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    onionion8

    REHABILI濡れ場が書けないのであとはご想像にお任せしますなケイアキケイローンの部屋は鍵が壊れているらしい。らしい、というのはケイローン本人がそう言っていたのを聞いたことがあるだけで、アキレウス自身はその鍵を操作したことがないからだ。あの部屋はいつでも開け放たれていて、迷える人を受け入れる。そんなイメージがあったため、鍵があることすらアキレウスはほとんど意識していなかった。
     だがもちろん、閉ざすべき時はきちんと閉ざしていたのだろう。たとえば夜。アキレウスがこっそりと部屋を訪いケイローンの愛を乞うた時。あるいは戦闘の帰り。昂ぶった身体の熱を互いに発散させようと、そのまま連れ込まれた時。アキレウスは大して気にしたこともなかったが、ケイローンはきちんと鍵を掛けていたように思う。ピ、と無機質に鳴く電子音が、手繰った記憶のなかに確かに響いていた。
     そういう行為に及ぶ時、部屋の主が閉ざした扉に空気が変わる。うっすらと膜を張ったように熱がこもる。それを合図にケイローンは男の顔を見せた。その賢者でも友でもまして父や兄でもない顔は、ただアキレウスにだけ向けられる。もう子供ではない心と身体。それを確かめるように撫でられた頬からじわりと熱が感染する。涼やかな目元に灯る欲 5828

    onionion8

    REHABILIちょっとすけべなケイアキだけど、兄弟子ふたりと話してるだけで先生は回想にしか出てこない。三人寄れば文殊の知恵、という言葉がある一方で、女が三つ寄ればそれは姦しいと読むらしい。ならば英雄が三人集まればいったい何になるだろう。アキレウスはふとそんなことを思ったが、ここは沈黙は金という言葉に従った。目の前に積まれたチョコをひとつ、もぐもぐと食べていたせいもある。溺れるほどの濃厚な甘さがどろりと喉を焼いてゆく。
    「それで、バレンタインだからいつもと違うことしたい♡ とかいう頭ゆるふわな考えで教授に媚薬を盛ったのか」
     食いたくないが食わねばならないチョコがある。そうイアソンに呼ばれて来たのはいいのだが、いつの間にかそんな話になっていた。アキレウスがせっせとチョコを食べる合間にうっかり口を滑らせた、ちょっとした恋バナ、もとい猥談である。兄弟子はため息と共にうんざりとした顔をするが、もともとチョコのせいでそんな顔をしっぱなしなので気にならない。美形の無駄遣い、とは誰が言った言葉だろう。アキレウスは紅茶で喉を潤すと、次のチョコを手に取った。沈黙とはすなわち肯定のことである。
    「誰が頭ゆるふわだ。サーヴァント、それもケイローン先生にも効くほどの媚薬だぞ? どれだけ頭を使ったと思ってる」  4629