした段ボールをゴミ捨て場に置き、部屋に戻ればいい。その頃にはケトルに入れた水も沸騰して熱いお湯になっているだろう。食べ慣れた味のカップ麺で腹ごしらえを済ませたらあとは好きなだけゲームができる。そんなことを考えながらエレベーターを降り、マンションを出たところで至は我が目を疑った。ゴミ捨て場に人が捨てられているのだ。思わず、意識的に瞬きしてみたがコンタクトに異常はなく、目に見える景色にも変化はなかった。相変わら 1510
なかた
TIREDフェアリーガライベのジャクレオ「寒っ……」真夜中。レオナが寒さに震えながら目を覚ますのは長い学生生活の中で初めてのことだった。無造作に身体の上にかけていた布を整えてみても、状況に大きな変化はない。他に何か防寒に役立ちそうなものがないか探すため、レオナは上半身を起こすと室内を見渡した。しかし、普段ベッドに乱雑に広げているかけもの以外に足先から肩までを包めそうな大きな布は見つからなかった。基本的にこの部屋及びサバナクロー寮内レオナがは窮屈さを嫌って露出の多い格好をしていても不都合がないくらいの温度で保たれている。だから分厚い布団は置いていないのだ。いくらレオナが緑色の瞳を光らせたところで、都合よく望みのものが現れるわけでもない。
実はこの時、学園全体の空調にトラブルが起きていたのだが、今のレオナにそれを知る由はない。ただ再び安眠を手に入れたいという一心で、ボサボサの髪をかき、無理やり重たい頭を働かせる。
「ああ、そうだ。あいつで暖をとりゃいいんだ」
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「レオナ先輩! どうしました?」 439