フェルムコでなりきり50の質問1　あなたの名前を教えてください
フェル『フェルだ』
ムコ「向田剛志です」

2　年齢は？
フェル『１０１４だ』
ムコ「１０１４！？」
フェル『言ってなかったか？』
ムコ「うん、俺が２７だから……え、何歳差……？」

3　性別は？
フェル『雄だ』
ムコ「男です」

4　貴方の性格は？
フェル『我は強い』
ムコ「それは性格じゃないよ」
フェル『む、ではお主が答えろ』
ムコ「えええ……あ、次の質問それみたいだよ」

5　相手の性格は？
ムコ「えーっと、フェルの性格は魔獣だからちょっと強引というか真っ直ぐっていうか、でも俺が困っているとすぐ助けてくれるし、すごくやさしいかな」
フェル『ほお、お主は我のことをそう思っていたのか』
ムコ「フェルは俺の性格どう思ってるんだ？」

ふたりを結ぶもの雪がしんしんと降る上層区。
銀世界に目立つ黒装束。その衣は僅かに赤を纏っていたが、黒の上からでは目立たない。
ひたすらに歩いたその足は、ある一箇所へと向かう。扉を開けると、その姿は見えた。

「フェンリッヒ」
「─お帰りですか。お疲れ様でございました、閣下」

こちらを見つけたその顔は少しだけ綻ぶ。
以前のような砕けた言葉で話してくれなくなったのは寂しさを覚えるが、以前は仲間として、今はシモベとしてよく支えてくれている。
帰ってきた主から僅かにいつもと違うニオイを感じ取り、シモベの目が僅かに細まる。

「…お召し物に血がついておりますね。すぐに替えを」
「ああ、すまぬな。今回は少し苦戦した」
「また“絆”とやらにですか？」

シモベを煽るものはそれは珍しく、主従が共にいなかった日。
フェンリッヒは他の魔界へ出張のようなものへ行っていて、ヴァルバトーゼは普段の仕事をこなしていた。
出張と言っても、向こうの悪魔と化かし合いのようなことになることも少なくない。その点で言えば、話術に優れるフェンリッヒ以上の適役はいないのだ。だが、優秀なシモベがいないと言うのは、それだけで負担な訳で。

(……あいつが居ないだけで、こんなに疲れるとは…いつも無理をさせているのか…涼しい顔をして…)

普段は休憩をあまりしないヴァルバトーゼも、人目につかない所で少し休んでいた。
目を閉じていた彼の意識を浮上させたのは、女性たちの声。
最初は見つからなければいいか、と考えるヴァルバトーゼだったが、ひとりの言葉で目が冴えることになる。

月夜の戯れカチャリと鍵が開き、隙間の空いた窓から少し冷たい風が入り込んできた。
さっきまで行われていたコトの途中は暑くて火照っていたのに、それが冷えていくようだった。

「…夜風が、心地いいな」
「ヴァル様、起きてらっしゃったんですか」
「ああ。…お前が加減したからかもしれんな」
「主に無体を強いたくはありませんから」
「このような関係になって、今更か？」

窓際に立つシモベは、白銀の髪が月夜を受けてキラキラと光り、まるで雪のようだ。

「フェンリッヒ、寒くないか」

布団に寝転がり、包まった状態でヴァルバトーゼがフェンリッヒに問う。
フェンリッヒは上半身に何も着ていない状態で、下だけ着ていた。対してヴァルバトーゼは下着だけの状態。

夢を見るなら貴方がいい「フェンリッヒ、頼みがあるんだが」

神妙な面持ちで部屋に入ってきた主がそう言ったのは、つい今しがた。
自室で休もうとしていたフェンリッヒは、少し固まった。
頼みなどと、まさかシモベの自室にまで足を運ばねばならないほどの重大な出来事でもあったのか、それとも自分がなにか知らぬ間に至らぬことをしてしまったのか。
あれこれと思考を巡らせた一瞬、フェンリッヒはただ一言返した。

「…なんでしょう、閣下。何なりとお申し付けを」
「うむ。お前ならそう言ってくれると思っていた。…すまぬが、座って腕を広げてくれぬか」
「……？こう、ですか？」

全く意図が読み取れない。
だが主の言葉なので、フェンリッヒは近くにあった椅子に腰かけ、手を広げた。

【Cuffing Seasons】「ヴァル様？　いかがされましたか」

　吸血鬼のマントから複数匹の蝙蝠が飛び出し、キーキーと狼男を威嚇している。主の眷属にやつ当たることが憚られるのか、フェンリッヒは小さな生き物に道を阻まれ、噛み付かれても、ただされるがままだ。

「どうもこうもな」

　ヴァルバトーゼの不機嫌そうな赤い瞳にギロリと睨まれ、フェンリッヒはたじろいだ。
　朝食のイワシのつみれ汁に血を仕込んだせいだろうか？　それとも傷を負った泥棒天使にケムシ団子を食わせようとしたことが原因か？　……ひとつ、ふたつ、フェンリッヒの頭にはよぎるものがあったが、しかしその行いはいずれも仲間を想ってのこと。しかも、今更それしきのことで機嫌を悪くする主ではあるまいと首を傾げる。

救援に馳せる（傭兵とオフェンス） 12月15日午後、実験台を移動しに向かった処刑人は、9-？-3が行方不明になっていたことに気づいた。同時に、処理室でこのメモを発見。
その後の調査を経て、荘園内で9-？-3が残した痕跡が数発見された。その行方は分からないままだ。外部の人員を引き入れて調査を行ったのかもしれない。


***


　処理室を脱出したナワーブが当面の住処と定めたのは、森の中で忘れられたようにある猟師小屋だった。どこかしらが破れているのか、風の吹くたびに雪混じりの冷たい風が吹き抜けていく吹雪めいた音が響いてくるものの、曇っている窓ガラスはヒビが入りつつ健在であることが不幸中の幸いだった。追手がある以上、迂闊に火を焚くことはできない。ヒマラヤの気候の元で育ち、職業柄もあって過酷な環境下の生活が長いナワーブは兎も角、負傷したスポーツマンには今の状況すら十二分に過酷なものだろう。

上司観察日記●月■日　天気　雨

あーやば。書いてるのバレた。今日上司居ないんで無事だけど……明日出勤してくるんで、見られる前にこいつ完全に消し去らないと。

って事でついでなんでここ数日であった上司の話し。

生徒の降魔の儀に参加させられたらしい弟さんの時間があるなら、自分と会えば良いのにって文句を言ってるし。

月越しもお互い仕事で挨拶すらする暇もないって嘆いてた。
よく解らないんですが、教師って月越しも仕事なんすね？俺達が言うことでも無いんですけど。

弟さんと会えたのは前に書類を受け取りに魔関署に来た時が最後らしくて、上司自身も明日魔関署に来たら暫くは出勤して来ないんで。また暫く弟さんと会えもしないし連絡も取れないと。
まぁあの悪魔がやると決めた事なんで、文句は言って無かったですけど。色々と未練がま……いやいや何でもないです。

上司観察日記◇月▼日　天気　曇り

何だかこの数日上司の部屋から音楽が聴こえてくるんすよね。録音したのを流してるみたいなんですけど初めて聴くすごく綺麗な音。魔王組曲で確かオーケストラ楽曲だった筈なんですけど、ピアノだけの演奏なんて珍しい音源。

もう一人の上司が誰が弾いてるのかと訊ねたら、弟さんが弾いてる曲だって言うじゃないですか。流しているのは学生の頃学校行事で弾いた曲だとか。自宅で全楽器の練習しているのを収めたものらしい。他の楽器の音源も揃えてるらしくて、全部一緒に再生したら一人オーケストラ出来るとか何すかその才能は。
ピアノだけの音源は聴きたかったから弾いてもらったと。兄のお願い聞いちゃうだあの弟さん。

でもその話しにもう一人の上司まで弟さんにそんな才があったのかって驚いてたんですけど、アムドゥスキアス様にも気に入られていると言う言葉の方に驚いた。

上司観察日記◇月◯日　天気　晴れ

やっと弟さんの事目に出来ましたよ。
初めて見る悪魔だなぁって思ってたんですけど、その姿がまさしく上司との血の繋がりを見せる感じで何とも言えなかった。多分上司の部屋に行くんだろうなって思って声をかけてみたら、無表情のまま振り返られて、本当に似た兄弟だなって思ってたんですけどね……そのまま話してみようかと思った瞬間上司が来て引き離されちゃいましたよね。
しかも俺に下がれってまで言ってきて、逆らえないのに。

しばらく弟さんが出ていく様子も無くて、仕事がまだ残ってたから仕方なくその場から離れたんですけど。
罪人の引き受けしてる最中に帰っていく弟さんと偶然会って、声をかけたら少しだけ話してくれたけど。さっき上司に見せた表情はしてくれないし。俺の言葉に返事を返して帰って行っちゃったんですが、それを上司に見られてしまったようで。

上司観察日記✕月△日　天気　晴れ

この数日弟さんと連絡が取れないと言ういつも以上の文句が垂れ流されてるんですけど、いつも以上にあの悪魔を取り巻く空気がどす黒すぎて執務室に入れない……
何でもここしばらくずっと弟さんと連絡が一切取れないとか。学校行事を控えてて忙しいのでって言われてるらしいんですけど、それ位我慢してくださいよ本当に。理由も聞いてるんだから問題無いでしょう。

と言うかこの悪魔何でこんなに弟さんと連絡取りたがってるんすかね。何かあるっぽいんですけど……もう一人の上司も理由知らないようですし。いつもの会いたがりとは違う感じがして、ちょっと厄介そうなんですよね。

しかも最近魔関署内もざわついててあんまり良い空気ではないんすよねぇ。

上司観察日記□月▽日　天気　曇り

ウォルターパークの件が落ち着きだしたんですけど、何か一人反応のおかしい悪魔が居まして。ス魔ホ見て百面相してるんですよ。空気だけで。表情は変わらない。
もう一人の上司はそんなの全部無視して、あの悪魔にさせる案件について積み重ねていくんすよね。いい加減何とかしないと埋もれそうなんですけどって言ったら、俺が何とかしろって言われちゃいまして。仕方がないんで声かけてみたんですけど……かけなきゃ良かった。

ウォルターパークでの報告が終わってから、弟さんに楽しんだのか訊ねたらしいんですが。騒がしかったと言う報告と一緒に、生徒に撮って貰ったと言う画像が送られてきたそうです。
見せてはくれなかったんですけど、なんでもその弟さんがすごく楽しそうだったと。

上司観察日記□月◯日　天気　晴れ

緊急連絡が入って直ぐに出ていった上司と部下達。俺は何故か上司が苛立っていたんでお守り役で魔関署に居残り。
ニュースで取り上げられた魔獣の話題。出た場所と三体も同時にって事は明らかに誰かが仕掛けた召喚獣だろうって事で、収束に行ったんですけど、何か上司の態度が不穏。
魔獣とかあんまり好きじゃなさそうなのは知ってるけど、だからってこんな空気を纏う事は珍しい。
よりによってそれを見てたのが休憩室で。他に魔関署に残ってた部下の数人がその姿を見て逃げ出してしまうんで、上司の執務室のテレビ付けて引きずり込みましたよね。

どうにも現地に弟さんが生徒の引率で行っているらしく。本当なら自分が行って弟の様子を確認したかったとか言い出すんですよ。

上司観察日記□月✕日　天気　曇り

今日は休みを勝ち取った上司が上機嫌で出勤してきましたね。何でもお嬢と二人でお出掛けが出来たらしいっすよ。貴方が休みの間不機嫌な上司の機嫌取りの業務まで追加された俺の身にもなって欲しいんすけど……
毎日毎日同じ台詞聞かされて宥めてたんすから。せめて労って下さいよ。土産ってくれた魔んじゅうは美味しかったですけど。

で、不機嫌な上司の方はと言うと……何でも今回の休みが合わなかったせいでここから何ヵ月かずっと休みを合わせられなさそうだって言うんで、何でか訊いたら弟さん担任受け持ち入ったらしいですね？
悪魔学校の番犬ってそんな色々業務あるのかって話聞いたら、ただでさえあの理事長に色々無茶振りされてる上に担任で生徒受け持ったりしたら、真面目な弟さんが適当な対応で終わらせる訳が無いだろうって苛立ちながら話してくれましてね。

上司観察日記△月◇日　天気　晴れ

上司二人が真剣な顔して話し合ってるから聞き耳をたててたら、休みの調整で話し合ってるみたいなんですけど。二人揃って同じ日を譲らないみたいなんですよね。
そりゃ悪魔学校の休みは教師も生徒も同じでしょうよ。
弟さんとお嬢の休みに合わせたがってるけど、二人揃って休むことは絶対にしない。そこのところ真面目っすよね。
まぁでも普通に二人とも居ないとこで全責任を俺に負えって言われるのも今のところは遠慮したいんで良いんですけど。これでも魔関署のNo.3なんで。二人が居ないと全部俺が取り仕切らないといけなくなるんですよね。それで二人の席奪えるならまだしも、万が一何か失敗したら後が怖くてたまらない。

で、休みが合うなら何するんです？って訊いたら、一人はお嬢とお出掛け。一人は弟さんと一緒に。って……二人揃って結局それが希望なんですねぇ。

上司観察日記△月◯日　天気　曇り

休み明けに部下から昨日弟さんが魔関署に来たって話を聞いてタイミング悪ってなっちゃいましたよね。
実物見てみたかったのに。
何の用事で来てたんですか？って上司に訊いたら、何でも上司が実家に置いておいた物を届けて貰ったと。
何で俺の居る日にしてくれなかったのか聞いたら、俺に会わせたくなかったって。酷くないですか？

それにしても弟さんが来たのは昨日なのに上司の機嫌最高に良くって、今更ながら思うんすけど……この悪魔は何でこんなに弟さんの事好きなんすかね？
結構年が離れてるらしいって話しは聞いてるけど、所詮血の繋がった兄弟でしょ？
って口に出したらきっと死に目に合いそうなんで言いませんけど。

あんなに好きになるなんてどう言う気持ちなんでしょうね？ほんと。興味沸きますね。あの上司をそんな気持ちにさせる弟さん。

上司観察日記◯月●日　天気　晴れ

突然呼び出されて、何か言われるのかと思ったら、上司から珍しい酒を貰いましたよ。何でもこの間教えた菓子が滅多に手に入るものじゃないって弟さんが知ったらしく。更にそれを上司が知っている訳もないし、絶対誰かに聞いたんだろうって気付いたらしくってお礼に渡すように言われたみたいっすね。
出来た弟さんすぎません？
まぁ代わりに買った訳でも無いんですけどね。あの悪魔が自分の名前出したら直ぐに作られたってだけで。
しかもこの高い酒……この一族の金銭感覚知りたくない。

で、何ですごく不機嫌そうなんですかね？って訊いたら、何ヵ月待ちもする菓子ってのを教えたのが弟さんの同僚の教師だとかで。一緒に食べたって話をされて嫌だったとか……知ったこっちゃない。っとつい本音が。

上司観察日記◯月▼日　天気　曇り

上司達がちゃんとした休みをとってる日数の方が少ないんですけど、あの日から全く休んでないしこの悪魔達の体力どうなってるんすかね？
それに最近弟さんの話し聞かないなって思ってたんですけど、単純に会えてないだけっすねこれは。

一応観察日記ってしてるんで、観察した事書いておこうかと。

一日の始まりは基本的に前日居なかった奴は引き継ぎ聞いたりしてるんすけど。あの悪魔達基本的にほぼ寝ずに自分達の仕事してるんで、今日は朝から書類整理してましたね。
昼からはいつも通り調きょ……じゃない。えーと。あ、取り調べしてましたけど、そいつ中々口割らないもんでちょっと室内汚してましたね。ありゃ後始末係大変だ。時間経てば経つほど落ちないんすよねぇあれ。

上司観察日記◯月◇日　天気　雨

あー危ない。これ職場で書いてるのバレかけた。ろくな部下居ないな。上司二人にバレたら間違いなく殺られる気しかしない。うまく隠そう。

今日は上司に評判の菓子は無いかって訊かれたんですよね。突然すぎて何ですか？って聞き返したら、弟さんが不機嫌だから次に会う前に贈ろうと思ってるって……その心遣い部下にもくれませんかね？
って言うか絶対不機嫌な理由貴方なのでは……って思うんですけど。貴方昨日の上機嫌さ忘れました？ってなりましたよね。
弟さんの機嫌取りしようとしてるじゃないっすか。ほんと何したんだあの悪魔。

とりあえず最近流行っててすぐに手に入らないって有名なとこを紹介したのは良かったんですけど、その場ですぐに連絡入れられて上司が普通に名前出したりしたから明日には届けますって声がス魔ホのこっちまで聞こえてきたんすけど。

上司観察日記◯月■日　天気　雨

機嫌よすぎて怖くなるんですけど……この間の事を訊いたらすんなり答えてくれましたよ。
弟さんが足りなくなりすぎたって…………はい？
いやいやいや。貴方いつももっと会えてないっすよね？何で突然って思ったら悪周期直前で弟さんが足りなすぎて、気を紛らわせるのに弟さんが普段使ってる香水使ったけど何か違った。ってよく解らないこと言われましたね？
まぁ何日か休みだった理由も悪周期って解った訳ですけど。

って言うか弟が使ってる香水常備してる兄居ます？
無許可ならストーカーっすよって言ったら、許可も何も私が以前渡したものだから問題ないって言われたんですけど。問題大有りでしょう？
この上司の感覚どっかおかしいんじゃないっすか？

上司観察日記◯月◯日　天気　曇り

仕事休みの前日。朝まで耐久飲み会とかやろうとか言ってたのを上司に聞かれた上に、深夜に酔った勢いでしつこい位電話してしまって(一回も出てくれなかったけど)……てっきり仕事行ったら怒られるかなぁって思ってたんですけどね。
なのに別に怒ってこなかったんすよね？
それどころか、何か調子がおかしそうな感じが目に見えて解る程疲れてそうで。もう一人の上司が休みだったもんで、訊けるのは俺しかいないって部屋に行ってみたら珍しく寝てるし。
いつもならノックした時点で起きそうなのに。

寝てる上司に近付いて気付いたんですけど、いつもと匂いが違ったんですよ。
嗅ぎ慣れない、どこか甘くて刺激のある匂い。
誰かの香水でも付けてるんだろうけど、誰のでしょうね？と言うかこの悪魔が自分以外の誰かの香水つけるなんて想像も出来ないんですけど。