ウエル
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DONEショウエルワンドロ(ショウエルod延長戦)。使用お題:指先、悪戯。ハロウィンの約束をするショウエル(ショウ→エル)。
指先の赤--
ハロウィンを間近に控え、騎空艇の中は早くも浮足立った空気があった。
ガキの遊びだろうと見て見ぬふりを決め込むつもりだったショウはいささか焦りを覚えていた。この騎空団には子供も少なくない。せめて彼ら用の菓子だけでも用意しておくべきだろうか――いかにも柄の悪い自分に話しかけるガキなどいるまいとも思うのだが、そうとも限らないのがこの騎空団なのだ。
こんなときは素直に恩師を頼るに限る――ツバサ達を頼ってもいいのだろうが、それはそれ。こんな機会を逃す手はない――。ショウは元担任教師の部屋を訪れた。ノックをすると入っていいと返事がある。
「先公、突然すまねェ」
ショウが扉を押し開くと、エルモートはベッドに腰かけていた。ショウは目を瞬く。エルモートの傍にはトレイが置かれ、そこに小さな瓶がいくつか並んでいた。やすりや脱脂綿のようなものも一緒に乗っている。
3007ハロウィンを間近に控え、騎空艇の中は早くも浮足立った空気があった。
ガキの遊びだろうと見て見ぬふりを決め込むつもりだったショウはいささか焦りを覚えていた。この騎空団には子供も少なくない。せめて彼ら用の菓子だけでも用意しておくべきだろうか――いかにも柄の悪い自分に話しかけるガキなどいるまいとも思うのだが、そうとも限らないのがこの騎空団なのだ。
こんなときは素直に恩師を頼るに限る――ツバサ達を頼ってもいいのだろうが、それはそれ。こんな機会を逃す手はない――。ショウは元担任教師の部屋を訪れた。ノックをすると入っていいと返事がある。
「先公、突然すまねェ」
ショウが扉を押し開くと、エルモートはベッドに腰かけていた。ショウは目を瞬く。エルモートの傍にはトレイが置かれ、そこに小さな瓶がいくつか並んでいた。やすりや脱脂綿のようなものも一緒に乗っている。
あおい
TRAININGショウエル/久しぶりに会ってギュステでいちゃいちゃする話「なンでだよォォォォ」
所属する騎空団、グランサイファーの航路とは違う島に行くために団を離れていた俺が、夏のバカンスに停泊しているアウギュステに着いてしばらく。
連日働きづめのエルモートに相手にされないまま溜まったストレスと不満がついに爆発した。
✽ ✽ ✽ ✽ ✽ ✽ ✽ ✽
騎空団に戻ったその日。
団長の言葉を完全に真に受けたわけではないが少しは浮かれた心で団に戻ってみると、アウギュステに着いてまず会ったツバサに「先公なら海の店のヌシみたいンなってるぜ」と言われ、そのとおりだった。
すでに店にいるエルモートに会いに海の店へ出向き、感動の再会で熱い抱擁とまではいかなくても、それに準ずるものを期待していた俺にエルモートは、表情もひとつ変えずに「なんだ、戻ったンか」という一言だった。
4930所属する騎空団、グランサイファーの航路とは違う島に行くために団を離れていた俺が、夏のバカンスに停泊しているアウギュステに着いてしばらく。
連日働きづめのエルモートに相手にされないまま溜まったストレスと不満がついに爆発した。
✽ ✽ ✽ ✽ ✽ ✽ ✽ ✽
騎空団に戻ったその日。
団長の言葉を完全に真に受けたわけではないが少しは浮かれた心で団に戻ってみると、アウギュステに着いてまず会ったツバサに「先公なら海の店のヌシみたいンなってるぜ」と言われ、そのとおりだった。
すでに店にいるエルモートに会いに海の店へ出向き、感動の再会で熱い抱擁とまではいかなくても、それに準ずるものを期待していた俺にエルモートは、表情もひとつ変えずに「なんだ、戻ったンか」という一言だった。
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DONEショウエル(ショウ→エル)。依頼で霧のなかを行く話 その2。
霧のなかで2--
森での行方不明者について調査することが目的だった。しかし、そのために組まれた部隊は、濃い霧によって分断されてしまった。
ぴりぴりと身を包む不穏な予感にエルモートは双眸を険しく細めた。
霧は足元を覆い隠すほどに深く、ほんの先も見通すことができない。さらに、姿が見えない仲間は近くにいるはずなのに、その声が聞こえないという厄介な状態でもあった。ルリアがせめてカタリナかグランと一緒にいることを祈るよりない。
はるか頭上には雲を透かすようにして陽光が鈍く輝いている。おかげで方角は分かるが、それ以上のことは窺い知れない。いかにも不自然な霧で、それがなんのためのものかと考えれば、この幾重にも覆う白いヴェールの隙間に魔物が潜んでいることが予測された。
4966森での行方不明者について調査することが目的だった。しかし、そのために組まれた部隊は、濃い霧によって分断されてしまった。
ぴりぴりと身を包む不穏な予感にエルモートは双眸を険しく細めた。
霧は足元を覆い隠すほどに深く、ほんの先も見通すことができない。さらに、姿が見えない仲間は近くにいるはずなのに、その声が聞こえないという厄介な状態でもあった。ルリアがせめてカタリナかグランと一緒にいることを祈るよりない。
はるか頭上には雲を透かすようにして陽光が鈍く輝いている。おかげで方角は分かるが、それ以上のことは窺い知れない。いかにも不自然な霧で、それがなんのためのものかと考えれば、この幾重にも覆う白いヴェールの隙間に魔物が潜んでいることが予測された。
あおい
TRAININGショウエル/光華大会に行く話ショウ⇢エル・告白済み・ショウくん視点
10月も半ばに真夏の話で申し訳ないです……
騎空団に入って初めての夏。
リゾートの華として名高いアウギュステのビーチはバカンスを満喫する人々であふれていた。
しばらく騎空艇もアウギュステに停泊するのが慣例で、団員たちの過ごし方としては、大きく分けて遊ぶ者と働く者に二分されるという。
エルモートは毎度、海の家で働く側の人間らしく、俺達には「ガキどもは遊んどけ!」と言ってめっきり相手にされなくなった。
騎空団の団員が切り盛りしているという海の店にツバサたちも一緒に出向いてみたが、ひたすら肉を焼いて忙しくしているらしくまともに話もできなかったが、奢りだと言って炎獄焼きを食わせてもらった。
アウギュステに着いてから、海で泳いだり、団員のビーチバレーに混ざったり、パラソルの下でのんびりしたり、学生たちで集まって課題をしたりと、仲間とバカンスの日々を過ごしていたある日。
6858リゾートの華として名高いアウギュステのビーチはバカンスを満喫する人々であふれていた。
しばらく騎空艇もアウギュステに停泊するのが慣例で、団員たちの過ごし方としては、大きく分けて遊ぶ者と働く者に二分されるという。
エルモートは毎度、海の家で働く側の人間らしく、俺達には「ガキどもは遊んどけ!」と言ってめっきり相手にされなくなった。
騎空団の団員が切り盛りしているという海の店にツバサたちも一緒に出向いてみたが、ひたすら肉を焼いて忙しくしているらしくまともに話もできなかったが、奢りだと言って炎獄焼きを食わせてもらった。
アウギュステに着いてから、海で泳いだり、団員のビーチバレーに混ざったり、パラソルの下でのんびりしたり、学生たちで集まって課題をしたりと、仲間とバカンスの日々を過ごしていたある日。
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DONEショウエルワンドロ(ショウエルod延長戦)。使用お題:焦がれる。依頼で霧の森を行くショウエル(ショウ→エル)。
霧のなかで--
木々の根元が煙に浸かっているかのような濃い霧が森を覆っていた。音もなく白い空気が漂う様は、静寂の魔物がそこにいるのかと思わせた。じわりと足元が湿る。
「チッ」
ショウは舌打ちをした。
近頃、森に入った人間が行方不明になる――解決してほしい。そんな依頼だった。おそらく魔物が住み着いたのだろうという予測のもと、隊が編成され調査に赴いた。森に入るなり湧き出した霧はどう考えても自然のものではない。
団長達と分断されたのも良くない。すぐそばにいたはずの彼らの声すら聞こえないのだから、思っていたよりも厄介な状態だ。
「先公」
ショウはエルモートに声を掛けた。元担任教師である彼とまで離れ離れにならずに済んだのは幸いだろう。濃い霧のなかで揺れる彼のランタンに安堵を感じた。
2463木々の根元が煙に浸かっているかのような濃い霧が森を覆っていた。音もなく白い空気が漂う様は、静寂の魔物がそこにいるのかと思わせた。じわりと足元が湿る。
「チッ」
ショウは舌打ちをした。
近頃、森に入った人間が行方不明になる――解決してほしい。そんな依頼だった。おそらく魔物が住み着いたのだろうという予測のもと、隊が編成され調査に赴いた。森に入るなり湧き出した霧はどう考えても自然のものではない。
団長達と分断されたのも良くない。すぐそばにいたはずの彼らの声すら聞こえないのだから、思っていたよりも厄介な状態だ。
「先公」
ショウはエルモートに声を掛けた。元担任教師である彼とまで離れ離れにならずに済んだのは幸いだろう。濃い霧のなかで揺れる彼のランタンに安堵を感じた。
あおい
MAIKINGショウエル/ショウ⇢エルの告白話だらだら長い。ショウくん17歳設定
ショウエル告白話とある島に停泊しているグランサイファーに、ある日シェロカルテが訪れていた。
「この島はですね~ 現在、各島のさまざまな名産品、特産品を集めた大きな市場を開催しているんですよ~ そこで~商人の魂を持ったショウさんに、せっかくなので案内も兼ねてご一緒に見て回らないかと思いまして~」
「わぁ~名産品ですか~楽しそうです!」
「いろんな島のりんごがあるかもしれねぇのか?」
「ふふふ~ 食べ物から工芸品、武具などさまざまな物が集まるんですよ~ 有力な商会も多数参加していますので、ショウさんにはとても勉強になると思いますよ~」
そんな誘いを受け、二つ返事で返す。
団長にルリア、ビィも同行することになり、あとは……と考えて、マナリア学院のケッタ仲間たちに声をかけると、興味津々といった様子で誘いに乗ってきた。
10984「この島はですね~ 現在、各島のさまざまな名産品、特産品を集めた大きな市場を開催しているんですよ~ そこで~商人の魂を持ったショウさんに、せっかくなので案内も兼ねてご一緒に見て回らないかと思いまして~」
「わぁ~名産品ですか~楽しそうです!」
「いろんな島のりんごがあるかもしれねぇのか?」
「ふふふ~ 食べ物から工芸品、武具などさまざまな物が集まるんですよ~ 有力な商会も多数参加していますので、ショウさんにはとても勉強になると思いますよ~」
そんな誘いを受け、二つ返事で返す。
団長にルリア、ビィも同行することになり、あとは……と考えて、マナリア学院のケッタ仲間たちに声をかけると、興味津々といった様子で誘いに乗ってきた。
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DONEショウエルワンドロテキスト/お題「怪談」怖いこと--
蒸し暑い夜が続いていた。そんななか、食堂でのなにげない会話から、調理場でよく見かける男の「夏は怪談っしょ!」の一言で、怪談大会の開催が決まった。どうやら東のほうの島では夏の風物詩らしい。この騎空団には東の出身者も多い。
要するに背筋の凍るような「怖い話」をして暑い夜を過ごそうというものだ。
その企画を聞いたとき、ショウは思わず渋い顔をしてしまった。ツバサが笑う。
「んだよ、もしかして怖ぇの苦手かぁ?」
ショウは舌打ちをする。
「……怖いっつうか、驚かせるのあんだろ。あれは苦手だ」
「あ~、あるな。分かるぜ。怖かったわけじゃねえよってな」
ツバサは同意を示した。
「でも、まったく動じねえ人達もいるからな。けっきょく胆力の違いなんかなあ」
3376蒸し暑い夜が続いていた。そんななか、食堂でのなにげない会話から、調理場でよく見かける男の「夏は怪談っしょ!」の一言で、怪談大会の開催が決まった。どうやら東のほうの島では夏の風物詩らしい。この騎空団には東の出身者も多い。
要するに背筋の凍るような「怖い話」をして暑い夜を過ごそうというものだ。
その企画を聞いたとき、ショウは思わず渋い顔をしてしまった。ツバサが笑う。
「んだよ、もしかして怖ぇの苦手かぁ?」
ショウは舌打ちをする。
「……怖いっつうか、驚かせるのあんだろ。あれは苦手だ」
「あ~、あるな。分かるぜ。怖かったわけじゃねえよってな」
ツバサは同意を示した。
「でも、まったく動じねえ人達もいるからな。けっきょく胆力の違いなんかなあ」
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DONEショウエルワンドロテキスト/お題「木陰」日差しの下--
この灼熱の陽光がバカンスの地、アウギュステのものであれば、それも醍醐味だと笑えたのかもしれない。
ショウはぎらつく太陽を睨みつけた。
騎空団は依頼を受け、とある島を訪れていた。よくある魔物退治の依頼だったが、島は日差しの厳しい時期であり、なかなか受けてくれる騎空団がいなかったらしい。アウギュステもバルツも慣れたもののこの騎空団は、依頼を二つ返事で受けたのだった――例え慣れていなくても、この騎空団なら引き受けただろうとショウは思う。
騎空艇の留守を預かる団員を港町に残し、数人で目的地を目指すことになった。荒野を走る交易路は魔物が出るため、人の往来が途絶えている。ろくなしるべもない荒れた土地を進むなか、木陰を見つけ、休憩しようという話になった。複数の木が寄り添うように立ち並ぶ木陰に、二、三人ずつに分かれ、息をついたところだった。乾いた大地は地平線がゆらゆらと揺れて見える。
3420この灼熱の陽光がバカンスの地、アウギュステのものであれば、それも醍醐味だと笑えたのかもしれない。
ショウはぎらつく太陽を睨みつけた。
騎空団は依頼を受け、とある島を訪れていた。よくある魔物退治の依頼だったが、島は日差しの厳しい時期であり、なかなか受けてくれる騎空団がいなかったらしい。アウギュステもバルツも慣れたもののこの騎空団は、依頼を二つ返事で受けたのだった――例え慣れていなくても、この騎空団なら引き受けただろうとショウは思う。
騎空艇の留守を預かる団員を港町に残し、数人で目的地を目指すことになった。荒野を走る交易路は魔物が出るため、人の往来が途絶えている。ろくなしるべもない荒れた土地を進むなか、木陰を見つけ、休憩しようという話になった。複数の木が寄り添うように立ち並ぶ木陰に、二、三人ずつに分かれ、息をついたところだった。乾いた大地は地平線がゆらゆらと揺れて見える。
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DOODLEショウエル(ショウ→エル)。先生を心配する話。テキスト。心配--
月のない夜は大小の星々が天を埋め尽くすようだった。それでいて明るさは足りず、深い闇が騎空艇の周りを覆っていた。真の闇に光は届かない――そう嘯いていた己を思い出す。
ショウが夜風に吹かれながら騎空艇の外に面した通路を歩んでいると、ふと視界に赤い光が揺れた。杖の先にぶらさげられたランタンだ。通路の先、手すりに両手を乗せてエルモートが外を眺めていた。フードは外され、赤い髪が風と遊んでいる。ショウはそっと近づいた。
騎空団が受けた依頼のため訪れた島で、火事があった。消火と片付けを終え、依頼も済ませ、騎空艇は帰路についたところだ。
その火事の騒動から、かつてエルモートがグランと出会った経緯について聞くこととなった。
3684月のない夜は大小の星々が天を埋め尽くすようだった。それでいて明るさは足りず、深い闇が騎空艇の周りを覆っていた。真の闇に光は届かない――そう嘯いていた己を思い出す。
ショウが夜風に吹かれながら騎空艇の外に面した通路を歩んでいると、ふと視界に赤い光が揺れた。杖の先にぶらさげられたランタンだ。通路の先、手すりに両手を乗せてエルモートが外を眺めていた。フードは外され、赤い髪が風と遊んでいる。ショウはそっと近づいた。
騎空団が受けた依頼のため訪れた島で、火事があった。消火と片付けを終え、依頼も済ませ、騎空艇は帰路についたところだ。
その火事の騒動から、かつてエルモートがグランと出会った経緯について聞くこととなった。