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    テラ

    Kei_gam00

    PASTネコモドキに興味以上の感情を抱くバグったタコ端末の話(オチ)/弊社備品の雑な説明→
    ネコモドキ:自称猫。猫の皮を被った何か。人類には友好的な一方人外には塩対応。どの道人でなし。
    /フォグノーニキシュ:通称タコ。少年に擬態した触手生物。同時に存在する分身が沢山いる。軽率に物事を引っ掻き回しがち。シュテラトゥミケス*の飼い主(製造元)。*ゲルおにく
    伽藍の僕ら 緩やかにうつろってゆく鮮やかな映像が、目の前の、磁器の色をした膚の輪郭を思い思いの色に染めていた。碧く澄明な海。極彩色の花。渦を巻く銀河。揺らめく極光。雨の降る森。順番も脈絡もない断片的な光景がつぎつぎと切り替わってゆく。白で埋もれた雪原。夕暮れの砂漠。昼と夜が交わる薄明。生命的な気配のない貌に、不確定な影が浮かんでは消える。玻璃めいた瞳も死人のように閉じられた唇も、何ひとつ語りかけてはこない。

     作り物じみた脆そうなその全身を黒で包んだ自称猫族。僕の友人のひとりだ。現在そこに、常々ヒトに対して向けるような愛想のよさは見当たらない。元より表情の変化の希薄さは変わらないが、表面を薄く覆う微笑すらヒト以外には不要と判断されているらしい。なるほど、猫とは合理的ないきものだ。中身がほんとうに猫かどうかは知らないが。
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