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    元日

    kamiya0014

    PROGRESS舞台はフランスのコルス島、ポルト=ヴェッキオ。
    この島で暮らす、元日本人の洋平の話。


    ⚠注意
    戦争/タトゥー/カトリック

    ・実在する国・地名・人物・団体が登場しますが、名称をお借りしただけであり、当然フィクションです。
    ・洋平の家庭環境は私の幻覚であり捏造です。
    ・名前のあるモブが本当によく喋ります。
    ・携帯/スマホの登場。
    ・作中、人種差別と思われる表現がありますが、私にその思考は一切あり
    アマテラスに恋をした 三ヶ月ぶりに訪れたブラッスリーは、やはり閑古鳥が鳴いていた。

     値段も安いし料理も美味いし店も小綺麗だが、如何せん立地が悪い。大通りから路地に入ってしばらく歩いた上に、四回ほど曲がってようやく店に辿り着く。曲がる所にこれといった目印もなく、口頭で教えるのは不可能に近いので、この店を知りたければ連れて行ってもらうしかない。観光客向けのガイドブックにすら載っていないし、地元民の知る人ぞ知る隠れ家的な存在だ。
     そういった店は、総じて客が少ない。
     他の客と鉢合わせたのは二回ほどだが店主はカウンターに座って新聞を広げていたのを見たのは今回を含めると七回目。こちとら毎回潰れていやしないか、ひやひやしながら最後の角を曲がるのに、呑気なものだ。
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    まつり🦀

    Deep Desire2019年1月初出。
    タグが使いたいが為に引っ張り出しました。
    そこはかとなく15、16巻その後ネタバレあり。
    そしてこれ書いたときはまさか3期のエンディングのタイトルがアレとは思わなかった。

    2022元日、太がまだ娑婆に出てきてないとはww
    手折り難き百合の花は:
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     既に夜の帳が降りていた。遥か下に広がる街には無数の作り物の光が流れている。時折止まるのは信号のせいか。敦はぼんやりとそんな事を考えながら高層ビルの最上階から街を見下ろしていた。
    「っ、だざ……っ!」
     硝子窓に触れていた指先に、自分より一回り大きな手が重なった。もしかしたら、と、敦はあり得ない現実を一瞬だけ期待した。
     けれど振り返ると目に入ったのは煌びやかな招宴会場と、金色に輝く髪をかきあげる男だった。
    「そこまであからさまに落ち込まれると、流石の俺でも傷つくんだが」
     仕立ての良い背広を着こなす男、フィッツジェラルドが少し困惑気味な笑顔で肩をすくめた。上質な装いに洗練された身のこなしは、どこか現実離れをしている。そんな風に敦の目には映った。それこそ、つい先刻、ほんの数時間前までは敦もフィッツジェラルドも、血生臭い惨状の中で生きるか死ぬかの瀬戸際にいたはずなのに。一転してこれはどういう事なのだろうと、敦はまだ現状に思考が追い付かない。
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