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    看護師

    多々野

    DOODLEモブ看護師から見たスウ
    融合戦士を気味悪く思っている一般人の、一人称視点の話です。融合戦士に対するネガティブな表現を含みます
    最後の人私は火を追う蛾に入って結構長いほうだから、”普通の人”だった頃のスウ先生を知っている。若くて意欲のある医師で、物腰が柔らかく接しやすいから看護師にも患者にも人気があった。火を追う蛾の中ではその真っ当さがむしろ少し浮いていたけれど、彼自体は、地球上のどこにでもいそうな医者だった。

    でも、あの悪名高いメビウス博士の手術を受けたあと、スウ先生は変わった。ずっと目を閉じているのに何もかも見えているみたいな、得体のしれなさがあった。噂で聞いた話だと、心が読めるとか、未来が見えるんだとか。流石にそんな突飛な話、信じられる? 噂の真偽はともかく、口数が減り、表情の変化が乏しくなったのは確かだった。崩壊獣の因子が混ざることで、彼の中で何が変わったんだろう。そもそも、なぜ手術なんて受けたんだろう。あの異形の敵、大勢の人を殺して私たちから家族や友人を奪った崩壊獣を体の中に入れ込むなんて、考えるだけでおぞましさがこみ上げる。実際、看護師仲間ではスウ先生を怖がったり、気味悪がったりする人もいる。かく言う私も融合戦士に対して忌避感を抱いていることは否定できない。だって、動物の尻尾や角が生えていたり、体が氷より冷たい人って、人間って言えるんだろうか。頭に獣の耳が生えているとか、フィクションだから可愛いのであって、実際見るとグロテスクだってことを最近知った。人前で言わないだけで、多くの人が内心では彼らを化け物と思っている。でもそんな化け物に守ってもらわないと、私たちはもう一人も生き残れないというのが現実だった。
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    keram00s_05

    DONE2人が大人になってから出会って、最初だけさん付けで呼び合うの見て~採血して~って思いながら書いたバイクショップ店員×看護師の朱玄です。個人的な趣味です…くんに顎髭があります。ご査収ください。(1/3)
    次会うのは一年後その人とは年に一回だけ会える。
    オレの腕を触る細い指がすすと動いて血の流れを調べる。
    年に一回会えるのはこの病院で、オレは安いスチール椅子に座って彼に腕を見せている。
    長身の彼は腰をかがめて指を動かし血管の太さやら何やらを見ているのも毎年同じだ。
    オールバックの黒い髪、額に傷跡があり、垂れ目がちな灰色の瞳、そして眼鏡をかけている。あ、眼鏡、変えたんだ。去年は黒縁だったのに、アンダーリムになってる。
    細身で背が高くて、顔が整っている彼を見た時モデルかと思ったが、ここは病院。そして首にかけられた名札、彼が身に纏うのは清潔感のある紺色の看護師服。
    そうモデルではなく、彼はここの看護師だ。
    彼はこの病院で勤務する看護師で、勤め先の健康診断の採血のときだけ会える。いや、本当はオレが風邪をひいた時や怪我をした時にはここの病院に必ず来ているのだけれども。勤めているバイクショップからも住んでいるアパートからも近いからと言い訳して、忙しそうに働く彼が廊下を横切る姿や、病院が嫌だと泣く子供に優しく声をかけているのを遠くから見ているだけだ。
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